183 / 2,029
本編
怒蟻と戦闘 終
しおりを挟む
俺の掛け声と共に、ラウクムくんとリーザが左右に駆け出す。
練習とかは無い、初めての訓練なのに、アイコンタクトだけで通じたか。
『ギャ!?』
即座に反応、狙いはリーザ。
多分、かなりの数のアンガーアントを倒したから、狙われやすいんだろう。
だが、やらせない。
「おいおい、目ェ逸らすなよ?スキだらけだ」
もっとも、言っても通じないが。
だから、殴って聞かせる。
「《剛砕》ッ!」
横を向いたアンガーアント、その横っ面へ光の尾を引きながら金剣が迫る。
『ギャエッ!?』
アンガーアントは驚いて声を上げたが、驚いたのはこっちもだった。
「げ、不味った」
横に振った金剣は、相手の超強靭な顎、それにガッチリと捕まった。
『ギョエェェェェ!!』
「おっ?おっおっおっおおおおおおお!」
アンガーアントがそのまま、金剣を上に持ち上げ、金剣を掴んだままの俺も一緒に持ち上げられる。ここまで強化されていたか。
上から俯瞰して見ると、ラウクムくんとリーザが突然暴れたアンガーアントに驚いて、戦技の体勢をとっさに崩し、下がって巻き添えを食らわないようにしている。
しかし…気に食わん。
たかだか蟻ごときが金剣に触れるなんて。
「ッチィ!」
真上に来た、一番高い瞬間のその一瞬前。
仕方なく金剣を手放し、銀剣を構える。
「『この身にあるは不屈の信念、この手にあるはその証、望むは証の姿なり、その姿は彼の者の剣、盾である』ッ!」
超高速で詠唱、剣のロックを解除する。
ガコン、という音を待たずに鞘を蹴り、黒剣を取り出す。
二つの剣を胸の前、水平に構え、身体を思いっきり捻る!
一瞬、息を細く吸い、吐き出し、戦技の名称を高らかに叫ぶ!
「《烙葉》!」
落下しつつ、横に回転し、二本の剣は二筋の線に見えるほど回りながらアンガーアントの身体、そのド真ん中に剣を叩きつける!
剣はバギン、という音と共にアンガーアントに突き刺さり、アンガーアントの身体全体にヒビが入る。
『ギャァァァァァ!!』
「それは蟻ン子が気軽に触ってイイもんじゃねぇんだよ、ボケが」
アンガーアントが落とした金剣が地面に落ちる前に飛びつき、拾う。
そして、当然ながらそんな大きなスキを見せたアンガーアント。
いいマトになるのは自明の理であって。
「《破落戸シリーズ 其の三》!」
「《バースト・インパクト!》」
「…《牢破り》!」
片方は爆音、片方は複数の音を一つに束ねたような異様な音。
二つが炸裂すると同時に、アンガーアントは断末魔の声を上げることすら出来ずに、爆散した。
ナイスコンビプレーだ、二人共…いや、みんなだな。
金剣を抱えながら、班メンバー全員に見えるよう、親指をグッと立てた。
練習とかは無い、初めての訓練なのに、アイコンタクトだけで通じたか。
『ギャ!?』
即座に反応、狙いはリーザ。
多分、かなりの数のアンガーアントを倒したから、狙われやすいんだろう。
だが、やらせない。
「おいおい、目ェ逸らすなよ?スキだらけだ」
もっとも、言っても通じないが。
だから、殴って聞かせる。
「《剛砕》ッ!」
横を向いたアンガーアント、その横っ面へ光の尾を引きながら金剣が迫る。
『ギャエッ!?』
アンガーアントは驚いて声を上げたが、驚いたのはこっちもだった。
「げ、不味った」
横に振った金剣は、相手の超強靭な顎、それにガッチリと捕まった。
『ギョエェェェェ!!』
「おっ?おっおっおっおおおおおおお!」
アンガーアントがそのまま、金剣を上に持ち上げ、金剣を掴んだままの俺も一緒に持ち上げられる。ここまで強化されていたか。
上から俯瞰して見ると、ラウクムくんとリーザが突然暴れたアンガーアントに驚いて、戦技の体勢をとっさに崩し、下がって巻き添えを食らわないようにしている。
しかし…気に食わん。
たかだか蟻ごときが金剣に触れるなんて。
「ッチィ!」
真上に来た、一番高い瞬間のその一瞬前。
仕方なく金剣を手放し、銀剣を構える。
「『この身にあるは不屈の信念、この手にあるはその証、望むは証の姿なり、その姿は彼の者の剣、盾である』ッ!」
超高速で詠唱、剣のロックを解除する。
ガコン、という音を待たずに鞘を蹴り、黒剣を取り出す。
二つの剣を胸の前、水平に構え、身体を思いっきり捻る!
