冒険者の学校。

魔物の巣。

魔物の偵察だ。

　辺境の村へ、もうすぐだ。  やがて、寒村が見えてきた。　一見して貧しそうな村だ。
戦車の音で、数人の村人が顔をだす。　戦車の姿に驚いて、あわてて・・・
　やがて、老人と中年のオッサンが二人で、出迎えだ。　村長と相談役だとか。

　オレは戦車の砲塔から降りる。　「魔物を討伐に着た、ユミスケという討伐人だ。」と、自己紹介である。（木札を見せる。）
「それは、ありがたきことですだ。」「ワシは、ここの村長のロウレイと申しますだ。」「オレは、相談役のラクヨウだ、よろしく。」と、片手をあげる。　この異世界の挨拶である。　右手の利き腕だ。　つまり、武器はもってないという証である。　（利き腕が左なら、左手を上げるのだ。）
　オレは日本人だから、お辞儀である。　伝説の魔法使いであった初代日本人と同じである。
「あんたは、魔法使いなのか。」と、村長が聞いた。　「あ、あ、王都では、そう呼ばれている。」と、ドヤ顔だ。
　まさか、そんな大物を、この寒村へ・・・と、驚く村長と相談役だ。　つまり、オトコの魔法使いはオレだけなのだ。　治癒魔法を魔法少女は使えるが、数はすくない。　そして、オトコで魔法使いは１人だけなのだ。
　背後に鎮座する魔道具のサンハチ式戦車を見て、「よくぞ、このような寒村へ・・・」と、驚く二人である。
「あ、あ、貴重な治癒魔法女子の頼みだからな。」と、付け加えるオレだ。
と、そこへ痩せたヒ弱な骨皮すじ衛門ならぬ、骨皮のみの少女がフラフラと・・・

　「治癒魔法使い様、だいじょうぶだかや。」と、村の者が心配する。　
「え、え、だいじょうぶ・・・。」と、言葉少なだ。　ウズメ姫が、「ユミスケ、栄養剤を与えて。」と、聞こえる。　　そうだった、女官からの錠剤の瓶を、「これを、朝晩２錠飲んでください。」と、渡した。　「アマテラス様からです。」と、付け加える。　栄養剤と、体内のナノ・マシン用の追加燃料が錠剤になったものだ。　　寒村では、ナノ・マシン用の栄養燃料が不足らしいのだ。　本来なら、体内のナノ・マシンが体力が衰えることなく体を維持してくれるのだが。　おそらく、治癒魔法を使いすぎたのだ。　　ナノ・マシンも限界があるのである。

　しかし、オレは思った。　アンナが疲労で死んでなくてよかった。　マジで、思ったのだ。　そして、お腹の子は、なんとか生きていたのだ。　そこは、アマテラス様が改良したユミスケの精子だ。　
もちろん、ナノ・マシンの助けもあるからだが。　（ナノ・マシンはアンナより、日本人の子孫を優先するのである。）
　おそらく、アンナが疲労で死んでしまったら、アマテラス様のお怒りは天地をひっくり返すだろう。
最悪、この星が滅んでしまう。　星間航行船の核燃料は、量がハンパなく残っているからだ。　
　それに、アマテラス様は加護を与えた者へのエコヒイキがすごいのだ。　人類皆平等なんて、無い。
日本人優先だし、日本のためにならないなら容赦なく切り捨てるだろう。　そこは、計算機たる所以だ。　血も涙も無い、日本人優先である。　アマテラス計算機は、目的のためなら、手段は選ばないのだ。　まあ、非道なことは、やらないが・・・