大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

総当りと観戦

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「先生、自分達は何してればいいですか?」
次の日の訓練にて、他の班は総当りをしている中、自分達はどうせ行くから総当りから外されていた。
先生曰く、「無駄に一戦多く戦わせる必要はないですから」とのこと。
「そうですねぇ。観戦してるか、自主練習か。ともかく好きにしてて下さい」
放り投げか。このあたりは流石兄弟と言ったところか。
「だってさ」
後ろの一班のメンバーに伝える。
「なら、アタイとクアイは観戦してるよ」
「えっ?私は…はわわっ!」
どうやら、ナタリさんは結構クアイちゃんのことを気に入ってるらしいな。完全に人形になってる…。
「僕は…僕も観戦してるね」
なにか言いたげなラウクムくんは、結局観戦に行った。
「お前は?」
「貴女が相手してくれるなら訓練、じゃなきゃ観戦しますが?」
「…ダルイから観戦しとこうか」
お前とは相性いいからこっちの蹂躙で済むんだよな…。
アーネって、基本的に『圧縮』頼りの高火力魔法ブッパで、ついでに言うなら、弾は小さい。
だから、自分からしたら避けながら懐に入れば、相手も自爆になるから魔法は使えず、そのままやられるしかない…。
ほら、自分が勝った後、アーネが食ってかかる未来しか見えねぇ。
「まぁ、次に戦う時は私の圧勝ですからね」
「ほざけ。つーか、どこからそんなに自信が出るんだよ」
前回っていうか、初対戦の時は剣すら抜かなかったぞ、自分。
とか言ってたら、総当りしてるフィールドの中の一つで、大きな爆音が鳴り響いた。
「…観にいくか」
「ですわね」
ちなみに、実際戦ってるフィールドは二つで、一班だけ休み、残りの班は戦い、自分達は観戦って感じだな。
フィールドとフィールドは結構離れてて、万が一攻撃とかが飛び出てもとなりのフィールドには被害は出ないようにはなってる。
「うお、アレが『戦える生徒』、か…」
納得だわ。
踏み込み一つとっても、鋭く、無駄がない。
今、細身の剣を振っているショートヘアの彼女なども、剣を振る動きに合わせて、体をひねり、肩に力を乗せ、肘で伝え、手首でそれらを最大限に繰り出している。
その一撃から出される戦技アーツに至っては、もはや解説などは要らないだろう。
自慢になるかもしれないが、自分や《不動》、ナタリさんはそれを当然のようにやってる。けど、例えばラウクムくんなんかは、戦技アーツ頼りの戦い方であることは、やはり否めない。
その結果、戦技アーツの連続使用という独特の戦闘スタイルに行き着いたのは、ある意味、偶然の末の必然とも言えるが…。
ちなみに、魔法使いに関しては自分はさっぱりわからん。だから、アーネやクアイちゃんの行動がどのくらい凄いのかとかは全くしらん。
そんなことを思いながら周りを見渡して、ラウクムくんを探してみる。
いたいた。けど、話しかけるのはやめよう。
ものすごく集中してて、何一つも見逃さない、そんな感じ。
総当りは特にイレギュラーはなく終了した。
どれだけ攻撃が当たってもぶち抜けないフィールドってすげぇ…。
あと、衝撃の事実。
「はい、それでは、明日の朝四時頃に出発しますので、着替えやその他諸々、準備をして校門前に集合をお願いしますね。片道一日、滞在三日ほどを予定してますので、そのつもりで」
急な話だな。
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