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あれが、ソ連軍の戦車なのかっ!

派遣軍の隊員らが・・・いかに大変なのかを理解した国民だ。

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 ここは、富士大演習場だ。
荒れ地や荒野や平原が・・・延々と続いているのだ。
 もちろん、満州平原ほど広大ではないが・・・狭い内地では、広い方なのだ。
朝から花火が上がっている。
 そう、大演習の当日なのである。
天気晴朗なれど、微風あり・・・なんて、演習には最適な天候だ。
 見学者は長蛇の列をつくって・・・もぎりの下っ端隊員らが・・・慣れない手つきでキップを拝見なんて・・・
もちろん、タダではない。
 見学するには、協力金を払ってキップを買わねばならない。(売上金は派遣軍の予算へ加えられるのだ。)
キップは駅や役所や駄菓子屋でも販売している。
 そして、座席は指定は無く、テキトーな詰め込みだ。(富士総火演と同じだ。)
なんせ、草原に指定はないからだ。
 三角コーンとヒモが引いてあるだけである。
もちろん、地面は地肌である。
 見物人はゴザなり敷物を持参するのだ。
会場には売店や茶店が軒を連ねて・・・売り子が朝から客よせに・・・

 「会場の皆さま、ながらくお待たせしたしました。」
「ただいまより、今期の大演習を・・・」と、拡声器が広報だ。
 やがて、不快なサイレンが~
「ガ、ガ、ガ、ガ、キュル。、キュル。」と、不快なエンジン音や履帯の音が響く・・・
 ソ連軍戦車の侵攻である。
無骨なソ連製T-26型戦車が彼方に現れる・・・
 満州国、ハルピン市の町並みが再現された模擬家屋から現地住民のエキストラが逃げ出してくる。
これは、もちろん演出だ。
 大八車に荷物を載せて・・・あたふたと逃げ出すのだ。
泣いた赤ん坊を背負ったママさんなど、演出が手に汗を握るのだ。
 「ドウン。」と、露スケの砲撃が・・・崩壊する町並みだ。
着弾の爆発は仕掛けた火薬だが、煙が多く出るやつだ。
 ソ連軍の猛攻を示すに最適なのである。
ここは、悪役であるソ連軍という図式なのである。
 もちろん、プロパガンタだ。
でも、真実でもあるのだ。(ウクライナを観ればわかるだろう。)
 模擬家屋(映画のセット様)が破壊されて・・・噴煙が・・・
やがて、風が吹いて・・・煙幕が晴れる。
 そう、これが・・・皇軍たる陸軍戦車部隊の登場の合図なのである。
進軍ラッパが高々と鳴り響く・・・やがて、「キュル、キュル。」と、履帯の音が・・・
 ソ連軍のエンジン音とは違う、滑らかなジーゼル・エンジン音が響いてくる。
「皆さま、左手をごらんください。」
 「我が軍が登場です。」
大演習は盛り上がるのだ。
 これは、国民へ陸軍は暇で遊んでばかりだ・・・と、声高に叫ぶ野党を黙らせるための演習でもあるのだ。
軍隊は戦争が無ければ・・・イラネーなんてモノではない。
 いざ、鎌倉となったときに使えないようではイカンのである。(遺憾砲では、イカンのである。)
平和なときこそ、訓練に明け暮れねばならない。
 それが、抑止力をもたらすのだ。
軍隊が強い国へは・・・誰も侵攻しようとはおもわないからだ。
 12両のソ連軍に対して・・・皇軍も12両の九七式改戦車を投入する。
24両の戦車が砲撃しあう演習は山場を迎えるのである。
 1両、1両とソ連軍のT-26が履帯が切れたり、エンジンから黒煙が・・・(見せかけの煙だ。)
なんせ、来年の演習にも、ソ連製戦車は使わねばならない。
 それで、再利用できるように演技で破壊された風を装うのである。
ソ連兵に扮したヤカラが戦車よりスタコラと逃げ出す。
 逃げる兵は、追わない日本軍だ。
なぜなら、武器を放っていくからである。
 そして、12両のソ連軍戦車が破壊されて・・・演習は終了となるのだ。

 「今年の演習は戦車がモノホンだったから最高じゃ。」と、観客の感想は好評だったのだ。
無骨なソ連軍兵器をマジマジと見せたのは正解だったようだ。
 国会で例年なら陸軍予算削減の野党の演説が盛大に・・・それが、今年は少なかったのだ。
やはり、ソ連軍のマジな兵器は危機感を植え付けたようである。
 しかし、機密事項で明らかにはされなかったが・・・ソ連軍のT-26には欠点が多々発見されたのだ。
それは、無線機や照準器の判明していた以外の問題なのだ。
 まずは、主軸の耐久性が劣るということだ。
主軸とは、エンジンからの動力を伝える軸のことだ。
 当然、ベアリングがかましてあるんだが・・・ベアリングの精度や中心軸が微妙にずれてるのだ。
工作機械の精度がイマイチなのだろう・・・
 ソ連軍の兵器工場の工作機械が精度が出ていないということが判明してしまったようだ。
鋳造技術は、まあまあなんだが・・・鋼鉄の質が劣るのだ。
 日本製の鍛えられた鋼とソ連軍の戦車の鋼板では・・・厚さが同じでも別物なのだ。
これは、現物を比べて初めてわかったことなのだ。
 そして、ジーゼル・エンジンの燃料噴射装置が精度が悪くて熱効率が悪いのだ。
つまり、同じ容量のエンジンでも日本製とは馬力の差があることが判明したのである。
 おなじ、90馬力なのだが・・・八九式戦車とT-26と比べると・・・微妙に差がでるのである。
そして、エンジンの変速機にも差があるようだ。
 全体的にソ連軍の戦車というか武器全般なのだが・・・工作が甘いというか・・・大雑把なのだ。
そう、ソ連軍はやっぱり熊(猛獣だ、プーさんではないのだ。)だったことが判明したのである。
 「シナや朝鮮の武器も酷いがソ連軍も50歩100歩だな。」と、感想を述べる主任技師であったのだ。
「この戦車は、エンジンがせいぜい1000キロも走行したら交換だな。」と、耐久性が無いことが・・・
 「我が、九七式改は9000キロでエンジン交換だ。」と、技術に自信がある主任技師であるのだ。
戦車のエンジンは常に目いっぱい廻してるから・・・交換サイクルが早いんだが・・・
 「まさか、1000キロも持たないとは・・・」
ドイツ帝国でも、エンジンは3000で交換だから、日本軍のエンジンが如何に耐久性があるのかということなのだ。
 

 
 


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