満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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海軍も、なかなかヤルな。

背後は互いに盗らせないぞ。

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 すると、相手の96式が、ヒュウンと宙返りだ。 半径どれほどか、というくらいの狭い旋回だ。 さすが、97式の元の戦闘機だ。 「いかん、背後を盗られる。」 倉田飛曹は、操縦幹を引いて、ベダルを左右に踏む。 宙返りしながら旋回するのだ。 しかし、かなり無理な動作だから、高度が落ちる。 高度が落ちれば、相手が有利だから、エンジン馬力を上げて、高度を取る。 自機のエンジン音で、相手の機の音は聞こえない。 それで、風防から、相手の機がどこに居るかの確認だ。 風防からの観察眼が必須だ。 「どこいった?まさか、まだ後ろか!」 なら、どうだ。 倉田飛曹は、相手のゴム弾を食らわないように、左ひねり宙返りだ。 「ダ、ダ、ダ、ダ。」 風防をゴム弾がかすめる。 今のは、あぶなかった。 なかなか、侮れん動きだ。 なぜなら、96式艦戦は、97式より、軽量なのだ。 97式は脚や胴体が96式艦戦よち、倍くらい頑丈なのだ。 荒れ地や野原に強制着陸するためだ。 それなら、これはどうだ。 倉田飛曹は、急降下に突入した。 急降下は、そのままなら海面に激突してしまう。 それで、引き起こすのだが、それが、機体に過重をかけるのだ。 それで、急降下の速度の限界が決まっている。 だいたい、戦時中の日本軍戦闘機なら680キロから720キロか。 飛燕は、かなり無理がきいたらしい、グラマンがついてこれなかったのだ。 そこで、97式は、なんと820キロ、つまりエンジン性能以上の制限速度だ。 倉田飛曹は、96式艦戦が、おそらく97式には、ついてこれまいと踏んだのだ。 「どうだ、ついてこれるか。」 海面が見る見る拡大する。 操縦幹を、目一杯引く。 目まいがするが、我慢だ。 すごい重力が、かかるのだ。  相手の機を観る余裕なぞ無い。 海面スレスレに飛んで、上昇だ。 96式艦戦をようやく探す。 「いたっ。」 「やはり、ついてはこれないな。」 かなり離れた距離に96式艦戦だ。 旋回性能や軽快さでは96式艦戦に分があるが、急降下速度や機体の強度は97式だな。 無線機が騒ぐ。 「倉田機、逃げてばかりでは、勝てんぞ。」 いいたいことを、いいやがる。 「了解。」 と取り合えず答えた。 これは、まともに空戦しては、勝てない。 どうするか?  そうだ、速度を生かした、一撃離脱戦法だ。 かんたんに言うが、そう簡単ではない。 この模擬空戦は、格闘戦だ。 それでは、97式は不利なのだ。 いまさら、言っても無理だが。 「どうすれば?」 倉田飛曹は、相手との距離を取りながら、考えた。 しかし、空の上では、いい案なぞ浮かばないのだ。 そうして、時間だけが過ぎていくのだ。 無線機から、「時間終了、帰ってこい。」 だ。 しかしなく、倉田は停船している空母伊勢に着船する。 「これは、皆が文句たらたらだな。」 と思いながら、機体から降りた。 1番目の模擬空戦は、引き分けだ・・・・・ゴム弾は、双方1発も当たらなかったのだ。
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