104 / 2,028
本編
突破と悪魔
しおりを挟む
勿論、そんなものは幻想、夢物語だ。
「シィルさん、マナックさん、ありがとうございました。お陰で予定より早く完成しました」
現に、いつも通り破られるし。
「いえ、自分は自分に出来ることをしたまでです」
けど、今回破られたのは違った。
「あのあの、少ししか手伝えなくてごめんなさいです!」
自分とクアイちゃんが手伝いを終え、みんなが門の前に集まり、出ていこうとしていた。
「レィア、約束、守ってるかい?」
「あぁ、もちろんだ」
そう言って、別れを告げた瞬間、だった。
凄まじい震動、そして。
カタカタカラカラ!
音が鳴り響いた。
それも、一昨日のヴォルテールくんの時の比じゃない激しさで。
「!?ナナキ!」
「わかってる!」
家に急いで戻り、すぐに出てくるナナキ。既に準備は終わっていた。
「先生、ちょっとナナキを手伝ってきます!」
「わかりました!が、今回は全員で行きます!フィーネさん、人形を村の防衛に使ってください!」
「そんなのに意味無いよ!蹴散らされてるんだから!」
明らかに牛頭馬頭ではない、というのはすぐわかった。
もっと強い、もっと強大なナニカが。
そんなやつが来たってことが、直感で分かった。
しかも、この間のように、みんなのことをナナキが『足でまとい』とは言わなかった。みんなのことを認めたのかそれとも。
それとも、どれだけ頼りなくとも、その力を借りたいのか。
自分も防具をつけ、準備は出来た。
ヴォルテールくんは仕方なく、家に置いてきた。
門の前に全員が集まり、ナナキから聞いた場所は東の東、まだ結界から離れていないらしい。
走って約二十分。人形の残骸が辺り一面にちらされた場の真ん中に『奴ら』はいた。数は二。
まだ感づかれていないようなので、離れて観察してみる。
一体は、身長は四メートル後半から五メートル程か。捻れた角の生えたヤギの頭と腰のあたりから足の先まで毛で覆われ、ヒヅメで出来た足、人の身体にコウモリの翼…所謂、悪魔だ。
もう一体は、身長は大体一メートルと半ば程か?もう少しあるかもしれない。
人型で、外套で身体を覆っているため、それ以外はわからない。
わからないが、こんなところにいる以上、ほぼ間違いなく魔獣だ。
「どうする?」
「奇襲でしょ。特にあの人型から先にね。ナタリ以外のみんなは待機。合図出したら、突っ込んできて」
「アタイかい!?大丈夫かねぇ?」
悪魔という種族は、人外の膂力と人智を超えた魔法を使うという厄介極まりない生き物だ。
おまけに頭も回る。色んな姿形をする悪魔がいるが、見た感じ、オールラウンダーなタイプだ。
だが、それよりも未知数な、人形の方を優先しよう、とナナキは言っている。
「自分が人型の方をやる。ナナキは悪魔の方を…」
「いや、逆だ。ボクが人型をやる。異論は認めない」
いくよ!とナタリさんに声をかけると、ナナキとナタリさんは駆け出した。
一気にこちらへ視線が突き刺さる。
仕方なく、自分も駆け出した。
「シィルさん、マナックさん、ありがとうございました。お陰で予定より早く完成しました」
現に、いつも通り破られるし。
「いえ、自分は自分に出来ることをしたまでです」
けど、今回破られたのは違った。
「あのあの、少ししか手伝えなくてごめんなさいです!」
自分とクアイちゃんが手伝いを終え、みんなが門の前に集まり、出ていこうとしていた。
「レィア、約束、守ってるかい?」
「あぁ、もちろんだ」
そう言って、別れを告げた瞬間、だった。
凄まじい震動、そして。
カタカタカラカラ!
音が鳴り響いた。
それも、一昨日のヴォルテールくんの時の比じゃない激しさで。
「!?ナナキ!」
「わかってる!」
家に急いで戻り、すぐに出てくるナナキ。既に準備は終わっていた。
「先生、ちょっとナナキを手伝ってきます!」
「わかりました!が、今回は全員で行きます!フィーネさん、人形を村の防衛に使ってください!」
「そんなのに意味無いよ!蹴散らされてるんだから!」
明らかに牛頭馬頭ではない、というのはすぐわかった。
もっと強い、もっと強大なナニカが。
そんなやつが来たってことが、直感で分かった。
しかも、この間のように、みんなのことをナナキが『足でまとい』とは言わなかった。みんなのことを認めたのかそれとも。
それとも、どれだけ頼りなくとも、その力を借りたいのか。
自分も防具をつけ、準備は出来た。
ヴォルテールくんは仕方なく、家に置いてきた。
門の前に全員が集まり、ナナキから聞いた場所は東の東、まだ結界から離れていないらしい。
走って約二十分。人形の残骸が辺り一面にちらされた場の真ん中に『奴ら』はいた。数は二。
まだ感づかれていないようなので、離れて観察してみる。
一体は、身長は四メートル後半から五メートル程か。捻れた角の生えたヤギの頭と腰のあたりから足の先まで毛で覆われ、ヒヅメで出来た足、人の身体にコウモリの翼…所謂、悪魔だ。
もう一体は、身長は大体一メートルと半ば程か?もう少しあるかもしれない。
人型で、外套で身体を覆っているため、それ以外はわからない。
わからないが、こんなところにいる以上、ほぼ間違いなく魔獣だ。
「どうする?」
「奇襲でしょ。特にあの人型から先にね。ナタリ以外のみんなは待機。合図出したら、突っ込んできて」
「アタイかい!?大丈夫かねぇ?」
悪魔という種族は、人外の膂力と人智を超えた魔法を使うという厄介極まりない生き物だ。
おまけに頭も回る。色んな姿形をする悪魔がいるが、見た感じ、オールラウンダーなタイプだ。
だが、それよりも未知数な、人形の方を優先しよう、とナナキは言っている。
「自分が人型の方をやる。ナナキは悪魔の方を…」
「いや、逆だ。ボクが人型をやる。異論は認めない」
いくよ!とナタリさんに声をかけると、ナナキとナタリさんは駆け出した。
一気にこちらへ視線が突き刺さる。
仕方なく、自分も駆け出した。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜
ニゲル
ファンタジー
ダンジョン配信×変身ヒーロー×学園ラブコメで送る物語!
低身長であることにコンプレックスを抱える少年寄元生人はヒーローに憧れていた。
ダンジョン配信というコンテンツで活躍しながら人気を得て、みんなのヒーローになるべく日々配信をする。
そんな中でダンジョンオブザーバー、通称DOという正義の組織に所属してダンジョンから現れる異形の怪物サタンを倒すことを任せられる。
そこで社長令嬢である峰山寧々と出会い、共に学園に通いたくさんの時間を共にしていくこととなる。
数多の欲望が渦巻きその中でヒーローなるべく、主人公生人の戦いは幕を開け始める……!!
転生幼女の引き籠りたい日常~何故か魔王と呼ばれておりますがただの引き籠りです~
暁月りあ
ファンタジー
転生したら文字化けだらけのスキルを手に入れていたコーラル。それは実は【狭間の主】という世界を作り出すスキルだった。領地なしの名ばかり侯爵家に生まれた彼女は前世からの経験で家族以外を苦手としており、【狭間の世界】と名付けた空間に引き籠る準備をする。「対人スキルとかないので、無理です。独り言ばかり呟いていても気にしないでください。デフォです。お兄様、何故そんな悲しい顔をしながら私を見るのですか!?」何故か追いやられた人々や魔物が住み着いて魔王と呼ばれるようになっていくドタバタ物語。
もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜
雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。
しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。
英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。
顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。
ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。
誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。
ルークに会いたくて会いたくて。
その願いは。。。。。
とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。
他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。
本編完結しました!
裏庭が裏ダンジョンでした@完結
まっど↑きみはる
ファンタジー
結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。
裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえれてしまう。
そこで知る憧れの世界の厳しく、残酷な現実とは……?
挿絵結構あります
帝国動乱記 若しくは 婚約破棄された皇女が女帝となるまで
みやび
ファンタジー
「貴様との婚約を破棄する!!」
堂々とそう述べた婚約者は、何もわかっていなかった。
それを後押ししてしまった、兄にして皇帝も何もわかっていなかった。
政略の意味すら分からない彼らの没落と、それに巻き込まれながら足掻く皇女のお話。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる