233 / 2,028
本編
二つ名と審査
しおりを挟む
二つ名制度。
えーっと、かなり最初の方に、《不動》と《荒野》って言う先輩二人組がいたのを覚えているだろうか?名前は確か…忘れた。
まぁ、その先輩達と同じで、名乗る名前の他に、その戦闘スタイルや、個人を言い表すのに相応しい名前を与える制度だ。
これがあるだけで、食堂で優遇されたり、シャワー室の時間が伸びたり、ある程度学校の授業をサボっても問題かったり、他にも色々融通が効くらしい。
ただし、その審査は厳しく、この学校には二つ名持ちが現在、僅か六名なんだとか。…ん?六名?
「学校長、ちょっと確認いいか?」
「はい、なんでしょうか?」
「俺が前に聞いた時、二つ名持ちは五人しかいないって話だったんだが?たったひと月程度で二つ名持ちってぽんぽこ増えるモンなのか?」
「…いえ?ここ数ヶ月は貴方以外の二つ名持ちは増えて…あぁ、わかりました」
ん?さっぱりわからん
「この学校にいる二つ名は、《雷光》、《勇者》、《臨界点》、《逆鱗》、《不動荒野》です。貴方と唯一接点がある《不動荒野》は、二人で一組の二つ名持ちなんですが、本人はそれを少し不服と思っているようです。ですから、《不動荒野》は表記上、二人で一組の二つ名持ちですが、数はそのままなので合計して六名、というわけです」
「…へぇ、学校長さ、今の二つ名持ち、もう一回言っていってくれる?」
「はい?《雷光》、《勇者》、《臨界点》、《逆鱗》、《不動荒野》です。何かありましたか?」
ふーん。へーぇ。ほーぉ。
《勇者》、ねぇ…。
気に食わねぇな。
「《勇者》って二つ名、俺が貰っちゃダメ?」
「それは…残念ながら不可能ですね。二つ名所持者になる一歩手前の段階なら、不可能ではありませんでしたが…特に、《勇者》の彼は既に定着しきっていますから、なおのこと無理ですね」
「チッ…ん?二つ名所持者になる一歩手前?どういう事だ?」
「はい。二つ名を持つことが決まった生徒は、三日以内に名前を決め、それを他の生徒に知らしめ続けます。その間、誰かに勝負を挑まれ、敗北した場合は二つ名を譲らなければなりません。これが審査でもあります」
「二つ名は自分が決めるのか?それともそっちが勝手に決めるのか?」
「ひとまずこちらで案を出し、それを仮の名前とします。それが気に入らなければ、そちらで二つ名が正式に決まる前に『自分の二つ名は《◯◯》だ!』と宣言してください。ちなみに勝負はどこでして下さっても構いません。三日間の間は、必ず教師がどこかで貴方を見張ってますので」
こっわ!それって学校一丸となってのストーカーと大差なくね!?
「…というか、万が一俺が負けた場合、褒賞が受け取れねぇじゃん…そしたら不味くねぇ?」
座っていた椅子に深く腰掛け、天を仰ぎながらそう愚痴る。
「おや?なぜですか?」
チラリとそちらを見ると、微笑みながら学校長が口を開く。
「聖女様は貴方を助ける事を第一にしておられました。それは既に達せられていますし、褒賞もしっかり用意しました。あとは、貴方が勝ち取る…いえ、守り通すだけですよ?」
そういい、立ち上がる学校長。
「さて、それでは貴方の二つ名をつけます。そうですね…では二つ名は…」
…勘弁してくれ。
そう言いたくなった。
えーっと、かなり最初の方に、《不動》と《荒野》って言う先輩二人組がいたのを覚えているだろうか?名前は確か…忘れた。
まぁ、その先輩達と同じで、名乗る名前の他に、その戦闘スタイルや、個人を言い表すのに相応しい名前を与える制度だ。
これがあるだけで、食堂で優遇されたり、シャワー室の時間が伸びたり、ある程度学校の授業をサボっても問題かったり、他にも色々融通が効くらしい。
ただし、その審査は厳しく、この学校には二つ名持ちが現在、僅か六名なんだとか。…ん?六名?
