大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

受け取りと確認

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結局あの血を誰がつけたのかは不明。どころか「ゴミか汚れにしか見えない」とまで言われた。まぁ、確かに針先でチョンと落とした、いや、触れた程度の本当に僅かな血だし。
だが、ウィルですら知らないというのなら、一体どの段階でついたのか。
確かに紙は結構貴重なものだが、この紙切れがそんなに特別な紙だとかという訳でもなさそうだ。
…あらためて見ると、一度何かに使い、まだ使える部分を切り取った結果出来た紙の切れ端…なのかもしれない。分からんが。
しかし、後でシャルとレイヴァーに確認したら、二人とも「間違いなく魔族と魔族っぽい何かの血」と声を揃えて言っていたので、間違いはないのだろうが。
クソ、手がかりが少なすぎる。どうせ考えても分からないのだから諦めよう。今は。
そんな訳で翌朝。
ウィルから「肉片コレを分けてあげるから明日、僕の部屋に来てくれるかい?」と言われていたのでとっとと向かい受け取りに行く。アーネはちょっと別件で用意をお願いしたので俺一人だ。小瓶の口は固くキツく閉められており、そう簡単には開きそうにない。渡される時、下手に触るとそこから肉を食われるから注意しろと言われてゾッとした。
小瓶の中でうぞうぞと蠢く鮮やかなピンク色のそれは、艶かしいように見えなくもないが、俺には醜悪さが目立って見えた。
目も鼻も耳も無く、個体としての存在を持たない欠片だからか口もない。ぶよぶよとした、決まった形を持たない不安定な不定形。ふとした拍子に瓶の隙間からでも逃げそうだが、そこはきっちり魔法で防御してあるそうだ。
「──ん?」
「うん?どうかしたのかい?」
「……いや、なんでもない。気色悪いと思っただけだ。確認したいが、肉体の捕獲が目的じゃないんだよな?」
「そうだね。コアの方は破壊出来ないけど、ボディの方なら文字通り欠片も残さず破壊することで消滅させることが出来る。今回は出来るなら消し去る方がいいだろうね」
捕まえた所で運ぶ手段も無いしな。
「で、ウィル。今んところは手がかりも無いんだよな?」
「あぁ、それなんだけどね。やっぱりどうも研究所の近くにいるっぽいんだよね。独特の匂いが少しだけ残ってて…」
匂いか。あまり気にしていなかったな。今度確認しようか。
「なるほど。でもアイツって魔力に反応してるんだよな?」
「ボディを再生するためにはそれが一番いいからね。コアの方へ向かっているのはそれもあるからだと思うけど…どうかしたのかい?」
「いやさ、下手に時間もかけてられねぇし?探すよりも来てもらおうかと思ってね」
「…まさか罠を?魔力の塊でも用意するのかい?それなら釣れなくもないだろうけど…」
「まぁ、魔力の塊っつーか…魔力の暴力…かな?仕掛けるのは今晩でいいか?」
するとウィルが「もう用意が終わってるの?」と聞く。
「今準備してるところだ。今晩には余裕で終わる。いいか?」
「できるなら早くやろう。生徒の命もかかってるからね」
まぁ、それもあるが…
いい加減期末のテストがあるんだ。時間をかけてられない。
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