133 / 212
留学生の要請。
トラウマの被害者
しおりを挟む
ここで、倉田に相談が入る。 倉田は10人もの留学生の身元保証の里親なのだ。 陸軍の曹長だ。 少尉への昇進も近いのだ。 それで、10人の里親ができるのである。 倉田に討伐隊まで相談に来訪したのは、ホウライ村の村長だ。 「会っていただいて、ありがとうございます。」 「いいえ、私にできることなら。」 「ぜひに、留学生をひとり臨時にお願いしたいのです。」 「なにか訳でも。」 「え、え、その娘は鉄虎隊まで、馬で逃げてきた娘です。」 「あの、気丈夫な娘さんですか。」 「それが、夢遊病で、夜中に村を歩き回るのです。」 「え、夢遊病?」 「なんでも、逃げなきゃと言いながら徘徊するんです。」 「もう、見てられなくて。」 「それは、大変ですね。」 「奉天の大病院の先生は、空気を換えて、環境が変われば、あるいは?」 の診察らしい。 それで、満州国ではなく日本の安全な所ならと思ったのだ。 しかし、半島貴族にオモチャにされて廻されたトラウマが留学で改善するかは、わからないのだ。 しかし、その娘が馬で逃げ出さなければ、今回の10人救出はなかったのだ。 倉田は、「わかりました、陸軍の庶務に掛け合いましょう。」 と返答したのだ。 村長は安心して帰宅した。 さて、困った倉田だ。 なんせ、病人だ。 ホームステイ先の責任もあるからだ。 万が一があってはならない。 悩んだあげく、自身の家庭、つまり倉田の実家で受けることとした。 家族は倉田の両親と姉と妹の4人だ。 姉は看護婦だ。 病院も近い。 環境は万全だ。 倉田の両親も、気丈夫な娘の話を聞いて了解したのである。 そうだ、名前を聞いてなかった。 名前は林杏(リンシン)というそうだ。 それで、日本での二つ名は林檎(林檎は中国語で、苹果ピンイン)と倉田がつけた。 まあ、倉田のパット見でつけたんだが・・・ 11人目の、倉田が里親の留学生のリンゴちゃんは、陸軍船あきつ丸で大連から短い船旅だ。 それで、当然りんごちゃんの過去は秘匿である。 両班貴族のオモチャでは泣くになけないのだ。 気丈夫にも逃げ出して、救出されたのだが。 しかし、場所が変われば環境も変わる、そして生活も変わるのである。 1ケ月で、日本語のカタコトが言えるようになる。 そうなると日本のJKに変化するのも早いのだ。 3ケ月で、全く他のJKと見分けが付かないほどだ。 倉田りんごちゃんは夢遊病が完治したのである。 野郎は過去をクヨクヨするが、おなごは環境と時間が解決してくれるのである。 日本人は一般に特亜三国の国民と異なり、差別を嫌うのだ。 区別はするが、意味の無い差別はやらないのである。 林杏(リンシン)の親族は、日本からの元気な娘の手紙を見て満州国が日本と友好な事を感謝したのである・・・
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
黄金の檻の高貴な囚人
せりもも
歴史・時代
短編集。ナポレオンの息子、ライヒシュタット公フランツを囲む人々の、群像劇。
ナポレオンと、敗戦国オーストリアの皇女マリー・ルイーゼの間に生まれた、少年。彼は、父ナポレオンが没落すると、母の実家であるハプスブルク宮廷に引き取られた。やがて、母とも引き離され、一人、ウィーンに幽閉される。
仇敵ナポレオンの息子(だが彼は、オーストリア皇帝の孫だった)に戸惑う、周囲の人々。父への敵意から、懸命に自我を守ろうとする、幼いフランツ。しかしオーストリアには、敵ばかりではなかった……。
ナポレオンの絶頂期から、ウィーン3月革命までを描く。
※カクヨムさんで完結している「ナポレオン2世 ライヒシュタット公」のスピンオフ短編集です
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885142129
※星海社さんの座談会(2023.冬)で取り上げて頂いた作品は、こちらではありません。本編に含まれるミステリのひとつを抽出してまとめたもので、公開はしていません
https://sai-zen-sen.jp/works/extras/sfa037/01/01.html
※断りのない画像は、全て、wikiからのパブリック・ドメイン作品です
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
楽将伝
九情承太郎
歴史・時代
三人の天下人と、最も遊んだ楽将・金森長近(ながちか)のスチャラカ戦国物語
織田信長の親衛隊は
気楽な稼業と
きたもんだ(嘘)
戦国史上、最もブラックな職場
「織田信長の親衛隊」
そこで働きながらも、マイペースを貫く、趣味の人がいた
金森可近(ありちか)、後の長近(ながちか)
天下人さえ遊びに来る、趣味の達人の物語を、ご賞味ください!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる