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本編
休息と加速
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「おーイテテ…さっきのは予想外だったな」
もうこの距離なら大丈夫だろうと思って、一度近くにあった大きめの岩の上に腰掛ける。
走り続けて十分か二十分か。唐突な遠距離攻撃に驚きはしたが、正直ある程度予測はついていた。
前も言ったけど、完全に俺悪役だったもん。ありゃ襲撃かけられても文句は言えないって。
しかも仮に敵だった場合、英雄を倒して担いできた可能性もあるんだろ?そりゃ最低限初撃は欲しいわな。外したけど。
にしても、おっそろしい射手もいたもんだ。まさかマキナの作り出した壁を余裕でぶち抜いてくるとは。
ましてや、その矢が爆発するとは夢にも思ってなかった。
当然、マキナをぶち抜くような奴が仕込んだものなので、その爆発もマキナを余裕でぶち抜いてきた。おかげで俺の右腕が消し飛びかけた。
咄嗟にマキナが気づいて連結を解除していなかったら、あっさり隻腕になっていただろう。
唯一の救いは爆発の範囲は狭かった事か。
まぁ、そんな射手がどんな眼と腕をしているのか知らんが、ついさっきまで追撃の爆発矢をバカスカ撃ってきてたのだから生きた心地がしなかった。ふざけんな。
が、ここ暫くは飛んで来てない。流石に射程外に逃げることが出来たのか、はたまた単に追撃する気がなくなったのか。いずれにせよ、全身の鳥肌が立つような嫌な感覚はもう遠い。恐らくもう追撃は無いとみていいだろう。
なら後はもう寝る。一回寝て身体を休めないと、この先身体が持たん。
荒野のド真ん中で寝るなど、常人ならば自殺同義だが、そこは森で育った俺。寝ながら反射的に戦えるようになってはいる。
当然身体に負担がかかる上、そこまで強くはないのだが…まぁ、マキナ着込みながら寝ればある程度マキナがやってくれるだろう。
武装は…一応、金剣を軽く握って寝るか。
剣を握り、岩に腰掛け、膝を立ててそのまま睡眠。うつらうつらと夢と現の境界を往復しながら、地平線の彼方から登ってきた太陽の光をモロに浴びて起床。
周りを見回すが、寝る前と体勢は同じで、周りには何も無い。
ふむ、珍しく寝ている間に魔獣と遭遇しなかったらしい。普通なら辺り一面血塗れとかなのに。
まぁいいさ。身体の調子も、寝たおかげで疲れもある程度とれた。
金剣はこのまま使うので出したままにし、一度この状況を整理してみる。
俺の現在地は限りなく西学の近く。多分最西端の結界の端あたり。
で、マキナ曰く聖学からざっと三百キロ弱離れた場所で、俺の足で最短三日ぐらい。勇者の力もなりふり構わず使って一日かかるか、かからないかぐらい。
常時勇者の力を展開し続けれるのならもっと短いのだが、血界系統はどれも短期決戦用のものばかり。つまりは長持ちしないし、燃費もあまりよろしくない。身体への負担も大きいしな。
そんで次。現在、俺がどこにいるか知ってる奴は多分システナのみ。ハウナももしかしたら知ってるかもしれないが…そもそもあいつは俺に気づいていたのだろうか。気づいていない気がする。
しかも、システナだって俺達を適当に飛ばしたらここに着いたから知らないというオチだって有り得る。
つまり、確実に俺がどこにいるかを知っている奴がいない。いやまぁ、システナやハウナが俺の居場所を知っていた所でどうにもならんのだから、正直俺からしたらこの二人は論外なのだが。
出来ることならアーネやユーリアに俺がどこにいるか知っておいて欲しかった。じゃなきゃ今頃聖学で大騒ぎになってそう。
………そうじゃん。今頃騒ぎになってんじゃね?
だって無名の一年だったアーネが失踪した時もかなりさわぎになったじゃん。
二つ名持ちの俺が消えたらそりゃ騒ぎになるよな。
………。
急ぐか。
「よし、マキナ、聖学に向かう。方向出してくれ」
『了解しました』
「ついでにタンクも開け。第二と第六を使う。同時使用だ」
『同時使用を長時間続けますと・身体への負担が大きくなります。場合によっては・ストップしますか』
「……ま、頼む。とりあえず一割寄越せ」
『了解しました。続いて・血の貯蔵を解放します』
纏ったマキナの隙間から、赤黒い血が流れ始める。…なんで俺は朝日を浴びながら血まみれにならにゃならんのだ。まぁ仕方ない。気を取り直して──
「第二及び第六血界並列展開──《血呪》、《血瞬》」
黒い紋様が身体を埋めつくし、加速の紋様が心臓に刻まれる。
「いくぞ」
目指せ、日没前到着。
もうこの距離なら大丈夫だろうと思って、一度近くにあった大きめの岩の上に腰掛ける。
走り続けて十分か二十分か。唐突な遠距離攻撃に驚きはしたが、正直ある程度予測はついていた。
前も言ったけど、完全に俺悪役だったもん。ありゃ襲撃かけられても文句は言えないって。
しかも仮に敵だった場合、英雄を倒して担いできた可能性もあるんだろ?そりゃ最低限初撃は欲しいわな。外したけど。
にしても、おっそろしい射手もいたもんだ。まさかマキナの作り出した壁を余裕でぶち抜いてくるとは。
ましてや、その矢が爆発するとは夢にも思ってなかった。
当然、マキナをぶち抜くような奴が仕込んだものなので、その爆発もマキナを余裕でぶち抜いてきた。おかげで俺の右腕が消し飛びかけた。
咄嗟にマキナが気づいて連結を解除していなかったら、あっさり隻腕になっていただろう。
唯一の救いは爆発の範囲は狭かった事か。
まぁ、そんな射手がどんな眼と腕をしているのか知らんが、ついさっきまで追撃の爆発矢をバカスカ撃ってきてたのだから生きた心地がしなかった。ふざけんな。
が、ここ暫くは飛んで来てない。流石に射程外に逃げることが出来たのか、はたまた単に追撃する気がなくなったのか。いずれにせよ、全身の鳥肌が立つような嫌な感覚はもう遠い。恐らくもう追撃は無いとみていいだろう。
なら後はもう寝る。一回寝て身体を休めないと、この先身体が持たん。
荒野のド真ん中で寝るなど、常人ならば自殺同義だが、そこは森で育った俺。寝ながら反射的に戦えるようになってはいる。
当然身体に負担がかかる上、そこまで強くはないのだが…まぁ、マキナ着込みながら寝ればある程度マキナがやってくれるだろう。
武装は…一応、金剣を軽く握って寝るか。
剣を握り、岩に腰掛け、膝を立ててそのまま睡眠。うつらうつらと夢と現の境界を往復しながら、地平線の彼方から登ってきた太陽の光をモロに浴びて起床。
周りを見回すが、寝る前と体勢は同じで、周りには何も無い。
ふむ、珍しく寝ている間に魔獣と遭遇しなかったらしい。普通なら辺り一面血塗れとかなのに。
まぁいいさ。身体の調子も、寝たおかげで疲れもある程度とれた。
金剣はこのまま使うので出したままにし、一度この状況を整理してみる。
俺の現在地は限りなく西学の近く。多分最西端の結界の端あたり。
で、マキナ曰く聖学からざっと三百キロ弱離れた場所で、俺の足で最短三日ぐらい。勇者の力もなりふり構わず使って一日かかるか、かからないかぐらい。
常時勇者の力を展開し続けれるのならもっと短いのだが、血界系統はどれも短期決戦用のものばかり。つまりは長持ちしないし、燃費もあまりよろしくない。身体への負担も大きいしな。
そんで次。現在、俺がどこにいるか知ってる奴は多分システナのみ。ハウナももしかしたら知ってるかもしれないが…そもそもあいつは俺に気づいていたのだろうか。気づいていない気がする。
しかも、システナだって俺達を適当に飛ばしたらここに着いたから知らないというオチだって有り得る。
つまり、確実に俺がどこにいるかを知っている奴がいない。いやまぁ、システナやハウナが俺の居場所を知っていた所でどうにもならんのだから、正直俺からしたらこの二人は論外なのだが。
出来ることならアーネやユーリアに俺がどこにいるか知っておいて欲しかった。じゃなきゃ今頃聖学で大騒ぎになってそう。
………そうじゃん。今頃騒ぎになってんじゃね?
だって無名の一年だったアーネが失踪した時もかなりさわぎになったじゃん。
二つ名持ちの俺が消えたらそりゃ騒ぎになるよな。
………。
急ぐか。
「よし、マキナ、聖学に向かう。方向出してくれ」
『了解しました』
「ついでにタンクも開け。第二と第六を使う。同時使用だ」
『同時使用を長時間続けますと・身体への負担が大きくなります。場合によっては・ストップしますか』
「……ま、頼む。とりあえず一割寄越せ」
『了解しました。続いて・血の貯蔵を解放します』
纏ったマキナの隙間から、赤黒い血が流れ始める。…なんで俺は朝日を浴びながら血まみれにならにゃならんのだ。まぁ仕方ない。気を取り直して──
「第二及び第六血界並列展開──《血呪》、《血瞬》」
黒い紋様が身体を埋めつくし、加速の紋様が心臓に刻まれる。
「いくぞ」
目指せ、日没前到着。
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