307 / 380
独逸帝国の切り札
双発だが、エンジンは翼にはないのだ。
しおりを挟む
ユンケーヌ社は独逸帝国の戦闘機メーカーだが、オランダにあるドルニエール社と提携を結んでいた。ドルニエール社は水上飛行機メーカーである。 そして双発エンジンの水上飛行機を作った。 それは、翼にエンジンはない。 水上機であり、海水をエンジンにかぶりたくはなかった。 それで、考えた。 そうして、胴体の上にエンジンを2個乗せて、前後にプロペラをつけて、互いに反対方向にプロペラを廻す水上機を考えた。 馬力が倍でて、翼に重いエンジンがなく、運動性がいい飛行機となった。 その技術を戦闘機に移植したのが、ユンケーヌの新型戦闘機である。 まあ、形は、かっこワルである。 しかし、形で戦争をするのではない。 ようは、勝って生き残れる戦闘機が望まれるのだ。 日本もうかうかしてると、独逸帝国に抜かれる。 それが、現実になりつつあるのである。 試験飛行では、時速680キロをマークしたのだ。 それに、運動性がいいのだ。 翼にエンジンがないから、ヒラり、ヒラリと羽のように動くのだ。 そしてプロペラが互いに反転して廻るから、慣性モーメントがかからずに、真っ直ぐに飛行機が飛ぶ。 大馬力のエンジンが、でかいプロペラを廻すと、どうしても片方にモーメントがかかるのだ。 それが、互いに反転すると、余分な力が加わらないから、運動性能が抜群である。 ここに、著者がユダヤスパイが苦労して現場でスケッチした、へたくそな絵を見せよう。 素人の絵であるが、双発で、翼にエンジンがないことがわかるだろう。 機体の車輪は前と翼にあり、いままでの戦闘機の様ではない。 現在のジェット機様である。 でないと、後ろのペラが地面に当たってしまうからだ。 日本の十八試震電も試験飛行で、ペラが地面に当たり、あわてて、尾翼に尾輪を追加している。 このユダヤスパイのへたくそな絵は、複製されて、日本の大日本と日本航空機の2大メーカーに渡った。 研究員は、へたくそな絵を見て驚愕する。 このスケッチの前のペラのスピナーに穴が開いてるのである。 これは、機関砲が飛行機の軸線にあるのだ。 おそらく、30ミリか40ミリはあるかもしれない。 1発当たればファルコンといえども爆散する。 トヨス装甲の月光改は生産が少ない。 トヨス装甲は大量生産は無理なシロモノであるのだ。 それも、搭乗員の部分のみで、機体がすべてではないのだ。 「これは、もしこれが、英国進攻に使われたら、英国を日本は守りきれない。」 「なんと、それほどの脅威なのか。」 「そうです、おそらく速度は700キロにせまり、運動性もいい、それに30から40ミリの軸線機関砲では、命中率がいいから逃げられません。」 「どうする、みすみす負けるとわかっていて、月光改やファルコンは使えないぞ。」 「やはり、ボツになったZ計画の戦闘機しかありません。」 「しかし、あれは、人間では操縦できない。」 「完全に、計算機が操縦して、計算機がヒトを殺すのだぞ。」 「倫理的にどうかと、ボツになったのだ。」 「では、同盟国の操縦者に死ねというのですか。」 「まあ、待て。」 「一度、総理に相談してみよう。」 「はやくしないと、独逸帝国の英国進攻に間に合いません。」 「わかった、結論を急ごう。」 会社の幹部は研究員に、しばらく待つように返答した。
0
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――
黒鯛の刺身♪
歴史・時代
戦国の巨獣と恐れられた『武田信玄』の実質的後継者である『諏訪勝頼』。
一般には武田勝頼と記されることが多い。
……が、しかし、彼は正統な後継者ではなかった。
信玄の遺言に寄れば、正式な後継者は信玄の孫とあった。
つまり勝頼の子である信勝が後継者であり、勝頼は陣代。
一介の後見人の立場でしかない。
織田信長や徳川家康ら稀代の英雄たちと戦うのに、正式な当主と成れず、一介の後見人として戦わねばならなかった諏訪勝頼。
……これは、そんな悲運の名将のお話である。
【画像引用】……諏訪勝頼・高野山持明院蔵
【注意】……武田贔屓のお話です。
所説あります。
あくまでも一つのお話としてお楽しみください。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる