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空挺部隊と戦車隊。

満州平原は広大だ、だから空挺部隊なのだ。

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 ここは、満州国の皇帝の居城である。
まあ、建国して数年だから・・・居城も質素な建物である。
 そして、満州国は放牧が主な産業だった。
つまり、国家予算が・・・潤沢ではないのだ。
 最近になり、大豆の栽培を始めて・・・欧州へ輸出して外貨が入ってくるようになったが・・・
まだ、まだ、である。
 「国防大臣を呼べ。」「ハ、ハッ~ッ。」と、侍従がさがる。
やがて、国防大臣が・・・「お呼びですか?」と、頭(こうべ)をさげる。
 「うむ、余の儀ではないが・・・」
「日本からの派遣軍が120名とは、ちと・・・少ないのではないかのう・・・」
 「ハ、ハッ、陛下にあらせられては・・・・」
と、お決まりのセリフだ。
 まあ、難しい言い訳を・・・並べ立てれば・・・皇帝も・・・
「うむ、しかしじゃ。」「120名の派遣軍が国防の切り札では・・・少ないと・・・」
 「ハ、ハッ、わかりました。」「増員を要求しますましまする・・・」
「うむ、よきにはからへ・・・」
 満州国は日本へ派遣軍の費用を支払ってはいないのだ。
つまり、限られた予算では・・・近代的な日本軍の軍事費なぞ・・・無理なのだ。
 日本に要る在日米軍とは雲泥の差なのだ。(在日米軍は潤沢な予算が日本政府から・・・)
牧畜が主な産業の国は・・・基本、貧乏だからだ。
 やはり、近代的な重工業が無いと、国は潤わないものである。
自国で軍艦や戦車を建造できることこそが・・・先進国の証(あかし)なのである。
 そして、1等国となると戦闘機の設計や生産能力があるか、ということが証でもあるのだ。

 「なんだと。」「あのう、兵員の増加要請が・・・」
「またかよ・・・」
 満州国の防衛大臣が再三にわたり、増員要請を・・・
「もう、現在の120名の部隊でギリだって伝えておけ。」と、庶務主任が吠える。
 「最新の戦闘機12機と輸送機2機、そして戦車隊まであるんだぞ。」
「それ以上、なにが欲しいんだ。」
 「まさか、軍艦じゃないだろうな。」
満州国には海軍は無いのだ。
 海防は全面的に日本海軍が・・・大連港は日本軍の軍港があるからだ。
ちなみに、大連港は日本の租借地だ。(日本の外地みたいなものだ。)
 だから、日本海軍の軍港があるのだ。
大連港からウラジオストクのソ連海軍へ睨みをきかせてるからである。
 日本海海戦の大勝利はロシア艦隊の極東の壊滅となったのである。
それから、共産党の革命でソ連邦になっても日本軍の睨みは効いてるのである。(ソ連軍にとり、頭上の岩だ。)
 「あのう。」と、満州国の国防大臣が派遣軍の事務所へ・・・
そして、庶務の主任へ・・・嘆願である。
 「我が皇帝が120名では、ちと少ないと・・・もうして・・・」
「うむ、それは聞いてるのだが・・・」
 「空挺部隊を運ぶ輸送機は2機しかないのだ。」「そして、1機に30名の隊員だ。」
「30名づつ、4交代で廻してるのだ。」「増員は無理なんだ。」
 「そこのところを皇帝陛下へ・・・」
「私では、イマイチなので・・・」「ぜひ、主任殿が・・・」
 「そんな、恐れ多いことなんてできないよ。」と、断る。
「空挺部隊は隊員の軍事費が大変なんだよ。」「いまの120名でギリだ。」
 「なんせ、空挺部隊は内地には無いんだぞ。」
「世界で空挺部隊が常駐してるのは満州国だけなんだ。」と、明かす主任だ。
 「空挺部隊は、我が陸軍の最高の兵員が任命されるのだ。」
「定員は120名と決まっている。」「つまり、120名は陸軍の上からなのだ。」
 「まあ、言ってもわからないだろうから・・・」
「そうだ、皇帝やお歴々を招いて・・・盛大な軍事訓練を披露すれば、満足するのではないかな。」と、アイデアだ。
 「それが、いいぞ。」「演習の予算なら、軍令部は文句はいわんからな。」
さすがに、訓練費まで削れとは言わない軍令部だ。
 訓練で泣いて、最前線で笑うのが日本軍なのである。
「よし、さっそく司令へ・・・」と、庶務主任は藤堂司令へ・・・

 「ふむ、皇帝陛下と取り巻きに演習をか?」と、司令だ。
「え、え、増員の要望が・・・」
 「それは、聞いている。」「つまり、なんだ。」
「早い話が・・・」 ちっとも早くないんだが・・・
 「派手な演習で煙にまこうという・・・」
「そうです。」
 「わかった、派遣軍合同の派手な訓練でソ連軍への抑止力とするのだな。」と、納得する司令だ。
こうして、戦闘機隊と零式輸送機、そして空挺降下訓練と戦車隊との派手な演習が決定されたのである。
 「それで、敵役は居るのか?」
「えっ。」
 「敵役がなければ、派手にならんだろう。」
「う、う、うむむむ。」と、悩む主任だ。
 「そうだ、大連港の空母部隊なんて・・・」
「海軍か?」「え、え、まぁ・・・」
 「これは、おもしろいぞ。」
「我が陸軍とチンケな海軍と雌雄を決するときがきたようだ。」と、豪快に笑う藤堂少佐であった。

