日本ワインに酔いしれて

三枝 優

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第1章

閑話 健司vsミキ

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金曜日、残業を終えて夜9時過ぎに”いい天気”にやってきた。
この時間なら、席は空いているだろう。

「いらっしゃい~。」
「こんばんわ、席空いてる?」
「大丈夫ですよ~」
中にはいると、半分くらいの客の入り。
「こちらへどうぞ~」
「いや、ここに座れ。」
「は?」
いきなり命令してきたのは瀬戸美月さんといつも一緒に来ている女性。
たしか、ミキちゃん。
今日は一人で来ているらしい。

「ここ、空いてるぞ、早く座れ。」
真剣な顔で隣の席を指さしてくる。
拒否できない感じ。

えー・・・・


「美月に聞いたよ。一緒に旅行に行ったんだって?」
「まぁ、強引に約束させられたしね。」
なんか、針のむしろ感がすごい。
私、なんか悪いことしたでしょうか?
「その後も聞いたぞ。」
「その後って・・・・?」
「家に連れ込んだらしいじゃないか。」
「明らかに、その認識は間違っている。」
「しかも泊ったとか。」
声をひそめて言ってきた。
おいおい、そんなことまで話したのかよ。
「あの子は、純情なんだ。だます気だったら容赦はしないぞ。そこんとこどうなんだ?」
なにか、大きな勘違いしていないか?
「俺は、無実だ・・何か誤解しているようだけど。」
「誤解だと?なにが誤解だっていうんだ。」

ふぅ
ため息をついて、頭を整理する。
「たとえば、仮定の話をするが。」
「なんだよ。」
「飲み屋に入って、旅行に行く話をしていたら、隣のイケメンがどうしてもついてくるって言ってきたらどうする?」
「ドン引きだね」
「それでも、どうしてもついて来たとしよう。旅行先で酔っ払って、自宅までどうしてもついてくるってイケメンが言ったとしよう。」
「ありえないね。」
「そして自宅では、酒を飲んだ末に酔いつぶれて眠ってしまったらどう思う?」
「そんな奴いたらたたき出すね・・・・え?」


え・・・・?



「もちろん、俺はやましいことは何にもしていない。」

あー、これはヤバいね。
美月何やってんだよ?聞いていた話と全然違うじゃん。

この先の、美月の恋路はとても険しく困難なものになりそうだと悟った。
「あー、なんとなくわかった。」
「俺も、わかったことがある。」
「なにが?」

「君の友達は、かなりの天然《ポンコツ》だってことが。」

どうフォローすりゃいいのか、わからなくなったミキちゃんであった。
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