大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
1,353 / 2,028
本編

研究所と研究内容

しおりを挟む
「まずはそうじゃな、研究所、研究室。そう言った所があることは知っておるな?」
《臨界点》が切り出しとして選んだのは、研究所の話だった。
「まぁ」
「端的に結論から言ってしまうとな、あそこが今回の件の黒幕じゃ」
やっぱりか。注射痕なんざ薬入れるか血を抜くかの二択なんだから、大体そこだろうとあたりはつけていたが…しかし最近急に増えたよな、研究所関連の話。
「そも《緋眼騎士》、お前は研究所の目的を知っておるのか?」
「あ?あー、スキルの研究をしてるってのはなんか聞いたな。あとは…」
一瞬、あの肉塊が脳裏を過ぎる。
「…知らねぇな。うん、スキルの研究してるってぐらいだわ」
「はぁー、情けないのぅ。その程度しか知らんとは。良いか、あの場所の目的は大きく分けて二つ。一つは『意図したスキルの複製、付与する研究』そしてもう一つが『人工的生命の研究』じゃ」
「…はぁ。なるほど?」
まるでわからん。馬鹿に言ってもわかるように言って欲しいものだ。
いや、言ってる意味は何となくわかる。それがなぜハーフの《臨界点》、ひいてはシエルと関係があるのかという話だ。
《臨界点》もそんな俺の視線に気づいたのか、一つ咳払いをして解説を始める。
「まず前者じゃ。お前が知っておるスキルの研究とはこれの事じゃろうな。内容もそのままじゃ。例として、五秒間だけ素早く動けるスキルがあるとして、それを吾輩や他の連中にも与える研究じゃな」
「ほー。それが実現出来たら結構凄いな。実際はどのぐらい進んでんだ?」
「後でもう一個の方とまとめて話そう。…後者も割とそのままの意味じゃな。もちろんゴーレムやゾンビなどではなく、ヒトを作ろうとしておる自ら思考し、行動する存在を自分の手で生み出そうとしておるのじゃ」
「はぁ。そんな研究が」
前に俺の武器を調べてたのはスキルの方、肉塊は多分人工生命の方か。なるほどな。
「が、現在この研究は両方とも行き詰まっておる。それもかなりドツボにハマっておる」
「まぁ、何事も上を目指してけばそのうちそうなることだろうな。ちなみにどのぐらい前から進んでないんだ?」
「そうじゃの…そもそも研究所が出来たのはこの学校ができて以来じゃが…ざっと二十年近く進んでおらんな」
「随分とまぁ前から止まってんな」
「それはそうじゃろう。当時仕切っておった天才が、研究成果のほぼ全てを根こそぎ持って研究所から出ていきおったんじゃからな」
「むしろよく研究所が潰れなかったな…その程度は残したのか、それともやっとゼロからそのレベルまで戻ってきたのか」
「さぁなぁ。流石に吾輩もそこまでは知らんのう」
「で?昔話はそれぐらいにしておいたらどうだ。帰るぞ」
「少しぐらいは聞けい。研究は行き詰まっておると言ったな?その結果、研究所はあらゆるものに手を出したのじゃ。スキルの研究も生命の研究も、どちらも幅を広げ、様々な可能性を模索する形で発展してきた。その過程で、強い生命力を持つ魔族の特徴を持ちつつヒトのスキルも持つハーフの存在を知った訳じゃ」
やっと話が繋がり始めたか。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。 しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。 英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。 顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。 ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。 誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。 ルークに会いたくて会いたくて。 その願いは。。。。。 とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。 他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。 本編完結しました!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

ボッチ英雄譚

3匹の子猫
ファンタジー
辺境の村で生まれ育ったロンは15才の成人の儀で「ボッチ」という聞いたこともないジョブを神様から授けられました。 ボッチのジョブはメリットも大きいですが、デメリットも大きかったのです。 彼には3人の幼馴染みと共に冒険者になるという約束がありましたが、ボッチの特性上、共にパーティーを組むことが難しそうです。彼は選択しました。 王都でソロ冒険者になることを!! この物語はトラブルに巻き込まれやすい体質の少年ロンが、それらを乗り越え、いつの日か英雄と呼ばれるようになるまでを描いた物語です。 ロンの活躍を応援していきましょう!!

どこにでもある異世界転移~第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

ダメ人間共同体
ファンタジー
第三部 今最後の戦いが始る!!・・・・と思う。 すべてのなぞが解決される・・・・・と思う。 碧たちは現代に帰ることが出来るのか? 茜は碧に会うことが出来るのか? 適当な物語の最終章が今始る。 第二部完結 お兄ちゃんが異世界転移へ巻き込まれてしまった!! なら、私が助けに行くしか無いじゃ無い!! 女神様にお願いして究極の力を手に入れた妹の雑な英雄譚。今ここに始る。 第一部完結 修学旅行中、事故に合ったところを女神様に救われクラスメイトと異世界へ転移することになった。優しい女神様は俺たちにチート?を授けてくれた。ある者は職業を選択。ある者はアイテムを選択。俺が選んだのは『とても便利なキッチンセット【オマケ付き】』 魔王やモンスター、悪人のいる異世界で生き残ることは出来るのか?現代に戻ることは出来るのか?

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

処理中です...