大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
354 / 380
ロンメロ将軍へのアポ

ハンナの従兄弟とは

しおりを挟む
 「ハイ、海底軍艦基地、総理ですか、おひさしぶりです。」 
「あ、あ、まあ、他でもない話なのだが。」 
 「なんでしょうか。」 
「独逸帝国のベルリンまで、秘密裏にヒト、ひとり運んで欲しいのだが。」 
 「承知しました、亡命の引取りですか。」 
「イヤ、詳しい話は追ってつたえるが、用意を頼む。」 
「わかりました。」 総理は電話を切った。 

 「さあ、忙しくなるわ。」 ハンナは旅行カバンに服など詰めだした。 
「そうだわ、海底軍艦の施設は家とおなじかしら。」 
 「さあ、どうかな乗ったことがないんで、わからないが。」 
なんと総理は乗船したことがなかったのだ。 
 散々、自身の都合で使っていたが、己が乗ったことがないとは。  
 「では、洗面所が家と同じかわからないわね。」 
つまり、トイレが洗浄トイレかの件である。 
 現在の海上自衛隊潜水艦のトイレは洗浄トイレである。 
著者は、あるスジから聞いたのだ。 
 米海軍の原潜は、普通のトイレらしい。 
世界最高の、我が海上自衛隊潜水艦はトイレも世界最高なのである。 
 なんと、海底軍艦はトイレは洗浄トイレであり、女子用と男子用と別れてあるらしいのだ。 
なぜか、それは亡命者には婦女子が多かったからだ。 
 トイレは生活の上で重要であるのだ。 
至れりつくせりの海底軍艦である。 
 総理の妻のハンナは独逸帝国の従兄弟へアポを取る。 
独逸帝国とは仮想敵国同士ではあるが、国交が全く無いわけではない。 
 しかし、総理の妻として渡航するわけにはいかない。 
変に勘ぐられる恐れがあり、監視員でもつけられると、最悪である。 
 下手すると、シュリーマンへの謀略の暴露がジャマされる恐れがある。 
だから、海底軍艦で、独逸帝国へ密航するのである。 
 ただ、従兄弟にだけは、アポを取ったのだ。 
まあ、当然盗聴もあるから元気にしていますか、程度だが。 
 従兄弟からは、国際電話で、元気な声が聞けたのである。
総理の妻のハンナはシュリーマン謀略の書類の複写写真を身に隠して、独逸帝国行きの海底軍艦の客員になったのである。 
 だいたい、7日の船旅であった。 
そして、独逸帝国のベルリンまでは、海底軍艦のVTOLで、従兄弟の屋敷まで向かうこととなったのだ。 
 夜間、海底軍艦は静かに独逸帝国の沖合いに浮上した。 
レーダーで付近の飛行機を探る。 
 幸い、飛行物体は無かった。 
「VTOL飛翔許可OK。」 
 合図で、VTOLは超電導ペラ4基で、飛び上がった。 
風の音だけで、静かにVTOLは飛んでいく。 
 ステルス装置で、独逸帝国首都ベルリンの防空網を破り、ハンナの従兄弟の屋敷までは、安全な飛行であった。 「トン、トン。」 窓ガラスが風で鳴る。 
 家人がふと外を見る。 なんとハンナが窓の外に。 
「あれ、ハンナかえ。」と、びっくりだ。 
 「コンバンワ、ごきげんよう。」  
「ビックリした、どうやって。」 
 「まあ、積もる話もあるから。」 ハンナは窓から室内へ入った。 
その間、VTOLはホバリングして屋根の上空で待機である。 
 ハンナは、「旦那さんは?」 「今、呼ぶわ。」 
しばらくして、従兄弟のダンナが現われた。 
 「やあ、ハンナひさしぶり、元気だった。」 
「まあ、それなりには、ところでロンメロ将軍をご存知?」 
 「あ、あ、私の息子が世話になってるが。」 「ほんと?」 
「あ、あ、ロンメロ将軍は身内にユダヤがいても、分け隔てなく使ってくださるんだ。」  
 なんと、幸運なことだ、ツテはあったのだ。 
 「では、ロンメロ将軍にアポを取れるかしら。」とハンナはそれとなく聞いた。 
「出来ないことはないが、どうして?」 
 「これは、極秘の情報ですが・・・・」 
「なんと、まさか、本当か、イヤまさか。」 
 「これが、その書類を写した物よ。」 ハンナは複写写真を見せる。 (まだ、コピーは無いのだ。) 
従兄弟のダンナは覚悟の顔で、「わかった、明日にでもアポを取ろう。」 
 「では、また明日。」 ハンナは窓から出た。 
家人はビックリして窓へ寄る。 ハンナを待っていたVTOLにハンナは吸い込まれるように乗り込んだ。 
 やがて、VTOLは無音で飛んでいく。 
家人はポーとして見上げていた。 
 あれが、もしや伝説の海底軍艦の・・・これは、夢か幻か・・・・
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ
歴史・時代
 大東亜戦争よ有利にの2期創作のつもりです。 時代は昭和20年ころです。 開戦を回避してからのラノベです。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家
歴史・時代
 榎本艦隊北上せず。  それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。  生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。  また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。  そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。  土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。  そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。 (「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です) 

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】 明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。 維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。 密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。 武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。 ※エブリスタでも連載中

処理中です...