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水上戦車の脅威(満州編)
ソ連の戦車戦法
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250両の水上戦車は船で、ソ連へ運ばれた。 新兵器の鳴り物入りで、陸揚げされた。 この水上戦車を見てソ連の赤軍幹部は、「これは、いいぞ、シベリアや極東の未開地で使えるぞ。」 と喜んだ。 実際にシベリアや未開地は沼や河など、いままで偵察員を出して偵察しないと戦車を運用できなかった。 どこでも、戦車は走行できるものでは無いのだ。 普通の草原や平坦なところなら活動OKだが、岩場や谷間や森などは動けなくなる率が大きいのだ。 実際、ドイツ軍は地形や地質を事前に調べて戦車を運用していたのだ。 戦略に偵察は大切であるのだ。 ミサイル対空戦車といい、こんどの水上戦車といい、最近になり独逸帝国は、使える兵器を渡してくれるので赤軍幹部は満州攻略に自信を持つようになったのだ。 まあ、それなりに軍事予算が要るが、独裁政権であるから、抗議する市民らは、シベリア送りか、影で粛清して終わりだ。 それに、石油で払う分も多いから幹部らのふところは痛まなかった。 シナは、もっと喜んでいた。 なぜならシナは大河があるからだ。 船にも戦車にも使えると聞いて、シナの将軍は汗血馬(万里を走る伝説の名馬)を得たかのように小躍りしたのである。 半島やシナは兵器はあらゆる機能を付けた物が、もてはやされるのだ。 半島の軍艦なぞは、兵器を甲板に積みすぎて、バランスを崩して、ひっくり返り沈没したほどだ。 現実にはセォル号事件がそうである。 あれも、これもと欲張るのだ。 であるから、水上戦車は、シナにとって期待の星になったのである。 半島から対馬まで水上戦車で・・・・と思う将軍も少なくなかった。 思わぬところから、脅威が日本に迫ってきたのである。 我らがアベ、イヤ山田総理に警告を! ・・・ ここは、ソ連の極東軍作戦司令部である。 はるばる新型戦車がモスクワから運ばれてきた。 観ると船のような形で、V型戦車にフロートをつけたものであった。 技師らが、今から試運転だ、と息巻いていた。 しばらくして、キュル、キュル、と動きだした。 前方に沼地だ。 水際で地面がぬかるんで重いから車体が沈む、と思われたが浮いた。 そしてシッポにあるスクリューで進みだした。 「おお、行けるぞ、思った以上だ。」 と技師らが、こぶしを握る。 やがて、水上戦車は岸に這い上がってくる。 水滴を垂らしながら目前で停止した。 「使えるぞ、これで、満州はソ連のものだ、米軍なぞ、軽くひねってやるわ!」 イワンどもは、歓声を上げて、「ステルヒン同志バンザイ。」 とお祭り騒ぎであった。 ・・・・ ここは、シナのシャンヘイ軍司令部である。 独逸帝国からの新型が入ったとの知らせで、主だった将軍らが集まり、試運転である。 独逸帝国技師がシナの技師に説明している。 独逸帝国も、売りっぱなしではないようである。 シナは独逸帝国の上得意でもあるのだ。 水上戦車トラの巻を、シナ人の技師が受け取る。 なぜか、シナや半島はトラの巻が好きである。 一子相伝(いっしそうでん)の巻物風に表装してある。 読者には、少し内容を明かそう。 第1条 操縦パネルに赤いボタンがあるが、水上走行中は絶対に押してはならない。(フロートをはずすボタンだ。) 第2条 デーゼル機関であるから、軽油を使うこと。 第3条 戦車の武装を増やしてはならない。(重くなり沈んでしまうからだ。) 第4条 搭載する砲弾の数は制限があるので、守ること。(これも、重くなるからだ。) など100条の注意事項と対処法が北京語と広東語で書かれてあった。 シナの将軍は満足してトラの巻をしまい込んだ。 さあ、試験運転である。 部隊を閲兵する広場が使われた。 キュル、キュル、キュル、と無限軌道が動き出した。 「お、お、動いたぞ。」 まあ、当たり前である。 前後にフロートが付いているから大きな舟が地上を動いているようである。 やがて、閲兵場を出て、大河の岸にでた。 そのまま、戦車は河の中へ進む。 将軍らは固唾を呑んで見守る。 どうか、うまくいくか。 水上戦車は、そのまま、浮いてなんともないように水上を進んでいった。 「お、お、これは、使えるぞ。」 もう将軍らは勝ったも同然に喜んだ。 対馬を攻略して、日本にヒト泡吹かせてやるのだ。 やがて、水上戦車はなんともないように岸に上がってきた。 もう、将軍らはお祭り騒ぎだ。 いままで、日本の空母に手も足もでなかったのだ。 今に見ろと、気勢をあげるシナ陸軍幹部連中であった。
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