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火事だ。
献女どころではない。
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「ん、なんか、煙くないか。」 「だれうか、タバコでも。」 「いや、違うぞ。」 「これは、火事だ。」 「うわ。」 「逃げろ。」 とう、大騒動だ。 貢物の献女のことも、なんのそのだ。 おかまいなしに、逃げ出した。 さすが、逃げ足だけは、世界一の朝鮮民族だ。 そして、全員が表で網を張っていた鉄虎隊の面々に捕縛された。 そして、取調べのために、満州国の牢獄まで、運ばれたのだ。 そして、肝心の献女の満州生娘達だ。 全員が開放されて、深夜であるから、97式は危険だ。 それで、乗り合いバスで15人が奉天まで、送ることとなる。 座敷牢の一角に固まって震えていた生娘らは自由の身だ。 しかし、やはり取り調べの関係で奉天官吏の役所へ・・・ 今回は、討伐隊の97式は活躍の場がなかった。 そして、旧97式の飛竜隊も同じだ。 もちぱら、活躍したのは、日本陸軍の退役軍人と給食のおばさん、と鉄虎隊であった。 ところで、朝鮮の両班の手下の利工は? 満州側は利工の存在を知らない。 そして、隠れ家の番人であった、朝鮮族は身分でいえば、両班・中人・常人・賎人と4階級あるうちの賎人は奴隷以下で、ただの生きている動物のあつかいで、番人には無理である。 そう、常人階級である。 利工は中人階級であった。 利工という、名前から知恵はあったのか、隠れ家に、地下通路の逃げ口から、まんまと逃げ出したのだ。 (脱出用の地下通路は利工しか知らない、作った人夫は口封じで殺したからだ。) 満州官吏は朝鮮族の常人である、番人を取り調べる。 {言われたことをやってただけだ。」 「両班様の伝え人のいうがままでさあ。」 「詳しいことは、話しますが、あんまり知らない。」 「まだ、今月の給金をもらってないが、そちらで払ってくれないか。」 などと言い出すヤカラなど、調べても、いい訳しか、そして利工という役人に言われてやった、と喚くばかりだ。 満州国の官吏も、「なんと、いい訳と己の保身しか無い、クズ以下だ。」 とサジを投げる。 そして、朝鮮側に捕縛した者らの素性を問い合わせても、「そんなヤカラは、我が方にはいない、打ち首なぞ、どうぞ勝手に。」 と伝えてくる始末だ。 もとより、満州側は、今後いっさい献女のために満州娘の誘拐をやめてほしいのだが、なんともなりませんでした、と官吏は・・・・ 斉藤空尉は、「ここでけの、話だが。」と言い訳して。 「ヤツラとかかわってはダメだ。」 「そして、ヤルなというと、よけいにヤルやつらなんだ。」 「そして、献女はシナがあるかぎりなくならない。」 「聞くところでは朝鮮の生娘を、ほとんど献女に出してしまい、それで考え出したらしい。」 「満州国は、とんだ災難ですね。」 「あ、あ、日本とは海(日本海)があるからな。」 日本の生娘らは、ありがたい日本海に守られているのだ。 「やつら、朝鮮族は泳げないんだ。」 「まさか?」 「本当さ、海で魚を漁る漁師でさえ、ほとんど泳げないらしい。」 「どうしてですかね。」 「さあ、オレは、かかわらないから知らないが。」 とは斉藤空尉の言葉だ。
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