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本編
怪我と休息
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地獄の筆記試験をこなし、人馬と戦ったあの日から三日過ぎた。
あー、そうだな、何から言うか。とりあえず俺がぶっ倒れた後どうなったかを話すか。
俺が気絶した後、マキナが俺の言葉に反応してアーネをメッセージで呼び出し、頭の…というか全身の怪我を治してくれた。
俺自身が思っていた以上に重傷で、意識が戻るまで丸一日かかった。
「頭蓋骨にヒビ!肋二本!重度軽度様々な凍傷!指が無くなっててもおかしくなかったんですわよ!?一体何と戦ってたんですの!?」
当然アーネからはブチ切れられ、しかし何と戦ったかはそう軽々しく言えるものでもなく、適当に誤魔化し続けるしかなかった。
「…で、ところでお前らは何と戦ったんだ?」
と強引に話をぶった切って聞くと、今度はアーネの顔がこわばった。
「魔族の子供…ですわ」
話を聞いてみると、フィールドに入ってすぐに黒箱が開き、中からシエルと大差ないぐらいの魔族の子供が出てきたらしい。
敵意も凄まじく、攻撃も苛烈。手加減出来る相手でもなかったし、当然というかなんというか…まぁ、殺すしかなかったらしいのだが、シエルという身に近い存在がいる事がかなり堪えたらしい。
それと。
「私には…分かるんですの。あの魔族は、純粋な魔族じゃないんですわ」
「あ?ハーフか?」
「いえ、そうではなくて……」
アーネが躊躇い、一度口を閉ざす。
そして迷った末に俺の方を見てくる。
「好きにすりゃいい。黙ってたいならそれでもいいぞ」
さらに逡巡した末に、アーネは喋る事にしたらしい。
「元は…その、ヒトだったような気が…」
「あぁ?」
「あくまでそんな気がする、と言うだけですわよ?ただ、どうしても外れている気はしないんですの」
そうまで言うなら可能性はある…か?俺は実物を見られなかったのでなんとも言えないのだが。
だが…そうだな、可能性がありそうなのはやはりラピュセあたりだな。あの女所長が何かしらそういう物を作ってヒトを魔族に変えていたとして…どういう意味になる?
ヒトとしての意識を持った魔族…いや、意識がヒトならヒトとしての戦力になるか?…わからん。あるいは何かの実験の副産物か?
それぐらいしかわからん。考えるのはやめとこう。
「わかった。そうか」
「それと、貴方しばらく外出禁止ですわよ。治癒力が足りなくて完治してないんですもの」
という訳でアーネに合計五日間の休養を命じられた。まだしばらくはゆっくり休む事になる。
身体自体は既にほぼ治っているのだが、治癒力を引き出しすぎたらしく、少しの怪我で大事になりかねんそうだ。
「たとえば、治癒力が底をついた人の指先をナイフで切ったとしますわね?普通に考えてどうなりますの?」
「あ?血が出る?」
「そうですわね。普通なら塞がりますけれど、治癒力がない人は血がほぼ止まりませんわ。失血は勿論、雑菌も入ってきますし、その雑菌の対応も遅れますの。それがどれだけ不味い事かわかりますの?」
とまぁ、こんな感じで脅された。元より無茶をする気は無いが。
流石にずっと寝っぱなしは暇なのでアーネや暇を持て余したユーリアが俺の所へよく来ていたのだが、今日は月曜日。二人とも学校だ。
…暇だな。
あ、そうだ。
新しい黒剣について軽くまとめたことを言っとくか。
まず、黒剣は形状を自由に変えられる。形状を変える場合は銀剣の鞘が必要となる。
そして脆い。どれだけ厚くしても、ちょっとした衝撃ですぐにヒビが入る。ただし銀剣を使えば十秒ぐらいで新しい刃が出来る。
最後に、鞘は黒剣の修復のために勝手に来ると言うこと。大体はこんなもんか。
さて、俺は一旦寝るとするか。治癒力を戻すには寝るのが一番良いとアーネも言っていたし。
そういや、今日は試験の結果発表とか言ってたっけ。あいつら受かってるといいがな…
あー、そうだな、何から言うか。とりあえず俺がぶっ倒れた後どうなったかを話すか。
俺が気絶した後、マキナが俺の言葉に反応してアーネをメッセージで呼び出し、頭の…というか全身の怪我を治してくれた。
俺自身が思っていた以上に重傷で、意識が戻るまで丸一日かかった。
「頭蓋骨にヒビ!肋二本!重度軽度様々な凍傷!指が無くなっててもおかしくなかったんですわよ!?一体何と戦ってたんですの!?」
当然アーネからはブチ切れられ、しかし何と戦ったかはそう軽々しく言えるものでもなく、適当に誤魔化し続けるしかなかった。
「…で、ところでお前らは何と戦ったんだ?」
と強引に話をぶった切って聞くと、今度はアーネの顔がこわばった。
「魔族の子供…ですわ」
話を聞いてみると、フィールドに入ってすぐに黒箱が開き、中からシエルと大差ないぐらいの魔族の子供が出てきたらしい。
敵意も凄まじく、攻撃も苛烈。手加減出来る相手でもなかったし、当然というかなんというか…まぁ、殺すしかなかったらしいのだが、シエルという身に近い存在がいる事がかなり堪えたらしい。
それと。
「私には…分かるんですの。あの魔族は、純粋な魔族じゃないんですわ」
「あ?ハーフか?」
「いえ、そうではなくて……」
アーネが躊躇い、一度口を閉ざす。
そして迷った末に俺の方を見てくる。
「好きにすりゃいい。黙ってたいならそれでもいいぞ」
さらに逡巡した末に、アーネは喋る事にしたらしい。
「元は…その、ヒトだったような気が…」
「あぁ?」
「あくまでそんな気がする、と言うだけですわよ?ただ、どうしても外れている気はしないんですの」
そうまで言うなら可能性はある…か?俺は実物を見られなかったのでなんとも言えないのだが。
だが…そうだな、可能性がありそうなのはやはりラピュセあたりだな。あの女所長が何かしらそういう物を作ってヒトを魔族に変えていたとして…どういう意味になる?
ヒトとしての意識を持った魔族…いや、意識がヒトならヒトとしての戦力になるか?…わからん。あるいは何かの実験の副産物か?
それぐらいしかわからん。考えるのはやめとこう。
「わかった。そうか」
「それと、貴方しばらく外出禁止ですわよ。治癒力が足りなくて完治してないんですもの」
という訳でアーネに合計五日間の休養を命じられた。まだしばらくはゆっくり休む事になる。
身体自体は既にほぼ治っているのだが、治癒力を引き出しすぎたらしく、少しの怪我で大事になりかねんそうだ。
「たとえば、治癒力が底をついた人の指先をナイフで切ったとしますわね?普通に考えてどうなりますの?」
「あ?血が出る?」
「そうですわね。普通なら塞がりますけれど、治癒力がない人は血がほぼ止まりませんわ。失血は勿論、雑菌も入ってきますし、その雑菌の対応も遅れますの。それがどれだけ不味い事かわかりますの?」
とまぁ、こんな感じで脅された。元より無茶をする気は無いが。
流石にずっと寝っぱなしは暇なのでアーネや暇を持て余したユーリアが俺の所へよく来ていたのだが、今日は月曜日。二人とも学校だ。
…暇だな。
あ、そうだ。
新しい黒剣について軽くまとめたことを言っとくか。
まず、黒剣は形状を自由に変えられる。形状を変える場合は銀剣の鞘が必要となる。
そして脆い。どれだけ厚くしても、ちょっとした衝撃ですぐにヒビが入る。ただし銀剣を使えば十秒ぐらいで新しい刃が出来る。
最後に、鞘は黒剣の修復のために勝手に来ると言うこと。大体はこんなもんか。
さて、俺は一旦寝るとするか。治癒力を戻すには寝るのが一番良いとアーネも言っていたし。
そういや、今日は試験の結果発表とか言ってたっけ。あいつら受かってるといいがな…
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