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シュミットへの連絡
ロンメロからシュミットへ。
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すこし、時間がさかのぼる、(最近よくあるパターンだ。) 独逸帝国近衛連隊本部の、とある小部屋だ。 ロンメロ将軍が、部下の子弟を激励がてら訪問とのことである。 「元気にやってるか。」とロンメロ将軍だ。 シュミットは、「ハイ、なんとか。」 とお茶を濁す。 「これは、皆で、食べてくれ。」 と手土産を渡した。 「ありがとうございます。」 と受け取るシュミットだ。 長居はしないで、ロンメロは前線基地に帰る。 さて、皆を集めてシュミットはフタを開けた。 スイーツだ。 大きな焼き菓子のクッキーが20枚入っている。 問題は上に乗せてある紙だ。 その紙には・・・総帥への手はずはOK・・・とチョコで書いてあった。 読んだシュミットは皆でチョコを紙から外して食べて、内容を隠匿した。 さすがに、フランスのシェフのスイーツはうまかった。 ロンメロ将軍の軍はフランス国境に配備されているからだ。 もちろん、スイーツは全員で堪能したのである。 軍事技術は独逸や日本だが、スイーツはフランスだな、と今さら思うシュミットであった。・・・・シュミットも新総帥の新秘書がウワサで有能とは聞いてはいたが、まさかロンメロ将軍の息のかかった者とは夢にも思わなかったのである。(このことは、ロンメロとフローラ本人しか知らない。)・・・・数日後のことだ、久々にシュミットは非番(24時間勤務を3交代で廻している。)に、ゲッペルン総帥廟に花を持参して・・・あれ、以前の総帥秘書が尼さんで、墓守になっている。 「おひさしぶりです。」 「あれ、近衛の兵隊さん?」 「そうです、墓守ごくろうさんです。」 「有能な、秘書が見つかりましたので、私はお払い箱ですわ。」 「イェ、ゲッペルン総帥閣下の守り役ごくろうさんと思います。」 「近衛の兵隊さん、ありがとうね、あのとき。」 「え、・・・・」 「私が、午後からソ連の大使館から連絡員のヒトが訪れる予定を忘れていて。」 「はあ、・・・・」 「総帥閣下は病院の慰問で不在で、待たせるのもなんだから。」 「え、え、・・・・」「お茶を入れに炊事場へ・・・・」 なんと、ソ連の連絡員がひとりだ。 「それで、お紅茶を持参したら、急にお帰りになったのよ。」 「えらく、あわてていたようだけだ、どうしてかしらね。」 「それは、誰かに・・・」 「イェ、最近になり思い出してきたのよ。」 ここで、内密にしろと墓守に言えば、墓守から拡散されそうだ。 シュミットは考えた、そして「なにも、過去のミス(連絡員をひとりにしたことだ。)を今さらになって、まあ忘れるんですね。」 と、さも軽い出来事のように誤魔化した。 「そうね、別にたいしたことじゃないし。」 「そうですよ、それで、国家から年金は?」 と話をそらした。 「まあ、普通の暮らしに困らない程度には。」 「よかったじゃないですか、時々寄らせてもらいますので。」 「そう、歓迎するわ。」 イケメンのシュミットに墓守オバサンは、まんざらでもなさそうだ・・・シュミットは近衛連隊へ帰ると、近衛連隊の総帥日誌(総帥の慰問や会談などの予定表だ。)をめくる。 忘れもしない、あの日だ。 ここだ、ソ連から連絡員のゾンゲ来訪と記入がある。 そうか、ソ連大使館の連絡員ゾンゲだな。 シュミットはソ連大使館員の名簿を独逸帝国本部で閲覧する。(近衛連隊士官ならOKなのだ。) あれ、ゾンゲの名前が無い。 シュミットは、確信した。 自身の推理が狭められていくのを。 シュミットはソ連への親善訪問のときにソ連で親しくなった、ソ連の近衛連隊士官に電話を架ける。 「おう、シュミットか元気か。」 「おう、プチャーノクスよ元気だったか。」 「あたぼうよ、最近ウオッカの飲みすぎで・・・・」 「そうか、相変わらずだな。」 つまらん話が相手の口を軽くするのだ。 「ところで、以前大使館にいたゾンゲ連絡員は元気か?」 「ん、ゾンゲか、あいつは悲劇だった。」 「え、なにが。」 「乗ってた飛行機が落ちたんだ。」 「それで?」 「全員、死亡だ。」 「それは、まさに悲劇だな、戦って死ねなかったからな。」 「そうなんだ、オレは戦って死にたい。」 軍人なら、だれもが思うことだ。 その死に意義があるからだ。 シュミットは適当に話をあわせて電話を切った。 間違いない、話しがウマすぎる。 連絡員ゾンゲは口をふさがれたのだ。
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