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本編
意識と部屋
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相手を血鎖で倒してから、身体が思い出したようにあちこち痛み出した。
しかも血界を使ったので、血が足りない。
視界が若干暗くなってきた。
目の前にアーネが…みんながいるのに。
ユーリアから貰った万能薬を使えば、また話は別なのかもしれないが、それは心身共に瀕死状態のアーネに使うために残している。俺が使う訳にはいけない。
「ほら、進めよ…」
折れた右腕で動こうとしない膝を殴る。
途端、足と腕の両方に走る痛み。
その痛みで、一瞬だけ意識がクリアになり、足を進める。
「ほら、進めって…」
それも段々厳しくなり。
「進めよ…」
やがて、何をしても足が、身体が動かなくなる。
「進めよ!」
どさり、と前に倒れた。
あと一歩。けど、その一歩がどうしても届かないほど遠くて。
身体も、どうしても重くって…連戦技を使ったからか、初めて魔法を使ったからか、それとも血界で無茶をしたからか…思い当たる節が多すぎる。
そして、意識も少しずつ暗闇に引っ張られていく。
最後に見えたものは、十字架に磔られたアーネの足。
最後に聞こえものは、誰か大勢の足音。
魔族の援軍だろうか?それぐらいしか血の足りていない俺の頭は考えられず…そして、その考えも放棄したらしい。
急にフッ、と意識が飛んだ。
………。
……。
…。
あれ、ここは?
最後は確か、ディーマの屋敷にいて…。
取り敢えず、真っ白なベッドに寝かされている身体を起こす…訂正、起こせなかった。
物理的にどこか押さえられている訳ではない…あぁ、強いて言うなら右腕がギプスで固定されているぐらいか。
ただ、尋常じゃなく自分の身体そのものが重い。
なんというか…身体の肉すべてが鉛になったような、そんな感じ。
苦労して今度こそ身体を起こすと、どうやらここは…。
「…十五号室?」
見覚えのあるテーブルに、見覚えのある間取り。ほぼ間違いなく俺の、と言うか俺達の部屋だ。
疑問は増えたが、俺は答えを知らないし、知っている人も周りには居そうにない。
外を見ると、日が落ちかけている。夕方か。
金剣と銀剣は…どうやって運んできたか知らないが、ベッドの脇に立てかけてあった。
ひとまず両方を胸にかけて、クソ重い身体を引きずるようにして部屋を出る。
向かう先は食堂。この時間帯なら、多分多くの生徒がそこにいるだろうし。
そうしたら、ラウクムくん、クアイちゃん、リーザ、ユーリア、あと、アーネがどうなったのかもわかるだろう。
苦労して階段を降り、騒がしい食堂へと足を運ぶと…。
「見ろ!やっと起きたぞ!」
「マジかよ!誰かついてなかったのか?」
名前すら知らない誰かが二人、食堂から出てきて俺に肩を貸し、そのまま食堂へと入っていく。…多分、顔は見たことがあるから、クラスメイトだとは思うんだが…。
訳も分からず、抵抗も出来ずにそのまま食堂の中へと連れ込まれた。
しかも血界を使ったので、血が足りない。
視界が若干暗くなってきた。
目の前にアーネが…みんながいるのに。
ユーリアから貰った万能薬を使えば、また話は別なのかもしれないが、それは心身共に瀕死状態のアーネに使うために残している。俺が使う訳にはいけない。
「ほら、進めよ…」
折れた右腕で動こうとしない膝を殴る。
途端、足と腕の両方に走る痛み。
その痛みで、一瞬だけ意識がクリアになり、足を進める。
「ほら、進めって…」
それも段々厳しくなり。
「進めよ…」
やがて、何をしても足が、身体が動かなくなる。
「進めよ!」
どさり、と前に倒れた。
あと一歩。けど、その一歩がどうしても届かないほど遠くて。
身体も、どうしても重くって…連戦技を使ったからか、初めて魔法を使ったからか、それとも血界で無茶をしたからか…思い当たる節が多すぎる。
そして、意識も少しずつ暗闇に引っ張られていく。
最後に見えたものは、十字架に磔られたアーネの足。
最後に聞こえものは、誰か大勢の足音。
魔族の援軍だろうか?それぐらいしか血の足りていない俺の頭は考えられず…そして、その考えも放棄したらしい。
急にフッ、と意識が飛んだ。
………。
……。
…。
あれ、ここは?
最後は確か、ディーマの屋敷にいて…。
取り敢えず、真っ白なベッドに寝かされている身体を起こす…訂正、起こせなかった。
物理的にどこか押さえられている訳ではない…あぁ、強いて言うなら右腕がギプスで固定されているぐらいか。
ただ、尋常じゃなく自分の身体そのものが重い。
なんというか…身体の肉すべてが鉛になったような、そんな感じ。
苦労して今度こそ身体を起こすと、どうやらここは…。
「…十五号室?」
見覚えのあるテーブルに、見覚えのある間取り。ほぼ間違いなく俺の、と言うか俺達の部屋だ。
疑問は増えたが、俺は答えを知らないし、知っている人も周りには居そうにない。
外を見ると、日が落ちかけている。夕方か。
金剣と銀剣は…どうやって運んできたか知らないが、ベッドの脇に立てかけてあった。
ひとまず両方を胸にかけて、クソ重い身体を引きずるようにして部屋を出る。
向かう先は食堂。この時間帯なら、多分多くの生徒がそこにいるだろうし。
そうしたら、ラウクムくん、クアイちゃん、リーザ、ユーリア、あと、アーネがどうなったのかもわかるだろう。
苦労して階段を降り、騒がしい食堂へと足を運ぶと…。
「見ろ!やっと起きたぞ!」
「マジかよ!誰かついてなかったのか?」
名前すら知らない誰かが二人、食堂から出てきて俺に肩を貸し、そのまま食堂へと入っていく。…多分、顔は見たことがあるから、クラスメイトだとは思うんだが…。
訳も分からず、抵抗も出来ずにそのまま食堂の中へと連れ込まれた。
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