大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

研究所と研究内容

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「まずはそうじゃな、研究所、研究室。そう言った所があることは知っておるな?」
《臨界点》が切り出しとして選んだのは、研究所の話だった。
「まぁ」
「端的に結論から言ってしまうとな、あそこが今回の件の黒幕じゃ」
やっぱりか。注射痕なんざ薬入れるか血を抜くかの二択なんだから、大体そこだろうとあたりはつけていたが…しかし最近急に増えたよな、研究所関連の話。
「そも《緋眼騎士》、お前は研究所の目的を知っておるのか?」
「あ?あー、スキルの研究をしてるってのはなんか聞いたな。あとは…」
一瞬、あの肉塊が脳裏を過ぎる。
「…知らねぇな。うん、スキルの研究してるってぐらいだわ」
「はぁー、情けないのぅ。その程度しか知らんとは。良いか、あの場所の目的は大きく分けて二つ。一つは『意図したスキルの複製、付与する研究』そしてもう一つが『人工的生命の研究』じゃ」
「…はぁ。なるほど?」
まるでわからん。馬鹿に言ってもわかるように言って欲しいものだ。
いや、言ってる意味は何となくわかる。それがなぜハーフの《臨界点》、ひいてはシエルと関係があるのかという話だ。
《臨界点》もそんな俺の視線に気づいたのか、一つ咳払いをして解説を始める。
「まず前者じゃ。お前が知っておるスキルの研究とはこれの事じゃろうな。内容もそのままじゃ。例として、五秒間だけ素早く動けるスキルがあるとして、それを吾輩や他の連中にも与える研究じゃな」
「ほー。それが実現出来たら結構凄いな。実際はどのぐらい進んでんだ?」
「後でもう一個の方とまとめて話そう。…後者も割とそのままの意味じゃな。もちろんゴーレムやゾンビなどではなく、ヒトを作ろうとしておる自ら思考し、行動する存在を自分の手で生み出そうとしておるのじゃ」
「はぁ。そんな研究が」
前に俺の武器を調べてたのはスキルの方、肉塊は多分人工生命の方か。なるほどな。
「が、現在この研究は両方とも行き詰まっておる。それもかなりドツボにハマっておる」
「まぁ、何事も上を目指してけばそのうちそうなることだろうな。ちなみにどのぐらい前から進んでないんだ?」
「そうじゃの…そもそも研究所が出来たのはこの学校ができて以来じゃが…ざっと二十年近く進んでおらんな」
「随分とまぁ前から止まってんな」
「それはそうじゃろう。当時仕切っておった天才が、研究成果のほぼ全てを根こそぎ持って研究所から出ていきおったんじゃからな」
「むしろよく研究所が潰れなかったな…その程度は残したのか、それともやっとゼロからそのレベルまで戻ってきたのか」
「さぁなぁ。流石に吾輩もそこまでは知らんのう」
「で?昔話はそれぐらいにしておいたらどうだ。帰るぞ」
「少しぐらいは聞けい。研究は行き詰まっておると言ったな?その結果、研究所はあらゆるものに手を出したのじゃ。スキルの研究も生命の研究も、どちらも幅を広げ、様々な可能性を模索する形で発展してきた。その過程で、強い生命力を持つ魔族の特徴を持ちつつヒトのスキルも持つハーフの存在を知った訳じゃ」
やっと話が繋がり始めたか。
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