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馬賊用の弓矢
ショットガンだ。
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「あぶなかった、馬賊が村内に入れば機銃が使えないから負けるところだった。」(機銃は威力があり、カンタンに家の壁を貫くからだ。) 「村内でも使える武器があれば。」 「弓矢なら人家に影響は少ないですが。」 「しかし、装甲車から弓矢を使うのか。」 「はあ、なんともハヤ。」 そんな、時代がかったことなど出来るわけがない。 馬なら弓矢だが、装甲車では、格好がつかないからだ。 体面は大切なのだ。 満州人は体面を重んじるのだ。 装甲車は戦車より速度で、馬賊には通用するが、武装が7ミリ機銃では、まだ過剰なのだ。 それで、日本軍の討伐隊本部に満州警備隊から相談があった。 村内でも馬賊相手に使える武器のことだ。 本郷隊長は、ふと散弾銃がどうかとおもった。 本土では、暴徒やテロ対策に散弾銃を使っていた。 散弾は暴徒用のゴムの散弾だ。 10メートル位までなら実用になる。 狙いは正確でなくても半径50センチに広がるから狙いが正確でなくとも当たるのだ。 殺傷能力はないが、当るとまず、気絶する。 顔だと眼球をキズつけるから使わないのだ。 馬賊相手なら村内でも、躊躇なく使えるだろう。 早速、散弾銃とゴムの散弾を日本より取り寄せて、7ミリ機銃の横に備え付けた。 機関銃ではないから撃てば弾を込めなければならない。 しかし、狙いは正確でなくとも距離が近ければ使えるのである。 村内で、家にこもっている村人は安全だろう。 数日で、散弾銃は装甲車の全車に装備となった。 散弾銃は高額ではないからだ。 そして、金属の散弾は赤い弾、ゴム散弾は青い弾と色分けされて装備されたのだ。 村内では、青いゴム散弾を使うことが指令されたのである。 近い距離ではゴム散弾でも木の薄板は貫通するが、距離があれば貫通しなかった。 なら、村内で十分に使える武器となったのだ。 家にこもって隠れている村人に遠慮なく武器が使える。 警備の兵が、村人を殺しては、お話にならないからね。 ・・・これは、ウワサだが。 満州国政府の警邏役人が半島へ赴いて、馬賊の件を抗議にいったらしい。 すると、そんな馬賊など半島にはいない、どこの誰か確たる証拠をだせ、と上から目線で反対に抗議されたらしい。 定番の半島の事大主義だ。 シナからの(宗主国だ。)抗議ではないから、上から目線の威張った態度なのだ。 まあ、満州政府も、ハナっから承知だが、とりあえず抗議した事実を作りたかったのだ。 半島のヤカラの性格は十分に承知している満州人である。 だが、満州国も半島と戦争となると、シナが出てくる。 それは、避けたい満州国だ。 シナ相手では、互いに滅んでしまう。 日本国も武器の援助までだろう。 「村への朝鮮馬賊の半島への抗議ですが。」 「半島は取り合ってくれませんが。」 「わかっておる、こちらも国境を越えて討伐できないから、朝鮮のヤツラは、なんとも・・・」 「どういたします。」 「うむ、拉致された国民だけでも取り返したいが。」 「しかし、拉致されたオナゴらはシナへの貢物として差し出されるとか。」 「急がねばならんな。」 「しかし、軍隊を送るとシナが出てきますが。」 「うむ、なんか良い考えはないものか。」 途方にくれる満州政府の役人たちであった。
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