95 / 2,028
本編
馬頭と火力
しおりを挟む
結構離れてたから、往復するとソコソコの時間にはなってたけど、同じ場所にいた。
さっき見つけたところから大して離れていなかったそいつは、三又の槍を手にウロウロと周りを歩き回ってる。
「何してんだろ?あの馬頭」
「知るか。魔獣がやろうとしてることわかる奴なんて、まぁいねぇよ」
昔っから魔獣の行動ってのは意味不明極まるものばかりだ。
農村に出て、家畜を食い荒らしたかと思えば、人には見向きもせずに帰っていき、次の日には村を何の躊躇もなく滅ぼした、という話はかなり有名な話だ。
「あ、アタイは疲れたしパスで。なんとかやっちゃってね?」
…ナタリさんは仕方ないな。いい働きっぷりだったらしいし。
まぁ、一発しか撃てないのは問題だが。
「なら、どうする?自分とナナキで片付けるか?」
「いや、一班と四班だけでやるよ。無理そうだったら…レィアさん、お願いね」
隣から声がしたと思えば、ラウクムくんだった。
「大丈夫か?アイツにはちょっと火力が足りないと思うが」
「私もいるし、大丈夫ですわ!」
お前に関しては不安しかねぇよ。
「なら、頑張ってくれ」
その一言で、ラウクムくんが頷き、何かを口に含んだ。
ちょうど親指一本ほどの大きさの赤黒いそれは、すぐに口の中に入り、見えなくなった。
「…なんかヤバイもん食った?」
「ダいじョウぶだよ。レぃアさん」
明らかに大丈夫じゃないんだが!?
身体的にも、脚と腕、あとは胸筋が一気に膨れ上がり、次の瞬間、ギュッと締まった。
そして。
ぼゥ、という聞いたこともない音を地面に鳴らせ、ラウクムくんが一人で馬頭を相手取り始めた。
「…ラウクム、なんかめっちゃ強くなってねぇ?」
タイマン張ってるんだけど。
槌で相手の槍を弾き、いなし、叩き落とす。
それも、両手で持っていた槌を片手で振るいながら。
「あらぁ?もしかして貴女わからないのでぇ?」
「うっさい。テメェは早く馬頭を倒せ」
「昨日辺りから私の扱い酷くありませんの!?」
そう叫びながらも氷の魔法を練り始めるアーネ。
そして、ラウクムくんが馬頭と戦っている後ろから四班の攻撃が炸裂する。
炸裂してるんだが…。
「火力足りてねぇな。剣士の女の子がまだマシって程度。かと言ってラウクムくんの役回りさせたら、一発ダメージ受けただけで崩れそうだな」
「うーん。彼女らの班?ってあのクズ男を中心に回してたらしいんだよ。アイツ、腹立たしい事にそれが出来るぐらい強かったらしいんだよ」
…ああ、そりゃそうか。ナナキの義手の一本を壊す程度のことは普通してたもんな。
ちなみにあの義手義足、三メートルほどの筋肉の塊みたいな大鬼と昔殴りあっても、手の甲にヒビが少し入った程度だった。
武器とかの関係もあっただろうけど、腕一本を完膚なきまでに壊したヴォルテールくんは凄かった。
…ナイフって、そんなに強いイメージないんだけど、そこは戦技とかスキルの関係だろうか。
さっき見つけたところから大して離れていなかったそいつは、三又の槍を手にウロウロと周りを歩き回ってる。
「何してんだろ?あの馬頭」
「知るか。魔獣がやろうとしてることわかる奴なんて、まぁいねぇよ」
昔っから魔獣の行動ってのは意味不明極まるものばかりだ。
農村に出て、家畜を食い荒らしたかと思えば、人には見向きもせずに帰っていき、次の日には村を何の躊躇もなく滅ぼした、という話はかなり有名な話だ。
「あ、アタイは疲れたしパスで。なんとかやっちゃってね?」
…ナタリさんは仕方ないな。いい働きっぷりだったらしいし。
まぁ、一発しか撃てないのは問題だが。
「なら、どうする?自分とナナキで片付けるか?」
「いや、一班と四班だけでやるよ。無理そうだったら…レィアさん、お願いね」
隣から声がしたと思えば、ラウクムくんだった。
「大丈夫か?アイツにはちょっと火力が足りないと思うが」
「私もいるし、大丈夫ですわ!」
お前に関しては不安しかねぇよ。
「なら、頑張ってくれ」
その一言で、ラウクムくんが頷き、何かを口に含んだ。
ちょうど親指一本ほどの大きさの赤黒いそれは、すぐに口の中に入り、見えなくなった。
「…なんかヤバイもん食った?」
「ダいじョウぶだよ。レぃアさん」
明らかに大丈夫じゃないんだが!?
身体的にも、脚と腕、あとは胸筋が一気に膨れ上がり、次の瞬間、ギュッと締まった。
そして。
ぼゥ、という聞いたこともない音を地面に鳴らせ、ラウクムくんが一人で馬頭を相手取り始めた。
「…ラウクム、なんかめっちゃ強くなってねぇ?」
タイマン張ってるんだけど。
槌で相手の槍を弾き、いなし、叩き落とす。
それも、両手で持っていた槌を片手で振るいながら。
「あらぁ?もしかして貴女わからないのでぇ?」
「うっさい。テメェは早く馬頭を倒せ」
「昨日辺りから私の扱い酷くありませんの!?」
そう叫びながらも氷の魔法を練り始めるアーネ。
そして、ラウクムくんが馬頭と戦っている後ろから四班の攻撃が炸裂する。
炸裂してるんだが…。
「火力足りてねぇな。剣士の女の子がまだマシって程度。かと言ってラウクムくんの役回りさせたら、一発ダメージ受けただけで崩れそうだな」
「うーん。彼女らの班?ってあのクズ男を中心に回してたらしいんだよ。アイツ、腹立たしい事にそれが出来るぐらい強かったらしいんだよ」
…ああ、そりゃそうか。ナナキの義手の一本を壊す程度のことは普通してたもんな。
ちなみにあの義手義足、三メートルほどの筋肉の塊みたいな大鬼と昔殴りあっても、手の甲にヒビが少し入った程度だった。
武器とかの関係もあっただろうけど、腕一本を完膚なきまでに壊したヴォルテールくんは凄かった。
…ナイフって、そんなに強いイメージないんだけど、そこは戦技とかスキルの関係だろうか。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜
ニゲル
ファンタジー
ダンジョン配信×変身ヒーロー×学園ラブコメで送る物語!
低身長であることにコンプレックスを抱える少年寄元生人はヒーローに憧れていた。
ダンジョン配信というコンテンツで活躍しながら人気を得て、みんなのヒーローになるべく日々配信をする。
そんな中でダンジョンオブザーバー、通称DOという正義の組織に所属してダンジョンから現れる異形の怪物サタンを倒すことを任せられる。
そこで社長令嬢である峰山寧々と出会い、共に学園に通いたくさんの時間を共にしていくこととなる。
数多の欲望が渦巻きその中でヒーローなるべく、主人公生人の戦いは幕を開け始める……!!
もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜
雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。
しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。
英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。
顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。
ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。
誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。
ルークに会いたくて会いたくて。
その願いは。。。。。
とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。
他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。
本編完結しました!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ボッチ英雄譚
3匹の子猫
ファンタジー
辺境の村で生まれ育ったロンは15才の成人の儀で「ボッチ」という聞いたこともないジョブを神様から授けられました。
ボッチのジョブはメリットも大きいですが、デメリットも大きかったのです。
彼には3人の幼馴染みと共に冒険者になるという約束がありましたが、ボッチの特性上、共にパーティーを組むことが難しそうです。彼は選択しました。
王都でソロ冒険者になることを!!
この物語はトラブルに巻き込まれやすい体質の少年ロンが、それらを乗り越え、いつの日か英雄と呼ばれるようになるまでを描いた物語です。
ロンの活躍を応援していきましょう!!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる