大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
255 / 2,028
本編

連戦と決着4

しおりを挟む
「へえ、何?キミはお父さんと知り合いなのお?」
「いいや?違うさ。知ってるのは名前と有名なスキルぐらいさ」
アイテムボックスとかいうナメた名前のスキル。
確か、対象が中に少しでも通れるような袋かあれば、そこへ無制限に放り込めるというスキルだったか。
スキルが遺伝するという話があるにはあるのだが、噂程度の微妙な話。それに似たスキルである可能性が少し高いから参考にしようか、で済ませておくのが吉か。
まぁそもそも、そんなスキルで何が出来るかわからんが。
「そっかあ。なら良かったあ」
「あぁ?なんでだ」
「まさか、お父さんのお友達がこんなに弱い訳がないからさあ」
ふぅん。まぁ。
「まぁ、代わりにって言うのも何だが、俺は聖女サマと友達だよ」
そう言って俺は。
手にしていた黒剣を全力で投げる。
「んー?何これえ?私にくれるのお?」
特に苦もなく、投げられた黒剣の柄を掴むライナ。
かなりの速度だったのにな…。動体視力もかなり高いのか。
「貸してやるよ!」
精一杯の虚勢を張り、相手を呼び込む。ここからがスタートだ。
「いいよお?それなら、お言葉に甘えてえ」
再び彼女の姿が掻き消える。
視界から消えるが、右の方からグッ、と地を踏みしめる音。
来た。二分の一の確率、その当たりを引き当てた!
「せい、やあっ!」
なんとも気の抜けるかけ声と共に繰り出された一撃は、振り方がメチャクチャ、子供の振り回した棒切れと同じような振り方。しかし、その怪力と合わさり、尋常ではない威力をもたらす。
それを俺は。
「がっ!」
今度は受ける。銀盾がギシギシと音を立て、身体も同じくミシミシと軋む。
そして、三度目の空中遊泳。
地面と水平に飛び…すぐさま足を伸ばして踏ん張る。
振動が伝わり激痛が脚に響くが、葉を食いしばって我慢。目的は。
「んん?金色の剣?」
吹き飛ばされた方向にあった金剣、それを拾い上げ、両手で構える。
構えは、ナナキと同じに再現する。
「さぁ、かかってこいよ」
「やけに偉そうだねえ?私、これでもキミの上級生だし、キミは負傷してボロボロだよお?」
たしかにな。けれど。
「俺の方が剣は上手いし、お前は挑戦者チャレンジャーだ」
脚の感覚がそろそろなくなってきた。
止まらず流れる血で、白銀だった髪は所々赤黒く染まり、貧血のためか意識が若干朦朧としている。
それでも。
ちらりと視線を横にすれば、入口の方でアーネが俺を見ている。
ナナキにも誓った。
アーネにも誓った。
負けないって。
ここからは全力だ。
「…五分」
「うん?なんか言ったあ?」
「五分でケリをつける。そう言ったんだよ」
言い換えようか。五分しか持たない。
だから。
「最高の五分にしてやるよ…!」
脳みそが蕩けちまうような時間だ…、
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。 しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。 英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。 顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。 ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。 誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。 ルークに会いたくて会いたくて。 その願いは。。。。。 とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。 他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。 本編完結しました!

最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ
ファンタジー
俺のステータスがこんなに強いわけがない。 大型モンスターがワンパン一発なのも、 魔法の威力が意味不明なのも、 全部、幼なじみが見つけてくれたチートアイテムがあるからなんだ! だから… 俺のステータスがこんなに強いわけがないっ!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

ボッチ英雄譚

3匹の子猫
ファンタジー
辺境の村で生まれ育ったロンは15才の成人の儀で「ボッチ」という聞いたこともないジョブを神様から授けられました。 ボッチのジョブはメリットも大きいですが、デメリットも大きかったのです。 彼には3人の幼馴染みと共に冒険者になるという約束がありましたが、ボッチの特性上、共にパーティーを組むことが難しそうです。彼は選択しました。 王都でソロ冒険者になることを!! この物語はトラブルに巻き込まれやすい体質の少年ロンが、それらを乗り越え、いつの日か英雄と呼ばれるようになるまでを描いた物語です。 ロンの活躍を応援していきましょう!!

どこにでもある異世界転移~第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

ダメ人間共同体
ファンタジー
第三部 今最後の戦いが始る!!・・・・と思う。 すべてのなぞが解決される・・・・・と思う。 碧たちは現代に帰ることが出来るのか? 茜は碧に会うことが出来るのか? 適当な物語の最終章が今始る。 第二部完結 お兄ちゃんが異世界転移へ巻き込まれてしまった!! なら、私が助けに行くしか無いじゃ無い!! 女神様にお願いして究極の力を手に入れた妹の雑な英雄譚。今ここに始る。 第一部完結 修学旅行中、事故に合ったところを女神様に救われクラスメイトと異世界へ転移することになった。優しい女神様は俺たちにチート?を授けてくれた。ある者は職業を選択。ある者はアイテムを選択。俺が選んだのは『とても便利なキッチンセット【オマケ付き】』 魔王やモンスター、悪人のいる異世界で生き残ることは出来るのか?現代に戻ることは出来るのか?

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

路地裏生活をしていた私ですが、実は騎士様の実の娘でした

上野佐栁
ファンタジー
 主人公がとある漫画の世界に転生してしまう話し。転生した先はまさかの死確定のキャラクター。死を回避するために本当の父親と再会しなければならない。もしできなければ死が待っている。

処理中です...