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エンジンがダメになったいた。
馬車で、97式を運ぶ。
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半日後に、トラックで、燃料が運ばれてきた。 そして、給油する。 トラックの運転手が97式のクランクを坂井海曹と二人で廻した。 「いいですよ。」 と合図だ。 倉田飛曹は、スイッチを切り替えた、「プスン、プスン・・・」 「あれっ?」 「もう一度、頼む。」 「え、え、わかりました。」 クランクを廻す、弾みがついたところで、スイッチを切り替える。 「プスン、プスン・・」 「いかん、これは整備士に診てもらおう。」 整備士が工具をもって翌日、到着だ。 「これは、エンジンが無理な回転に耐えきれなくなり、全体的に狂いが生じている。」 「まあ、エンジン交換で、飛ぶしかないが・・・」 「替えのエンジンは?」 「これは、新型97式だ。」 「うむ、そうだが。」 「エンジンは特注のようだ、替えなぞ無い。」 「では、治すしかないのか。」 「うむ、日本本土の工場しか無理だ。」 「どのようにして、運ぶか?」 「機体に振動を加えてはダメだ。」 「では、トラックは?」 「この草原では、無理だ、牛車なら。」 「馬しかいないが。」 「仕方がない、馬車で、ゆっくり運ぶんだ。」 坂井と倉田が馬車の荷台で機体を見守りながら、馬車はゆっくりと動き出した。 校長や事務員、まかない婆さんや女子高生が見送る中を、パカパカとのんびり動き出したのである。 「里親さん、ありがとう。」 との女子高生の見送りで、気分良く帰る、二人である。 里親といっても、日本への留学で軍人が保障すれば、たいして審査なく留学できるからである。 そこには、スパイ防止法が絡んでいるのだ。 朝鮮女のスパイには憲兵も手を焼いていたのである。 そこで、特に、女性の入国はウルサイ日本政府なのだ。 正規の売春婦が密入国売春婦に仕事を盗られてはいけないのである。 適切な、衛生管理が、性病防止には必要なのだ。 そうして、3日間、馬車に揺られて帰還した両名だった。 「ただいま、帰還しました。」と敬礼する二人だ。 「うむ、ごくろうだった。」 と答礼する本郷隊長だ。 飛行機をダメにしても、隊長は苦言はいわないのだ。 苦言は会計や整備の事務員がいうのだ。 「倉田飛曹、飛行機修繕費、いくらと思います。」 「ん、1万円もするかな。」 「まさか、そんない安いなら、マジで、10マンですよ。」 (現在の貨幣価値で1000万円だ。) 「えーっ、そんなに?」 「エンジンは97式専用ですからね、世界一の馬力は金がかかるんです。」 うわーっ、もう壊せないぞ~、と冷や汗だ。 しかしだ、馬賊から満州娘を守り抜いた、討伐隊に満州皇帝から、感謝状だ。 皇城まで、倉田と坂井が直々に皇帝より受け取ったのである。 紙切れ1枚だが、得難いものである。 面目を果たした討伐隊だ。 まあ、機体の修理費の1部でも欲しいのだが、そんなことは言えないのである。 ・・・ここは、日本本土の97式製作工場である。 「おい、エンジンが焼き付いたらしい。」 「見てみよう。」 「うむ、廻し過ぎだな。」 「うむ、これでは馬力がでないな。」 「替えのエンジンは?」 「いま、製作中だ。」 「部品の替えは?」 「造るしかないな。」 「そうだ、帝国大の実験室で、サイド・バルブでないOHC方式のヘッドが研究されているとか。」 「その、試験品が、試用にと来ていたが。」 「それを、替わりに使うか?」 「そうだな、それなら修理も早いしな。」 倉田機は、エンジンヘッドが新方式で、付け替えられて、空母伊勢で7日後に大連に到着だ。 「やけに、修理が早いですね。」と倉田飛曹だ。 「まあ、修理できたんだから、もう壊すなよ。」 「あ、あ、肝に命じるよ。」 空母伊勢の待つ大連まで、ホンダ機に同乗して送ってもらう倉田飛曹であった。
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