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満州国境警備隊②

今度は、全滅はしないぞ!

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 ひた走る・・・なんも考えずに走る・・・
息が切れそうになるが・・・そこは、慣れた満州平原だ。
 オレが育った土地なのだ。
地面は凹凸があるが・・・そこは、慣れたオレにとっては問題ではない。
 転びそうに・・・いかん、転んでしまう・・・しかし、しかしだ。
クルっと廻って(柔道の受け身の要領で回転して起き上がる。)走り続けることができるんだ。
 草原男子を甘く見るなよ! 
マラソンという競技は小柄な選手が強いとか・・・それと同じで、小柄な満州人はマラソンに強かったのだ。
 短距離はアフリカ勢に負けるが・・・長距離は無双なのである。

 「敵襲だーーーーーっ。」と、永琳が本部へ駆け込んだ。
「なんだと。」「場所は?」
 「・・・」息が切れて声が出ない・・・
「招集だ。」「総員、起こしだ。」
 床に倒れ込んだ永琳・・・しかし、誰も助けない・・・
追撃せねば・・・国がソ連軍に蹂躙されるからだ。
 警備隊、残り全員が銃を持って駆けだしたのは、5分後だ。
もちろん、永琳君は床に倒れたままである。(まだ、死んではいないからね。)
 永琳君は負傷して倒れたわけではない・・・走って疲れたからだ。
マラソンランナーがゴールして・・・同じように、なってるからね・・・
 そのうちに、治るからだ。
それより、現場に残ってる・・・伍長は・・・すでに・・・
 
 「くそっ、どこから撃ってくるんだ。」
現場に残った伍長は・・・通信機を盾にして、敵の銃弾から身を守っていたのだった。
 敵の銃撃で穴が開いてるが・・・敵の銃弾は通信機内部で止まっていた。
日本軍の配備した通信機は軍事機密保持のための方策がされていたのだった。
 つまり、ソ連軍の手に堕ちても・・・軍事技術がソ連軍へ漏れないような方策だ。
それは、分解しようとすると・・・内部が損傷して復元できないようなワナが仕掛けられていたのだ。
 それで、単なる銃弾くらいでは破壊できないのである。
「以外に、通信機は銃撃の盾に使えるもんだな。」と、変なことに感心する伍長である。
 「ドキューーーーーン。」と、また狙撃だ。
しかし、通信機にさえぎられて・・・銃撃に耐える・・・
 「くそっ、場所さえ判明すれば・・・」と、三八式で彼方を狙う・・・
実用射程距離は2000メートルと聞いてる。
 つまり、狙えば・・・距離が2000メートルでも命中するということなのだ。
もちろん、風や温度で変化するんだが・・・銃弾が直線で2000メートル行くってことなのである。
 そのために、距離によって照準を替えられるように目盛りが照準器に刻んであるくらいなのだ。
その刻んだ目盛りは2600メートルまでだ。
 目視では・・・無理だ。
それで、望遠スコープが優秀な兵士には配備されてるくらいなのだ。
 さすがに、そこまでは伍長は優秀ではなかったのだが・・・

 「くそっ、どこからだ・・・」 まだ、伍長は彼方を探して・・・いたのだった・・・
ソ連軍の狙撃兵は・・・普通の兵隊ではなかったのだ。
 なんと! オンナ、つまり女性だったのだ。
ソ連軍には女性の兵隊が少なくなかったらしいのだ。
 内地の日本の皇軍や満州軍は野郎ばかりで・・・本部の事務員や通信員へ女性の士官が・・・
ところが、ソ連軍は最前線に女性の兵士を出してくるのだ。
 とても、常識では考えられないのだが・・・
それは、ソ連軍が共産党の軍だからである。
 共産党は皆、平等に給金などを分けるのが・・・基本である。
つまり、変な思想なのである。
 それで、野郎ばかりが兵隊で前線へでは・・・平等ではないとして、女性に兵士までやらせるのである。
日本や満州国では、戦うのは野郎であって・・・オナゴは銃後の守りなのだ。
 それが、最高神アマテラス様の国である日本、そして石原莞爾が建国した満州国の理念なのだ。

 「くそっ、くそっ、くそっ・・・」と、伍長の忍耐が切れそうに・・・なりそうだ・・・
「ん、なんだ?」 かすかに機械音が・・・
 「まさかっ、ソ連軍の戦車かっ。」
「キュル、キュル。」と、履帯が車輪と擦れる音が・・・
 「ゴウン、ゴウン。」と、ソ連軍戦車特有の枯れたジーゼルエンジン音が・・・
「まさか、マジかよ・・・」と、途方に暮れる伍長だ・・・った。


 
 
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