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本編
勇者と勇者達
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何か知らんが学校長から休みを貰った。
いや違う、正確には学校長から休むよう命令された、だ。
何で?と思うかもしれんが、その理由は後から。自室に着いてから話すとしよう。
学校から部屋まで歩く間、ちょいと確認をしておこう。
と言っても大したことじゃないんだが。
まず、あの男女についてだが、国王で間違いないそうだ。学校長とかから聞いた話ではないが、シャルが保証してくれた。
「なんでお前が知ってんだよ」
思わず言ったら、シャルに
『それも後で説明する。まずは部屋に戻ってからだ』
と、言われた。
そのシャルも俺に一言「部屋に着いたら呼んでくれ」と言ってからまた奥にすっこんだ。
やれやれ…と、着いたか。
部屋に着くなり、おぶっていたアーネをベッドに寝かせ、どっかと少々乱暴に椅子に座る。
そう、学校長が休めと言った理由は、国王が消えた途端アーネがぶっ倒れたからだ。
学校長も突如倒れたアーネに少々驚いていたようだったが、じっとアーネを見、何か確信を得たように頷くと、俺にアーネの看病を言い渡し、最低でも今日一日は休むよう命じたのだった。
『着いたか』
「着いたぞ」
俺が椅子に座ると同時に呼びかけていたシャルが、ようやく出てきた。
部屋の中には俺とアーネしかいない。そのアーネも気絶中。やたらと肥大した胸部がゆっくりと、一定周期で上下しているのは確認しているので、そこまで不味い状態ではないだろう。…多分。
ともかく、誰も今の俺を見ても聞いてもいないので、シャルと話すなら直接口に出した方が楽だ。そんな訳で直に喋ることにした。
「で?とりあえず…」
聞きたいことは山ほどある。
なんでお前があの二人を一目見て王だって分かったのか。
なんでアーネは突然気絶したのか。
なんで王の言葉に応じただけであんなに焦ったのか。
他にも山ほど聞きたいことはあるが、最初は大したことじゃない質問から入るとしよう。
とはいえそこまで外した質問にすると、シャルに『はぁ?』と言われるのは間違いないので…
「お前最近いなかったじゃん。何してたの?」
応接室での反応から、何やらほかの勇者たちと話していたっぽいのは伝わってきた。
それも、その時の反応からして「もしも王と会った時にどうするか」という話のような感じ。
多少婉曲な表現をされても掘れるような、あえて濁した質問。
それに答えたのは──
『その質問には俺が答えよう』
「…ん?」
はて。どこかで聞いた声。
声は明らかに男のもの。
と言っても、それぐらいしか特徴が無く、故にぱっと思い出せるものじゃない。
『ちょっ、アンタはまだ──』
『はははっ、シャルレーゼ。状況が悪いってのはお前が一番知ってるだろぉ?どうせお前のちか──』
『おい、そこまでだ』
「…あー、どちらさん?」
人の頭の中で言い合いを始められても困る。思い切ってそう聞くと、男の声の方だろう、ため息が聞こえた。
『おいおい、確かに顔を合わせて話したのは一回きりだったが、その反応はないぜ?レィアくん』
顔を合わせて…?亡霊で顔を知った相手ってのは強いて言うならシャルぐらいで──
「あっ」
違う。もう一人いた。
その人物に思い当たった瞬間、一気に人物像が浮かび上がる。
薄茶の髪に黒の目、猛禽のような鋭さが残る顔持ちに、細く、けれどしっかりと鍛えられた身体。
「レイヴァー・バスター?」
『ご名答。久しぶりだな、我らが末の弟くん』
歴史の裏で繋げられてきた《勇者》と言う存在、その一番最初。そのものの始まり。
レイヴァー・バスターが飄々とそう言った。
いや違う、正確には学校長から休むよう命令された、だ。
何で?と思うかもしれんが、その理由は後から。自室に着いてから話すとしよう。
学校から部屋まで歩く間、ちょいと確認をしておこう。
と言っても大したことじゃないんだが。
まず、あの男女についてだが、国王で間違いないそうだ。学校長とかから聞いた話ではないが、シャルが保証してくれた。
「なんでお前が知ってんだよ」
思わず言ったら、シャルに
『それも後で説明する。まずは部屋に戻ってからだ』
と、言われた。
そのシャルも俺に一言「部屋に着いたら呼んでくれ」と言ってからまた奥にすっこんだ。
やれやれ…と、着いたか。
部屋に着くなり、おぶっていたアーネをベッドに寝かせ、どっかと少々乱暴に椅子に座る。
そう、学校長が休めと言った理由は、国王が消えた途端アーネがぶっ倒れたからだ。
学校長も突如倒れたアーネに少々驚いていたようだったが、じっとアーネを見、何か確信を得たように頷くと、俺にアーネの看病を言い渡し、最低でも今日一日は休むよう命じたのだった。
『着いたか』
「着いたぞ」
俺が椅子に座ると同時に呼びかけていたシャルが、ようやく出てきた。
部屋の中には俺とアーネしかいない。そのアーネも気絶中。やたらと肥大した胸部がゆっくりと、一定周期で上下しているのは確認しているので、そこまで不味い状態ではないだろう。…多分。
ともかく、誰も今の俺を見ても聞いてもいないので、シャルと話すなら直接口に出した方が楽だ。そんな訳で直に喋ることにした。
「で?とりあえず…」
聞きたいことは山ほどある。
なんでお前があの二人を一目見て王だって分かったのか。
なんでアーネは突然気絶したのか。
なんで王の言葉に応じただけであんなに焦ったのか。
他にも山ほど聞きたいことはあるが、最初は大したことじゃない質問から入るとしよう。
とはいえそこまで外した質問にすると、シャルに『はぁ?』と言われるのは間違いないので…
「お前最近いなかったじゃん。何してたの?」
応接室での反応から、何やらほかの勇者たちと話していたっぽいのは伝わってきた。
それも、その時の反応からして「もしも王と会った時にどうするか」という話のような感じ。
多少婉曲な表現をされても掘れるような、あえて濁した質問。
それに答えたのは──
『その質問には俺が答えよう』
「…ん?」
はて。どこかで聞いた声。
声は明らかに男のもの。
と言っても、それぐらいしか特徴が無く、故にぱっと思い出せるものじゃない。
『ちょっ、アンタはまだ──』
『はははっ、シャルレーゼ。状況が悪いってのはお前が一番知ってるだろぉ?どうせお前のちか──』
『おい、そこまでだ』
「…あー、どちらさん?」
人の頭の中で言い合いを始められても困る。思い切ってそう聞くと、男の声の方だろう、ため息が聞こえた。
『おいおい、確かに顔を合わせて話したのは一回きりだったが、その反応はないぜ?レィアくん』
顔を合わせて…?亡霊で顔を知った相手ってのは強いて言うならシャルぐらいで──
「あっ」
違う。もう一人いた。
その人物に思い当たった瞬間、一気に人物像が浮かび上がる。
薄茶の髪に黒の目、猛禽のような鋭さが残る顔持ちに、細く、けれどしっかりと鍛えられた身体。
「レイヴァー・バスター?」
『ご名答。久しぶりだな、我らが末の弟くん』
歴史の裏で繋げられてきた《勇者》と言う存在、その一番最初。そのものの始まり。
レイヴァー・バスターが飄々とそう言った。
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