大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

試験と手紙

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さて、全ての班がようやく試験を終えた。
最初の班が入ってから、それぞれの班がどんどん入っていったので割と早く終わった。
フィールドを出る顔はそれぞれ別。げっそりと疲れた顔の者や快活に笑う者、気持ち悪そうに口元を抑える者や、そもそも自身の足で立てない者も多かった。
結局あの黒箱の中身がなんなのか、俺達には分からない。口止めもされているし、明日まではわからないだろうが、逆に言えば明日は「お前のところどうだった?」と言った類の話で持ち切りだろう。
さて。
「で、俺だけを別に分けた理由は?」
アップは万全、マキナの魔力量も充分、体調も良好。
よし、行ける。
「あなたには学校長からの手紙と、個別の試験が用意されています。まずはこちらからどうぞ」
「あぁ?学校長から?」
はて。最近あの女絡みで何かやったか。しかし心当たりがまるで無い。
とりあえず受け取り、
「アンタはこれ読んだの?」
と聞いたら鼻で笑われた。どっちだよ。
えーっと、何々…
………。
……。
…。
ほう、なるほど。
正直一言で言うならふざけんなに尽きるのだが、代わりにこれで試験全部免除扱いという学校長の取引に応じないわけにはいかない。座学を受けてから言うのは正直止めて欲しかったかなと思わんでもないが。
というかこれ、書いてないが、断ったら暗に落とすって脅してないか?
「おっけー、色々把握した。そうかそうか、アンタらも危ないもんな。すぐ出るんだろ?」
いつの間にやら目の前には黒い箱が。他の生徒と違ったのは大きさ。縦横二倍以上ある。
「私は手紙を渡して、訓練所を出てから解錠のボタンを押せと言われているだけです」
すぐ出ると言うよりあらかじめ出るのか。確かにそっちの方が確実だが。
「それでは私はこれで。健闘を祈ります」
「健闘じゃなくて完封を祈って欲しいもんだがね」
と言ってマキナを起動、全身を鎧で包み、金剣を取り出す。
『で?なんて書いてあるんだ?』
大したことじゃない。今回の本当の引き金は学校長じゃなくて研究所の所長、ラピュセだ。
文面は整えられ、それらしくなっているが、要約すると『研究の失敗で出来たけど、やたらと強いから処理する力がないし処理しといて』となる。
「悪いのは全部ラピュセって事だ」
そう伝えると、しばらくして試験官が訓練所を出、一分ほどしてガシャンと黒箱に取り付けられていた南京錠が外れ、落ちる。
次の瞬間、膨大な魔力が箱の内側から放出された。
「!?」
あまりに濃密だったせいか、質量すら持った魔力がその黒い箱を内側から爆散させるように強引に開く。
ガランガランと俺の後ろで転がる破片。黒の金属箱の中から出てきたのは、一見してケンタウロスのような魔獣とヒトとの混合生物だった。
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