日本ワインに酔いしれて

第１章

熊本ワインファーム 菊鹿シャルドネ

「ところで、彼女さんとかいるんですか？」
「ええ、いますよ。もうすぐ結婚する予定なんです」
「へえ、そうだったんですか」

　”いい天気”での会話。
　それで終わりだと思っていた。

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　次の日。
　夕食は春キャベツと桜えびのパスタ。

　オイルベースのパスタだ。

　それに合わせるワインは・・・

　熊本県熊本市
　熊本ワインファーム株式会社　菊鹿シャルドネ

　とても香りの良いワインだ。華やかな香りの中に、口に入れた時にすこしスパイシーな香りもする。
　味は柔らかな酸とフルーティな優しい味が同居している。

「結構美味しいワインだね」
　オイルベースのワインとの相性もいい。

「ところで、健司さん」
　美月がなにか気になるような表情をしている。

「ミキちゃんが、”いい天気”の常連さんから聞いた相談ですけど」
「え？」
「私が帰っている時に、”いい天気”で女性と楽しげに会話してたって聞いたんですけど、どういうことですか？」

　その後、健司は必死に弁解した。
　その女性とは、たまたま隣になって話したこと。
　決して、”楽しげに”会話していない・・・それは酔っ払いの常連が誇張しているということ。
　ちゃんと、彼女がいると話したこと。
　その場で別れてそれっきりってこと。

　まぁ、本気で疑っているわけではないようであったが・・

　今後、あの店に独りで行きづらくなったと感じたのであった。