一瞬、息を細く吸い、吐き出し、戦技の名称を高らかに叫ぶ!
「《烙葉》!」
落下しつつ、横に回転し、二本の剣は二筋の線に見えるほど回りながらアンガーアントの身体、そのド真ん中に剣を叩きつける!
剣はバギン、という音と共にアンガーアントに突き刺さり、アンガーアントの身体全体にヒビが入る。
『ギャァァァァァ!!』
「それは蟻ン子が気軽に触ってイイもんじゃねぇんだよ、ボケが」
アンガーアントが落とした金剣が地面に落ちる前に飛びつき、拾う。
そして、当然ながらそんな大きなスキを見せたアンガーアント。
いいマトになるのは自明の理であって。
「《破落戸シリーズ 其の三》!」
「《バースト・インパクト!》」
「…《牢破り》!」
片方は爆音、片方は複数の音を一つに束ねたような異様な音。
二つが炸裂すると同時に、アンガーアントは断末魔の声を上げることすら出来ずに、爆散した。
ナイスコンビプレーだ、二人共…いや、みんなだな。
金剣を抱えながら、班メンバー全員に見えるよう、親指をグッと立てた。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!
石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり!
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。
だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。
『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。
此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に
前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。
転生令嬢は庶民の味に飢えている
柚木原みやこ(みやこ)
ファンタジー
ある日、自分が異世界に転生した元日本人だと気付いた公爵令嬢のクリステア・エリスフィード。転生…?公爵令嬢…?魔法のある世界…?ラノベか!?!?混乱しつつも現実を受け入れた私。けれど…これには不満です!どこか物足りないゴッテゴテのフルコース!甘いだけのスイーツ!!
もう飽き飽きですわ!!庶民の味、プリーズ!
ファンタジーな異世界に転生した、前世は元OLの公爵令嬢が、周りを巻き込んで庶民の味を楽しむお話。
まったりのんびり、行き当たりばったり更新の予定です。ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。
ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!
ありぽん
ファンタジー
はぁ、一体この能力は何なんだ。
こんな役に立たないんじゃ、そりゃあパーティーから追放されるよな。
ん? 何だお前、自ら寄ってくるなんて、変わった魔獣だな。
って、おいお前! ずいぶん疲れてるじゃないか!?
だけど俺の能力じゃ……。
え? 何だ!? まさか!?
そうか、俺のこの力はそういうことだったのか。これなら!!
ダンジョンでは戦闘の配信ばかり。別に悪いことじゃいけけれど、だけど戦闘後の魔獣達は?
魔獣達だって人同様疲れるんだ。
だから俺は、授かったこの力を使って戦闘後の魔獣達を。いやいや共に暮らしている魔獣達が、まったりゆっくり暮らせるように、魔獣専用もふもふスローライフ配信を始めよう!!
魔力ゼロの魔法使い、杖で殴って無双する。
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
柊(ひいらぎ)奏多(かなた)、高校三年生。
卒業式の帰り道、車に轢かれて命を落とした彼が目を覚ますと、そこは夢にまで見た異世界だった!
職業は『魔法使い』──しかし、その喜びも一瞬で砕け散る。
「……魔力ゼロ?俺、魔法が撃てないのか!?」
魔法使いなのに魔法が使えない。武器を手にすることすら許されず、頼れるのは手元にある一本の杖だけ。だが、柊は諦めなかった。
「こうなったら、この杖一本で何とかするしかないだろ!」
戦闘のたびに折れる杖。買い替えるたびに減っていく財布。だが、柊は折れない。
いや、折れたこともある。だが、それでも立ち上がる!
スキルを手に入れるたびに突きつけられる現実──
「物理特化?俺、魔法使いだよな……?」
魔法が撃てない魔法使いが、肉体を駆使して異世界を駆け上がる!
笑いあり、熱血あり、たまに切なさもある異世界冒険ファンタジー!
「──杖が折れた?構わん!この拳で十分だ!」
魔法使いのはずが物理で無双する波乱の物語、いざ開幕!
チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる