冒険者の学校。

ここは、逃亡するしかない。

オレも、自身の命が惜しいのだ。

　姉妹の処女を奪ってしまったオレだ。　
嬉しそうに抱きつくアエリアに、「ここは、どこなのだか・・」と、聞いた。
「え、え、ここは、あたいの定宿の１番館よ。」と、アエリアだ。　
「リンダの宿に・・」「うふふ、それは違うは。」と、ほほ笑むアエリアだ。　
そして、「痛かったけど、しあわせよ。」と、オレに抱くついて離れないアエリアだ。　
ライラより、ペッタンの胸がオレの胸にへばりつく。　頭がカラになりそうだ。　ライラを裏切ってしまったからだ。　
ライラには、他人とはヤラないと誓ったのだが。
　目の前のアリエラは、「あなたには、印がつけてありますわ。」と、脅すのだ。　
「えっ、どこに？」と、聞いたら。　「あんたの、ここによ。」って、あんた呼ばわりである。　
ところが、それが普通に聞こえるのだ。　
ライラもオレを二人だけの時は、あんた呼ばわりだったが。　
アエリアとは、まだ数時間しか同衾してないのに。　なぜか、もう当然のような感覚なのだ。　
「こうしては、いられない。」「えっ、どうしたの。」
「君らの父親に殺されかねない。」「うふふ、そうなるかも。」
「いや、ここは逃げるしかない。」「なら、あたいも連れてってよ。」
「えっ。」「あなたとは、死んでも離れないわ。」と、オレのキンタマを握るアエリアだ。　
「どこへ、にげるの？」と、聞く。　
「それは・・・」「離れないわよ。」と、マジな顔だ。　
「ライラには悪いけど、あんたは、あたいのモノだわ。」と、そして。「馬車があるわ。」「それで、あたいと逃げましょう。」と、オレを誘うのだ。　
そして、それが自然なような感覚なのだ。　
「わかった、ではオレに伝手があるから。」「なら、お任せしますわ。」と、アエリアだ。　
数時間後、オレ達は馬車で、アマテラス様の寺院へ・・・・「フーボー起きなさい、起きなさいフーボー。」と、ルイザがフーボーを叩き起こしている。　
「ううん、あ、あ、ルイザ様、なんですか？」「ユミスケは、どこへ行ったのよ。」「そこの部屋で寝てますよ。」「いないわよ。」「まさか、そんな・・」あわてて起きるフーボーだ。　
そこに、「どうしたのよ、ルイザ。」と、ライラが顔を出す。　
「しまった、やられた。」と、茫然の顔のルイザだ。　
「日本人を盗られたわ。」と、へたり込むルイザだ。　
「えっ、まさか。」と、奥の部屋へライラが駆け込んだ。　
「いないわ。」と、ライラだ。　
「ライラ様、あたいは一生の不覚でございます、どうか首を・・」と、首を差し出すルイザだ。　
「ルイザ、あんたを殺れるわけないわよ。」「それより、どうすれば。」
「ううん。」と下腹を抱え込むライラだ。　
「いけません、おなかの子に・・」と、あわててライラを庇うルイザだ。　
「フーボー馬車の用意ですわ。」「ライラ様、ここはお任せください。」と、決意の顔のルイザだ。　
ルイザには当然、心当たりがあるのだ。　
そう、姉だ。　間違いない、これは姉の仕業だ。　
ここまで、エグイことをやれるのは姉しかいないからだ。　
フーボーが、「ルイザ様、用意ができました。」「え、え、わかったわ。」ルイザは宿にライラの事を頼むと、馬車を走らせる。
　行く先は、１番館だ。　
そこが、アエリアの定宿のはずだからだ。
　しかし、部屋はカラだったのだ。　
「しまった、もうダメだわ。」諦めるが、諦めきれないルイザである。　
ここは、神様に・・・しかし、神はルイザへ微笑まなかったのだ。