大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

四班馬車と沈黙

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ふーむ、太陽の位置を見るにだいたい、朝八時か九時頃か?
しっかし、結構待ってるけど中々馬車来ないな…。
…お、やっと来た。
来たけど…なんか多くね?
具体的に三十匹ぐらいいるんだが…。
と、これは…止まる気配ないから、上手いこと自分で乗るしかないか…。
跳躍、そして豚の魔物…ではなくスレイプニルの方に乗る。
「誰だ!?」
男子生徒の声が馬車の中から聞こえた。
おっと、そりゃそうだよな。
「一班班長、レィア・シィルだ。訳あって手助けする」
「そうか…!ありがたい!」
そういやもしかしてコイツら、戦わずにここまで来たのか?誰も外にいないんだが…。
「誰か戦える者はいないのか!?」
「すまない!魔力切れと負傷で戦えない!」
えぇ…どんな班割りしたんだよあの糞先生…。
「わ、わかった…一人で何とかする…」
「ホントか!?大丈夫か!?」
するしかないだろうに。
「できたら援護をする!」と叫ぶ声に無言で返事をし、先ほどナタリさんから見て盗んだあの戦い方をして、数を減らしていく。
………あー、回転しすぎて目が回ってきた…。
そんな事を思いながら、少し休憩、後ろから弓矢が飛んできた。
お?援護かな?
そっちの方を見ることもなくフラリと避け、豚の目に直接ヒットする。
あれ?何気にコレって直撃コースだったよな?
「あんまり手元が定まらないなら無理しなくていいぞー」
「は、はい、すいません。気をつけます…」
さっきの男とは違う声女子生徒の声。うーん、中は大丈夫だろうか?
…よし、収まった。
再びジャンプし、ぶっ叩いていく。
矢の援護もあり、結構早く終わりそうだな。
何発かは自分の真横を戦技アーツ付きで通り過ぎて行くからちょっと怖かったけど、当たらなかったし別にいいか。
最後の一匹を叩きのめして、全力で跳ね上がり、馬車の屋根に飛び乗る。
「よっと、入ってもいいか?」
屋根から降りつつ、御者台、とでも言うのだろうか?馬を御するあそこから聞く。
「…構わないが、一班の馬車はどこへ?」
そりゃそういう質問になるわな。
「アンタらを助けてるうちに先に行かれたよ…。そんなわけでこのままこの馬車に乗りたいんだが」
ちなみに、「無理」と言われても屋根に乗っていくつもりだ。
「…わかった、入ってくれ」
結構渋られた気がするが、とりあえず許可が出たから入らせてもらう。
剣をアクセサリーにして、首にかけながら失礼しまーすっと。
中には男子一人、女子四人が縮こまって入っていた。
「んお?」
よく見たら、全員見た顔だな。いや、クラスメイトとかそう言うヤツじゃなくて…。
「…まぁ、あっちの馬車に追いついたらすぐに出ていくからさ、それまでの間だけでいいから相席させてもらうよ」
なんか、空気が少し澱んでるというか、重いと言うか…。
この重い空気のまま、昼頃にスレイプニルの昼食のために止まった一班メンバーに会うまで誰も喋らなかった。
…あれぇ?自分ってなんかやらかしたっけぇ?
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