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本編
索敵とギルドの話
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道中、何も無かったと言えば嘘になる。だが、特にこれと言って特筆すべき事があったかと聞かれると「無かった」と言うような、そんな感じの時間。
一応魔獣に襲われはしたが、大したことでも大層な敵でも無かった。《雷光》の言葉をそのまま使うなら、「使う価値もないただの雑魚」という所か。
「あんな物、持ち帰ってもすぐに殺処分だ」
スキルで雷となった《雷光》が一瞬で魔獣を殺し尽くし、馬車の屋根に音もなく立つ。
「ご苦労さん。手伝えなくて悪いな」
一応魔獣の手綱を握っている以上、そう簡単に手を離して戦闘に参加は出来ない。ちなみに先生も出来ないらしい。使えねぇ。
「もう辺りにはいないのか?」
《雷光》が屋根の上からキョロキョロと見渡しつつ聞いてくる。
それに俺は心の中でシャルに「どうなんだ?」と聞いてみる。
『そうだな、阿呆みたいに遠くにいくつか反応はあるが、まだこっちには気づいてないみたいだな。ちょっかいを出さない限り大丈夫だろ』
「遠くにいなくはないが、ほっといても大丈夫だな」
「そうか。本来なら全て倒しておくべきなのだろうが…」
「あんまりやり過ぎると、ギルドの冒険者の食い扶持が減るからやめとけ。その辺の魔獣ならお前一人で根こそぎ殲滅出来るから尚更だ」
随分とまぁ昔の話に思えるだろうが、一年前にちょいと触れた「ギルド」ってのが実はある。
思いっきり風評被害や誤解を恐れずに言うなら、荒くれ者達がやる万事屋、その元締めみたいな所だ。主な依頼は日常の雑用や手伝い、臨時のアルバイトから魔獣の駆除駆逐に捕獲依頼、人探しから手紙の代筆に子供の子守りまでなんでもござれ。
とはいえ、需要も供給も高いのはやはり魔獣退治。ハイリスクハイリターンであるこの仕事に、多くの冒険者──ギルドに所属している者は好き好んでこの呼び方を使う──が世話になっており、主な収入源に数える者も当然多くいる。
そして……その、なんだ、伝え聞いた話だが、聖学とギルドの仲はあまり宜しくないらしい。
何でかって?英雄の座のせいとか、魔獣減らされてるからとか、そういうのじゃないかね?俺もギルドには過去一度行ったっきりだからなんとも言えない。
「そうか。まぁ、さもしいあの者達にはお似合いと言えばお似合いだが、今回は急いているからやめておこう。…ところで《緋眼騎士》、ずっと手綱を握っているが、変わろうか?」
「遠慮しとく。スレイプニルがお前の雷撃にちょいビビってる。むしろ離れといてくれ」
スレイプニルがと言うか、《雷光》の場合は動物全体に嫌われるんだろうな。廊下ですれ違う度に髪が浮きそうになったりすることとかも考えると、どうも度が過ぎた帯電体質っぽいな。
そういや、そのお陰で魔獣が無意識に避けてるのか知らんが、少し遭遇率が低い気がする。
「そ、そうか。では任せたぞ」
「あぁ、任された」
そう言った途端だった。
『ん?』
ん?どうしたシャル。
『なんかデカい反応が。近いな』
デカい反応ってどうやったら感じられるんだ。いよいよお前の索敵が便利すぎる能力になって来てるぞ。
『いや、これならお前も探知できる。《緋眼》で真下を見ろ。意識して強化してな』
「あん?」
緋眼を使って真下だ?
「どうした《緋眼騎士》?」
丁度、俺の声に反応して《雷光》が顔を出した。
「…ラッキー。おい《雷光》、今すぐ衝撃に備えろ」
「?、何を言って──」
直後、話を大きくしているわけでも、比喩などで言ってる訳ではなく。
地面が割れた。
一応魔獣に襲われはしたが、大したことでも大層な敵でも無かった。《雷光》の言葉をそのまま使うなら、「使う価値もないただの雑魚」という所か。
「あんな物、持ち帰ってもすぐに殺処分だ」
スキルで雷となった《雷光》が一瞬で魔獣を殺し尽くし、馬車の屋根に音もなく立つ。
「ご苦労さん。手伝えなくて悪いな」
一応魔獣の手綱を握っている以上、そう簡単に手を離して戦闘に参加は出来ない。ちなみに先生も出来ないらしい。使えねぇ。
「もう辺りにはいないのか?」
《雷光》が屋根の上からキョロキョロと見渡しつつ聞いてくる。
それに俺は心の中でシャルに「どうなんだ?」と聞いてみる。
『そうだな、阿呆みたいに遠くにいくつか反応はあるが、まだこっちには気づいてないみたいだな。ちょっかいを出さない限り大丈夫だろ』
「遠くにいなくはないが、ほっといても大丈夫だな」
「そうか。本来なら全て倒しておくべきなのだろうが…」
「あんまりやり過ぎると、ギルドの冒険者の食い扶持が減るからやめとけ。その辺の魔獣ならお前一人で根こそぎ殲滅出来るから尚更だ」
随分とまぁ昔の話に思えるだろうが、一年前にちょいと触れた「ギルド」ってのが実はある。
思いっきり風評被害や誤解を恐れずに言うなら、荒くれ者達がやる万事屋、その元締めみたいな所だ。主な依頼は日常の雑用や手伝い、臨時のアルバイトから魔獣の駆除駆逐に捕獲依頼、人探しから手紙の代筆に子供の子守りまでなんでもござれ。
とはいえ、需要も供給も高いのはやはり魔獣退治。ハイリスクハイリターンであるこの仕事に、多くの冒険者──ギルドに所属している者は好き好んでこの呼び方を使う──が世話になっており、主な収入源に数える者も当然多くいる。
そして……その、なんだ、伝え聞いた話だが、聖学とギルドの仲はあまり宜しくないらしい。
何でかって?英雄の座のせいとか、魔獣減らされてるからとか、そういうのじゃないかね?俺もギルドには過去一度行ったっきりだからなんとも言えない。
「そうか。まぁ、さもしいあの者達にはお似合いと言えばお似合いだが、今回は急いているからやめておこう。…ところで《緋眼騎士》、ずっと手綱を握っているが、変わろうか?」
「遠慮しとく。スレイプニルがお前の雷撃にちょいビビってる。むしろ離れといてくれ」
スレイプニルがと言うか、《雷光》の場合は動物全体に嫌われるんだろうな。廊下ですれ違う度に髪が浮きそうになったりすることとかも考えると、どうも度が過ぎた帯電体質っぽいな。
そういや、そのお陰で魔獣が無意識に避けてるのか知らんが、少し遭遇率が低い気がする。
「そ、そうか。では任せたぞ」
「あぁ、任された」
そう言った途端だった。
『ん?』
ん?どうしたシャル。
『なんかデカい反応が。近いな』
デカい反応ってどうやったら感じられるんだ。いよいよお前の索敵が便利すぎる能力になって来てるぞ。
『いや、これならお前も探知できる。《緋眼》で真下を見ろ。意識して強化してな』
「あん?」
緋眼を使って真下だ?
「どうした《緋眼騎士》?」
丁度、俺の声に反応して《雷光》が顔を出した。
「…ラッキー。おい《雷光》、今すぐ衝撃に備えろ」
「?、何を言って──」
直後、話を大きくしているわけでも、比喩などで言ってる訳ではなく。
地面が割れた。
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