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簡易組み立て式の戦車だぞ。

落下傘降下できる戦車が、あるなんて!

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 「えっ、あの話は、マジだったんですか?」と、先任が驚く。
「そうだ、夢ではないぞ。」と、藤堂君がドヤ顔だ。(自分が造ったのではないんだが・・・)
 「いままでは、携帯機関銃(短機関銃)と擲弾筒だけだったんだが・・・」
「やっと、我が空挺部隊にも近代的兵器が配備になりそうだぞ。」
 「落下傘降下できる戦車があるなんて・・・」と、驚きの顔の先任である。
「うむ、我が陸軍の工廠は海軍のボケナスではないからな。」
 「そうですね。」と、先任と司令が二人で大笑いである。
イイダ艦長代行はロジア海軍のトラウマを・・・まだ、引きずっていたんだが・・・
 「よし、こうしてはおれないぞ。」「大連港で出迎えだ。」
「あきつ丸の到着は?」「ハイ、3日後だと・・・」
 「そうか、では反省会だな。」と、藤堂君が吠える。
定番のヤツが始まった日本陸軍の満州派遣隊である。

 その、反省会の前に読者諸氏へ・・・空挺戦車なる兵器の解説を・・・
もちろん、最大の軍事機密だ、内密に願いたいのである。
 空挺戦車はアルミ製ではない。
当時はアルミ合金は高額で戦闘機や爆撃機の需要で手が一杯だったのだ。
 それで、鋼鉄は重いから無理である。
そして・・・青銅も他の合金の無理といってもいいくらいだ。
 ここで、ダマスカス鋼の登場だ。
これは、古代インドの技術であるらしいのだ。
 それは、薄い金属の重なりが強い金属を造る構造なのである。
そこからのヒントで軽量の合金を創りだしたのである。
 その合金は水圧ハンマーで叩いて鍛えた合金なのだ。
それで、その空挺戦車の車台を製作して・・・エンジンはアルミの鋳造だ。
 V型12気筒のジーゼル・エンジンである。
主砲は30ミリ機関砲だ。
 40ミリと、言いたいんだが・・・重量が・・・それで、30ミリ機関砲となったのだ。
そして、これが空挺戦車の最大の特徴なんだが・・・履帯は無いのだ。
 なぜなら、履帯というものは重たいからだ。
そして、車輪は8輪あるんだが・・・8輪駆動なのである。
 それで、装甲車ではなく、空挺戦車だと陸軍技術工廠は言ってるのだ。
もちろん、投下するときは乗組員は乗ってはいないのだ。
 零式輸送機の胴体へ分解して載せられているのだ。
そして、後部の巨大なハッチから投下されるのである。
 部品として5個口だ。
そして、地上で空挺隊員が組み立てるのだ。
 時間にして・・・15分で組み立てられるようである。
履帯が無いからだ。
 戦場で履帯が外れた戦車は・・・粗大ごみなのだ。
履帯の修理は時間がかかるものだ。
 どうしてなのか?
それは、履帯が1枚でも重たいからだ。
 普通の成人男性でも、一人では持てないほどの重さなのである。
それが、無いから・・・上空から投下できるのである。
 乗員が3名と分解された空挺戦車は零式輸送機1機に、なんとか1両分を収めることができるのだ。
つまり、零式輸送機1機=1両の空挺戦車ということなのである。
 内地から新たに組み立てられた零式輸送機2機が飛来して・・・2両の空挺戦車が大連港で荷揚げされてのである。
 満州国での初の戦車だ。
いままでは、ソ連軍の戦車に蹂躙されてたが・・・これからは、皇軍の戦車が対抗することになるのだ。
 反省会の前に・・・無双の助っ人が・・・2両加わった満州派遣軍である。
次回は反省会ということで・・・
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