満州国馬賊討伐飛行隊

陸軍、空母の名前？

どうするの？

　「で、艦長、この空母の名前は。」　と倉田が聞いた？　「いや、まだ決定していないのだ。」　「いろいろ、あってな。」　「そうですか、では帰隊いたします。」　と15人の討伐隊は空母から発艦する。　停泊した空母からだ。　海軍から陸軍に抜かれた、技師らは驚く。　楽々と９７式戦闘機が飛び立ったからだ。　普通、空母から発艦なら、最大戦速の３０ノットで、風向きに向かって空母が進むのだ。　それを、討伐隊は陸地の滑走路のごとく飛び立っていったのだ。　艦長以下、空母の連中は、あっけにとられた。　海軍に、その話をしても、誰も信じてはくれなかった。　今なら、スマホの映像があるが、当時はないからね。　つまり、空母の全長が２４０メートルくらいだ。　そして、１５機の９７式が駐機してるのだ。　そこから、滑走して離陸するから、せいぜい１５０メートルで、上がってるのである。　すごい、STOL性能である。　新型は２段フラップで、揚力が大きいが、空中勤務員の腕も関係するのである。　空母は速度が必要だから、軍艦のような重い装甲は無理だ。　それに、燃えやすい航空燃料も積んでる。　つまり、敵の攻撃に弱いのである。　だから、対潜水艦のために駆逐艦、数隻で囲むのだ。　しかし、９７式なら、速度は軍艦と同じでいいのだ。　なら、装甲を厚くして、攻撃に耐える空母が建造できるのだ。　数日して、海軍から操縦士が派遣されてきた。　離着陸の話がマジか、試すためだ。　陸軍は操縦士を空中勤務員と呼称するが、海軍は違うのだ。　同じ言葉は固執があるから・・・　なのだ。　それで、討伐隊に補助操縦士として、加わった。　名前は佐藤海曹だ。　海曹は、陸戦隊なら軍曹、下士官だ。　飛曹と同じだ。　そして、偵察飛行に加わったのだ。　まあ、奉天偵察（パトロールだ。）は無難についてきた。　そして、肝心の午後からの遠距離偵察だ。　機体は海軍の９６式に海軍式増槽だ。　まあ、離陸はいいが、海軍は山岳地帯の飛行には慣れていなかった。　てかっ、やったことが無いのだ。　海軍は海上を飛行することが多いからだ。　それで、山の気流に翻弄された。　「おい、佐藤君、ついてこれないなら上空で、待機だ。」　「いえ、そんなことは・・」　山岳飛行は、山道の偵察だ。　結構、山の崖に接近しないと偵察できない。　海軍の９６式は向いていない、それに操縦が慣れていない。　まあ、お荷物の佐藤機である。　しかし、ここは広い気持ちで、対処する・・・いや、安全第一である。　僚機から、「上で待機しててくれ。」　と懇願される。　「ん、ん、なんだあれは？」　山道の途中で、誰か倒れている。　「おう、降りるぞ。」　「えっ、どこに？」　「あの、山道に、ヒトが倒れている、まあいい、待機してろ。」　９７式が難なく山道の幅４メートルに着陸する。　翼は、崖にはみだしてる。　脚の幅ギリだ。　そして、倒れているヒトは、山道でクマに襲われたらしい。　機体の後部に乗せる。　そして、離陸する。　それも、崖を利用しての神業ダイブだ。　佐藤君は、唖然とするのだ。　討伐隊、おそるべし。　近くの診療施設に助けたヒトを渡して帰還する。　まあ、討伐隊にとれば、いつもの流れである。　しかし、海軍の空母操縦士の佐藤君にとり、まさに青天のヘキレキだったのだ。　とても、ついていけない。　これでは、命がいくらあっても足りない。　海軍で、空母操縦士はエリートである。　その自信が崩れた佐藤君であった・・・・・