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第2章

ゴブリン王の砦へ

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ロドリゲス達の元へと戻り、
クリスの姉エリスを救出するべくゴブリン王の居城へと向かう事を伝えた。

「リトルレディーは騎士達と先に村へ退避するべきだろうね。」

半壊した馬車を運ばずに先に村へと帰す事する。
俺、ロドリゲス、クリスの3人の少数精鋭でエリス救出作戦を進めるとしよう。
向こうの戦力がどれくらいなのか未知数だが、潜入して女一人掻っ攫ってくる事ぐらい余裕だろう。俺なら。
ロドリゲスは戦力にもなるし、俺のアドバイザーとして役に立つ。一人は寂しいしな。

クリスは一度、ゴブリン王の居城へ潜入しようとし失敗して捕まり現在に至っているわけで
ゴブリン王の居城までの道のりを案内する事が出来るようだ。
コイツがどれぐらい戦えるのかも道中で確認する事になるだろう。


※ ※ ※

「何があるかわからない。
武装や役に立ちそうな物があったら持って行ってくれ。
エリス卿をどうかよろしく頼むっ…」 

騎士共の中で少し偉そうなオッサンが、半壊した馬車の中などから色々持って来た。

「ふむ、僕は武器を必要としないけど頑丈そうな手甲ガントレット足甲グリーヴが有れば貰いたい。」

ロドリゲスは下着や頑丈そうな服も貰い、ちょっとした拳闘戦士の様な出で立ちになった。
クリスの着ていた上着と同じキルティングの服コットンタブレットの前を全開にし、キラリ☆とサムズアップしていた。

「少し距離がありますので糧食と水を少々頂きます。マイマスター。武装や服などは如何いたしますか?」

クリスも新しい武装と服を身に纏い、細身の長剣ロングソードを腰に挿していた。

「んー、鎧とか重そうじゃんね。
マジックキャスターっぽいローブとかネェの?」

フレイルやら短めの槍など物色してみたものの手に馴染む武器が何も無かった。
俺の獲物は拾ったゴブリンの棍棒でいいだろう。

「そっ、それでしたら私のローブがありますっ!是非っ、ぜひぜひ着て下さいっ!」

馬車の荷台の奥からゴソゴソと引っ張り出して来たクリスのローブ。
生地はピンク色で得体の知れないお花柄だった。

「お、おう…」

クリスは鼻息を荒くしローブを俺に着させようと近付いて来た。近い。近いって。
めちゃくちゃ皆んな見てるって。ドサクサに紛れて何処触ってんだ。
ちょ、ちょっと鼻息やら吐息やら近い、近いよ。
しかしいい匂いすんなちくしょう。

「わぁ!凄く似合います!可愛いです!マイマスター!」

キャッキャキャッキャ小さく飛び跳ねて喜ぶクリスを見て、何とも言えない気分になった。
少し離れた場所から騎士達は死んだ魚の様な瞳で俺達を見ている。


(ボソボソ…あれ女になったな…ホモセックス…見た目美少女だからって鬼畜…俺達のアイドルが…あの格好シュール過ぎるだろ罰ゲームかよ…ボソボソ)


普通に聞こえるからね。この距離。
おいおいクリス。誤解を招く行動を取らないでくれ。頼むから。
奴らに違うと説明してくれ。最後までシてないって。

はしゃいでいるクリスと見ていたら
なんとも居た堪れない気分になり、その場を離れる事にした。
クリスは俺の腕に上機嫌でしがみつき、
上目遣いで「マイマスタぁ…エヘヘ」とか…
ちくしょう。何で女じゃないんだ畜生。


※ ※ ※


「クリスぅー!絶対絶対生きて戻って来るのです!
何かあったらロドリゲスさんと一緒にあの男を殺してでも逃げて来るのですー!!
あれ?原始人はなんでそんなエキセントリックな格好してるです?罰ゲームです?
頭お花畑ですー!凄く気持ち悪いから戻って来るなですー!」


ガキンチョ達に見送られ、俺達は森の奥へと進んで行った。


森の奥はちょっとした原生林のようで異質な雰囲気を放っていた。
その辺からヒョッコリ魔物とか普通に飛び出して来そうだ。
ゴブリン共の領域は人の手を伸ばすには少々厳しい環境みたいだな。

そしてしばらく歩いていると妙に毒毒しい植物を見つけた。


【 万能薬・傷薬 生成】条件:この植物を食べる


「なあ、ロドリゲス。お前さ、騎士達に治癒の魔法かなんか使ってなかった?」

「うん、僕は肉体強化が得意だけど初歩的な治癒の魔法も使えるよ。」

「この植物なんだけどさ、傷薬になんの?
もしなるとしたら治癒の魔法とどっちが効果高いの?」

「この植物はヌシトリロコさ。珍しい植物だよ。
根が致死性の高い猛毒だけど、葉や茎は万能薬の材料になると聞いた事があるね。
僕は薬師ではないから扱う事は出来ないけど。

もし薬になるとしても、軽度の傷なら治癒の魔法の方が即効性があるだろうね。
深めの傷や体調不良には薬の方に軍配が上がる事もあるけど…」

「そうか。(パクリ)」

「…ふぇ!?!?」


とりあえず食べてしまった。
なんとなく大丈夫だろうと軽い気持ちで口にした。
俺の腕にくっついているクリスも唖然としていた。

エグ味、苦味が口の中で広がり「良薬口に苦し」とは良く言ったもんだな、とボンヤリ思い
バタリとその場に崩れるように俺は倒れ、意識を手放した。





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