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違う道だわ?
どこへ、行くの?
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「この道は、見たこと無いわ。」 「えっ。」 「あれっ、ここはどこよ。」 馬車の御者に問う娘らだ。 よく見ると雰囲気が違う御者だ。 振り返りもしないのだ。 ムチを入れて、馬車の速度が増した。 これは、最悪、そう最悪だわ。 しかし、走る馬車から飛ぶ降りるほどの勇気はない。 走る車から飛ぶ降りるのと同じだ。 機転の利いた子女がメモを書いて落とす。 そう、それしかない。 だが、後ろからついてきた騎馬のヤツが、それを拾っているのだ。 いつの間にか馬車は騎馬の集団に囲まれているのだ。 「あたい達、誘拐されたんだわ。」 「えっ、どうするの?」 「手紙を落としても、ダメみたいね。」 「どうする、もう周りは原野よ。」 周りは家などない原野が広がっている。 万事急須だわ。 スターの夢、日本留学の夢が崩れた、これでは、シナへ献女として貢物だ。 シクシ泣く、娘らだ。 神も仏もないものか。 なんとか、ならないか考える娘らだ。 でないと、シナでの売春婦としての一生であるのだ。 それは、自殺した方がマシなのだ。 だが、神様は存在するのかもしれない・・・ カオリ村の娘に、討伐隊の関係者が居たのだ。 それは、誰で、どのような馴れ初めなのか? カオリ村の娘らは、日本のJK雑誌からセーラー服のヒントを得ていた。 日本のJK雑誌が満州国の村で手に入るのか? 答えはノーだ。 満州語の雑誌なら、売店で売ってるが。 日本のJK専門の雑誌なぞ、満州国のイチ山村では、手には入らないのだ。 では、どうしてカオリ村の娘が手に入れていたのか。 この疑問に答えれば、関係がはっきりするのである。 そう、雑誌は倉田飛曹の紹介で、あきつ丸から運んでいたのだ。 カオリ村の娘のカオリン(香林)は、討伐隊への見学ツアーに参加したカオリ村では数少ない娘だった。 そして、倉田飛曹が、満州娘の里親を20人ほどやってると、その時に聞いたのだ。 そして、ついそのとき、あたしもなりたいと希望を・・・ そして、その時、機嫌がよかった倉田飛曹は、OKといってしまったのだ。 まあ、ひとりぐらい増えても変わらんからだ。 それで、カオリンは倉田飛曹が里親なのである。 そして、当時馬賊から逃げるときに仲間に知らせるゴム風船を倉田からもらっていたのだ。 倉田にすれば、里親らしいことを、したかったのだが。 そう、そのゴム風船は、今使わずしてなんとするのだ。 カオリンはゴム風船につける手紙をしたためる。 そして、ボンベをひねった。 「プシュー。」 と風船は膨らんだ。 そして、カオリンは天蓋から風船を飛ばした。 「やっ、なんか飛んで出たぞ。」 馬賊が気が付いて、モーゼル銃で、射撃する。 しかし、あっというまに、空の上だ。 「まあ、いいや。」 と馬賊はあきらめた。 馬賊が向かうのは西だ。 それは、半島やシナの方向だ。 満州国の奉天は東にあるのだ。 地球は廻っている。 それも、ジェット気流は西から東へ吹いているのだ。 天気も西から東にむかうのである。 なら、風船は西から東にむかうのである。 そして、だんだん空気がゴム風船から抜けるのだ。 そして、奉天郊外で、風船は地面に落ちたのだ。 だいたい、3時間後である。 そうなるように設計されているのだ。 「あれっ、なんだ。」 と拾われたのだ。 そこには、満州語で、(これを、拾われた方は討伐隊まで、礼金を進呈)と書いてあるのだ。 それで、大概は討伐隊まで届くのである。 その、急訴の手紙は4時間後には、討伐隊の受付係に届いたのだ。
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