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本編
あの時と休息
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「どういう事ですか!なぜあの者達を行かせるのです!」
当然、馬車を出たら吠える犬がいる訳で。
しかしまぁ、そこは聖女サマが強引に説得し、なんとか話に折り合いがついたらしい。
というか実際は、話の途中でこっそり馬車を走らせただけなのだが。
まだ少し時間があったので、みんなに俺が寝ていたうちに何があったのか確認をとっていく。
時間を少しさかのぼり、俺とユーリアが魔獣と戦い始めた頃、リーザ達からの視点に立つとこうなるらしい。
最初は疲れて寝ていたが、そのうち謎の音がなり始め、やがてリーザとラウクムくんが起きたが、いくら待っても止まる事は無かった。
そのため、不審に思ったリーザが外へ出ようとした時点で…俺の戦技が炸裂。
その煽りを食って馬車が大きく揺れ、クアイちゃんも起き、何事だとみんなして御者台へ出ると、目の前に広がっているのは絨毯のような牛の魔獣の一団と、そいつらへ向かって必死に魔法を撃ち込むユーリア。
すぐに状況を理解したリーザは例の三メートル超の槍を取り出し、俺が戦技を使う直前に横っ腹を咄嗟に殴りながら俺を馬車側へ飛ばす。ちなみにこの瞬間、俺は意識が飛んだんだな。
でもまぁ、完全にはこっちに飛ばせず、ユーリアが《ナイト・オーダー》を使って俺を捕まえて馬車の中に放り込んだらしいが。
で、そこからユーリア達が奮闘、十分ほど戦っていたところで魔獣達の後ろの方から爆音が。
結果から言うと、英雄が強化魔法を受けて戦技と魔法を併せて撃ったかららしい。
そもそもこの魔獣の大行進の原因は英雄が倒そうとして逃げ始めた魔獣が運悪くこちらへ向いただけだったらしいが…そんな不備、あってたまるかの話だな。
で、前と後ろで挟みつつ、ほとんど英雄が牛魔獣を倒したところであの英雄に捕まり、行かせろいいや行かせないと言っていた訳らしい。
「なるほど、そりゃ悪かったな」
そう言いながら御者台へと再び行こうとする。
と、ユーリアにコートの端を掴まれた。
「…なんだよ」
「いや、どこへ行こうとしているのだ?」
「どこって…御者台?」
「あそこは今ラウクムがいるだろう。何も問題ない」
「そろそろ交代」
「したばかりだな、私と」
「…」
ぐうの音も出ないとはこんな感じだろうか。
「とにかくお前は働きっぱなしだ。馬車強奪に魔獣との戦闘、聖女様と話をつけたりもしたな。境界線まで…あと三十分ぐらいか?それまで少しは休め」
「いや、けどさっき寝たばっかりだし」
「レィア、お前はあれか?気絶を睡眠とするのか?第一、君は飯を食べたのか?私は昨日の夕方から君が食事した所を見ていないが?」
あ、ダメだ。多分今何言っても完封される。
押し付けられたパンを無理矢理ねじ込み、水で流す。
そして仕方なく横になって目を瞑るが…。
がたがたと揺れながら進む馬車、かすかに聞こえる風の音、周りの誰かの身じろぎする気配。
何故だかそんな小さなことが気になった。
結局俺は眠ることが出来ず、休めずにそのまま時間だけが過ぎた。
当然、馬車を出たら吠える犬がいる訳で。
しかしまぁ、そこは聖女サマが強引に説得し、なんとか話に折り合いがついたらしい。
というか実際は、話の途中でこっそり馬車を走らせただけなのだが。
まだ少し時間があったので、みんなに俺が寝ていたうちに何があったのか確認をとっていく。
時間を少しさかのぼり、俺とユーリアが魔獣と戦い始めた頃、リーザ達からの視点に立つとこうなるらしい。
最初は疲れて寝ていたが、そのうち謎の音がなり始め、やがてリーザとラウクムくんが起きたが、いくら待っても止まる事は無かった。
そのため、不審に思ったリーザが外へ出ようとした時点で…俺の戦技が炸裂。
その煽りを食って馬車が大きく揺れ、クアイちゃんも起き、何事だとみんなして御者台へ出ると、目の前に広がっているのは絨毯のような牛の魔獣の一団と、そいつらへ向かって必死に魔法を撃ち込むユーリア。
すぐに状況を理解したリーザは例の三メートル超の槍を取り出し、俺が戦技を使う直前に横っ腹を咄嗟に殴りながら俺を馬車側へ飛ばす。ちなみにこの瞬間、俺は意識が飛んだんだな。
でもまぁ、完全にはこっちに飛ばせず、ユーリアが《ナイト・オーダー》を使って俺を捕まえて馬車の中に放り込んだらしいが。
で、そこからユーリア達が奮闘、十分ほど戦っていたところで魔獣達の後ろの方から爆音が。
結果から言うと、英雄が強化魔法を受けて戦技と魔法を併せて撃ったかららしい。
そもそもこの魔獣の大行進の原因は英雄が倒そうとして逃げ始めた魔獣が運悪くこちらへ向いただけだったらしいが…そんな不備、あってたまるかの話だな。
で、前と後ろで挟みつつ、ほとんど英雄が牛魔獣を倒したところであの英雄に捕まり、行かせろいいや行かせないと言っていた訳らしい。
「なるほど、そりゃ悪かったな」
そう言いながら御者台へと再び行こうとする。
と、ユーリアにコートの端を掴まれた。
「…なんだよ」
「いや、どこへ行こうとしているのだ?」
「どこって…御者台?」
「あそこは今ラウクムがいるだろう。何も問題ない」
「そろそろ交代」
「したばかりだな、私と」
「…」
ぐうの音も出ないとはこんな感じだろうか。
「とにかくお前は働きっぱなしだ。馬車強奪に魔獣との戦闘、聖女様と話をつけたりもしたな。境界線まで…あと三十分ぐらいか?それまで少しは休め」
「いや、けどさっき寝たばっかりだし」
「レィア、お前はあれか?気絶を睡眠とするのか?第一、君は飯を食べたのか?私は昨日の夕方から君が食事した所を見ていないが?」
あ、ダメだ。多分今何言っても完封される。
押し付けられたパンを無理矢理ねじ込み、水で流す。
そして仕方なく横になって目を瞑るが…。
がたがたと揺れながら進む馬車、かすかに聞こえる風の音、周りの誰かの身じろぎする気配。
何故だかそんな小さなことが気になった。
結局俺は眠ることが出来ず、休めずにそのまま時間だけが過ぎた。
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