 「なんだと、陸軍からの挑戦状だと。」「はぁ。」
「見せてみろ。」 伝令が通信文を・・・・
 「なになに・・・陸軍と空母の陸戦隊との合同演習の・・・」
「これは、陸軍からの果たし状ではないかっ!」と、大連港の空母艦橋でワメク・・・・艦長のイザジ中佐だ。
 「くそう、我が偉大なる海軍が海兵隊を創設したことが・・・バレたようだな。」
「どこから、わかったんですかね。」「うむ、まさか幹部に内通者が・・・」
 海軍は陸軍が満州でのソ連軍との紛争で2回も撃破したことが・・・今上陛下のお耳に入り・・・
「あっぱれ、我が陸軍!」とのお言葉が・・・それで、有頂天になってる軍令部だそうだ。
 それが、悔しくて・・・たまらない海軍だ。
それで、陸軍の裏をかこうと・・・米軍の真似をして・・・海兵隊を創設したのだ。
 まあ、空母に乗ってる陸でも戦える水兵のことだ。
最近になり、中島飛行機会社が海軍向けに・・・滑走路が必要ない飛行機(ヘリコプターみたいなもの。)を開発して、売り込んできている。
 それを海兵隊が紛争現場へ乗り入れる交通手段として使おうと訓練しているところであったのだ。
「これは、陸軍の出鼻をくじくチャンスだ。」と、勝利を確信するイザジ中佐である。
 「ふむ、実弾はダメだからな。」「まあ、模擬弾だな。」
「陸軍には、承知したと・・・」「わかりました。」と、副官が伝令へ電文を伝える。
 今上陛下は・・・まず、お褒めの言葉は公にはされない・・・
なぜなら、陸軍を誉めると・・・海軍が焼きもちを・・・焼くからだ。
 そして、海軍を誉めると・・・陸軍が・・・
だから、今上陛下は無言でうなずく場面が多くみられるのである。
 日本の最高位におわせられるが・・・自身のお考えを述べれば・・・独裁国家になってしまう。
それで、閣議や会議の決裁をお述べになるだけなのである。
 昭和天皇陛下が自信のお考えを・・・それは、敗戦のときだけなのだ。
最後まで戦うのか?無条件降伏か・・・の採決が同数だったからである。
 責任は開戦へ導いた近衛文麿にある。
東条総理は引き継いだだけなのだ。
 著者は東条総理をアベ総理と同等だと・・・
アベ総理は非道な暗殺で・・・東条総理は米軍の東京裁判のデタラメ判決で米軍に殺されたからである。
 戦後のパヨク連中の所為で・・・東条総理は・・・死人にムチを打つような・・・
左翼連中は非道で残酷な人の皮をかぶった悪魔と同等である。
 共産党が殺した国民はヒトラーの殺戮より遥かに多いのだ。
有史以来・・・最高の殺戮者は毛沢東で、2位はスターリン、そしてポルポトと・・・共産党の幹部ばかりなのだ。
 その数はヒトラーが逆立ちしても、かなわないくらいなのだ。
そして、共産党宣言はユダヤ人が・・・考えたものである。
 米国の金融を牛耳るユダヤを忘れてはいけない・・・

 「ほう、海軍はOKしたのか。」と、海軍からの返事を見る藤堂司令だ。
「よし、軍令部に裁可をとってくれ。」「了解です。」
 こうして・・・満州平原で盛大な陸海軍の合同演習が・・・
海軍では、海陸軍合同演習と言わなければ・・・罰ゲームだそうだが・・・
 著者は陸軍びいきだから・・・声を大にして・・・陸海軍合同演習と・・・まあ、どうでもいいんだが・・・
もちろん、この演習は米国も招待をされているのである。
 なぜなら、米国のユダヤ財閥へ満州国の利権を譲渡したからである。
米国の陸海軍も日本の最新軍事力を・・・あわよくば・・・
 米国が観戦するなら、当然に大英帝国もである。
大英帝国がなら・・・ドイツ帝国も・・・
 そして、ドイツがなら・・・隣国のフランス共和国もである。
そして、そうなると・・・ソ連のコミンテルンのスパイ連中もである。
 日本軍としては、ソ連軍への抑止になれば・・・の、程度にしか考えていなかったのだが・・・
場外では、とんでもないこととなりつつあったのである。
 内地の今上陛下へ大英帝国王室やドイツ皇帝などから・・・観戦したいと・・・
そうなのだ、満州国皇帝が観戦するのだ。
 いまさら、他はダメなんて・・・とても言えない日本軍だ。
日本陸軍と海軍の島国根性から・・・とんでもない国際大演習へと・・・
 藤堂少佐とイサジ中佐は・・・いまさら、逐電なんてできねえな~ぁ・・・
 
 

 
 
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