大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

テントと食事

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もっちゃもっちゃ。
もっちゃもっちゃごきゅっ、ごくごく。
音にするとこんな感じ。
ベッドの上にいるのはラウクムくん。
じゃなくて。
最早、肉、野菜、果物、穀物…あらゆる食料と名のつくものがベッドの上に。
そして、さっきの咀嚼音(?)はベッドの真ん中から。
「…ほう、朝から豪勢だな」
「…」
先生…開いた口が塞がらないみたい。
さっき先生から聞いた話だと、昨日一日で約十キロ食ったんだろ?
これ、見た感じその倍はあるぞ。
「あ、先生ですか?(くっちゃくっちゃ)おはよう(ぐっちゃぐっちゃ)ございます」
「ナーバーヤさん、食べるか喋るかどちらかにしてくれますか?」
というか、俺に気づいてないのか。
「…………(がつがつ)」
「いや食うのかよ!」
「わっ!誰!?」
「俺だ。レィアだよ」
すると、ようやくモノを食う音が止まった。
「レィアさん?でも昨日、意識が無かったんじゃ…?」
「なんだ、情報が中途半端だな、オイ。とりあえず顔みせようか。ん?まさか昨日の今日でいっきにデブったわけじゃあるまい?」
食いモンで全く分からん。
で、しばらく謎の空気が流れた後、肉と果物をかき分けて、ラウクムくんが出てきた。
見た感じは…変わりないな。しかもあの食べ方(というか音)からは想像もつかないほど顔が綺麗なんだが。食べカスとか一切無し。
そして、あんだけ食ってて、そのカロリー的なものは一体どこへ行ったんだろうか…?
「本物だ!」
「偽物は寡聞にして聞かねぇがな」
適当にあしらい、この惨状について聞く。
「んで、なんだってこんなにヤケ食いを?」
あと、カロリーの行方も聞きたかったが、それは今は置いとくか。
「ヤケ食い?違うよ。これは治療だよ」
「そんだけ食ったら吐きそうなもんだがな…」
「えっとねぇ…血が足りなくて僕が倒れてたのは知ってる?」
当然。
そういう意味を込めて頷く。
「で、そういうのって回復魔法じゃ治らないんだよ。治癒魔法とか復元魔法とか…まぁ、詳しくはまた今度。そんな感じの魔法つかわないと血液はもどらないから、ご飯食べて治さなきゃいけないんだけど、時間かかるでしょ?」
「知らん。けど、普通に作ってたんじゃ間に合わんだろうな」
「けど、僕のスキルの副次的な効果で、消化吸収、そのほか諸々が食べる事で活性化されるんだよ。で、血液を作るためと、体全体の活性化のために食べ続けてた…というか食べ続けてる訳。…とっても効率悪いんだけどね」
なるほど、理解はした。理解はしたが…。
「もう少し静かに食えねぇの?」
ちょっとばかし響くかなぁ…。
「ぜ、善処します…」
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