「学校長、ちょっと確認いいか?」
「はい、なんでしょうか?」
「俺が前に聞いた時、二つ名持ちは五人しかいないって話だったんだが?たったひと月程度で二つ名持ちってぽんぽこ増えるモンなのか?」
「…いえ?ここ数ヶ月は貴方以外の二つ名持ちは増えて…あぁ、わかりました」
ん?さっぱりわからん
「この学校にいる二つ名は、《雷光》、《勇者》、《臨界点》、《逆鱗》、《不動荒野》です。貴方と唯一接点がある《不動荒野》は、二人で一組の二つ名持ちなんですが、本人はそれを少し不服と思っているようです。ですから、《不動荒野》は表記上、二人で一組の二つ名持ちですが、数はそのままなので合計して六名、というわけです」
「…へぇ、学校長さ、今の二つ名持ち、もう一回言っていってくれる?」
「はい?《雷光》、《勇者》、《臨界点》、《逆鱗》、《不動荒野》です。何かありましたか?」
ふーん。へーぇ。ほーぉ。
《勇者》、ねぇ…。
気に食わねぇな。
「《勇者》って二つ名、俺が貰っちゃダメ?」
「それは…残念ながら不可能ですね。二つ名所持者になる一歩手前の段階なら、不可能ではありませんでしたが…特に、《勇者》の彼は既に定着しきっていますから、なおのこと無理ですね」
「チッ…ん?二つ名所持者になる一歩手前?どういう事だ?」
「はい。二つ名を持つことが決まった生徒は、三日以内に名前を決め、それを他の生徒に知らしめ続けます。その間、誰かに勝負を挑まれ、敗北した場合は二つ名を譲らなければなりません。これが審査でもあります」
「二つ名は自分が決めるのか?それともそっちが勝手に決めるのか?」
「ひとまずこちらで案を出し、それを仮の名前とします。それが気に入らなければ、そちらで二つ名が正式に決まる前に『自分の二つ名は《◯◯》だ!』と宣言してください。ちなみに勝負はどこでして下さっても構いません。三日間の間は、必ず教師がどこかで貴方を見張ってますので」
こっわ!それって学校一丸となってのストーカーと大差なくね!?
「…というか、万が一俺が負けた場合、褒賞が受け取れねぇじゃん…そしたら不味くねぇ?」
座っていた椅子に深く腰掛け、天を仰ぎながらそう愚痴る。
「おや?なぜですか?」
チラリとそちらを見ると、微笑みながら学校長が口を開く。
「聖女様は貴方を助ける事を第一にしておられました。それは既に達せられていますし、褒賞もしっかり用意しました。あとは、貴方が勝ち取る…いえ、守り通すだけですよ?」
そういい、立ち上がる学校長。
「さて、それでは貴方の二つ名をつけます。そうですね…では二つ名は…」
…勘弁してくれ。
そう言いたくなった。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜
雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。
しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。
英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。
顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。
ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。
誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。
ルークに会いたくて会いたくて。
その願いは。。。。。
とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。
他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。
本編完結しました!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ボッチ英雄譚
3匹の子猫
ファンタジー
辺境の村で生まれ育ったロンは15才の成人の儀で「ボッチ」という聞いたこともないジョブを神様から授けられました。
ボッチのジョブはメリットも大きいですが、デメリットも大きかったのです。
彼には3人の幼馴染みと共に冒険者になるという約束がありましたが、ボッチの特性上、共にパーティーを組むことが難しそうです。彼は選択しました。
王都でソロ冒険者になることを!!
この物語はトラブルに巻き込まれやすい体質の少年ロンが、それらを乗り越え、いつの日か英雄と呼ばれるようになるまでを描いた物語です。
ロンの活躍を応援していきましょう!!
どこにでもある異世界転移~第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
ダメ人間共同体
ファンタジー
第三部 今最後の戦いが始る!!・・・・と思う。 すべてのなぞが解決される・・・・・と思う。 碧たちは現代に帰ることが出来るのか? 茜は碧に会うことが出来るのか? 適当な物語の最終章が今始る。
第二部完結 お兄ちゃんが異世界転移へ巻き込まれてしまった!! なら、私が助けに行くしか無いじゃ無い!! 女神様にお願いして究極の力を手に入れた妹の雑な英雄譚。今ここに始る。
第一部完結 修学旅行中、事故に合ったところを女神様に救われクラスメイトと異世界へ転移することになった。優しい女神様は俺たちにチート?を授けてくれた。ある者は職業を選択。ある者はアイテムを選択。俺が選んだのは『とても便利なキッチンセット【オマケ付き】』 魔王やモンスター、悪人のいる異世界で生き残ることは出来るのか?現代に戻ることは出来るのか?
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる