大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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総帥、日本軍の水上戦車を見る。

日本軍の水上戦車の実力

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 そして、総帥らはジェット戦闘機を見学して、お局士官の案内で、空母の格納庫の艦尾にある、地上車両庫に入った。 「ここは、地上戦用の車両の車庫です。」 「まあ、戦車と装甲車やホーバークラフトが置いてあります。」 ん、戦車と聞えたが、・・・「空母に戦車が載ってるのか。」 総帥は興味を示した。 それを聞いたお局士官が、「あれです。」 と示す。 なんと水上戦車だ。 グルップ重工業で観た戦車、とよく似ている。 フロートが前後についている。 スクリューが後ろにあり、それに舵がついている。 モロ、同じ戦車だ。 その水上戦車はフロートにスリ傷が多く、歴戦の勇者そのものだ。 「この戦車は、さきのA国での紛争に出動したものです。」 「先代のヘリ空母で使っていましたが、空母が新しくなり車両を引き継いだので、搭載されています。」 総帥は思った。 つまり、使い勝手がいいから使い続けているようだと。 総帥は水上戦車は、どこも同じ形になるもんだと感心したのである。  総帥は、「使い勝手はどうかね。」 と遠慮がちに聞いた。 お局士官は、「ここだけの、話ですが。」 とささやくように総帥の耳もとで言う。 「はっきり、言って使えません、我が軍は離島用に開発しましたが、使えないので新たな開発はヤメたのです。」 「陸は陸で、水上は水上でないと、あれもこれもでは、兵器として実戦運用は無理かと。」 なんと、この案内の女性士官は、ただの接待士官ではない。 確かに、兵器はシンプルな兵器が使えるのだ、あれもこれもの兵器は、かえって使えない。 地政学や戦術を学んだ、かなりの戦力分析まで、できる士官ではないか。 総帥は、目の前の案内の女性士官を観た。 観たところ三十路は越えているようだ。 しかし、品があり、優雅で、育ちのよさがにじみ出ている。 どう見ても、庶民とは思えなかった。 総帥はガマンできずに聞いた。 「君は、生まれは、失礼だが聞いても。」 お局士官は答える。 「先祖代々、陛下の近衛の家の生まれです。」 さらりと述べた。 独逸帝国総帥の案内のために特別な人物を選んだのか。 まあ、日本軍としては当然であろう。 総帥は、さらに聞いた。 「戦車はどこが、使えなかったのかね、差しさわりの無い範囲で。」  「そうですね、速度が15ノット程度で遅いこと、陸上では、フロートをはずしますが、その時の防御ができないので、かえって両用が欠点となることですか。」 総帥は思っていたことを、スバリ突いた案内士官の言動に固まった。 確かに、フロートをはずすとき、攻撃を受けたら防ぎ様がないのだ。 机上と実戦は、シロと黒の差以上あるのだ。 ・・・・・総帥は、固まったまま沈黙してしまった。 その間、じっと待つ案内士官だ。 と、総帥が、「待たせた、次は。」 「では、我が空母の名物でもある、飛騨牛カレーを。」 と食堂へ総帥ご一行を案内した。 そこは、艦長以下が待っていて接待の席となっていた。 でかいナベから全員にカレーが配られた。  艦長が、「どうでしたか、我が艦は。」 総帥が、なんか言おうとした侍従をさえぎり答える。 「有意義であった、来てよかった。」 「それは、ようございました、つまらない食事ですが、当艦の自慢のカレーです。」 「遠慮なく、いただきます。」 総帥は、自分の取り巻きと日本軍の連中と交換したく思った。 この空母の雰囲気が、とてもいいからだ。 それは、昨日今日に出来るものではないのだ。 国のトップから、段々と下まで来るのに、何年もかかるのだ。 階級は軍にとって絶対である、しかし関係は主人と奴隷ではいけないのだ。 総帥が頭脳であれば、取り巻きは手足である。 同じ体なのである。 手が傷を負えば、頭も同じ痛みを感じるのだ。 それが、独逸帝国には無いが、この日本軍、少なくとも、この空母にはあるのだ。  総帥は初めて日本軍の艦に乗船して、初めての経験をしたことを、噛み締めていた。 
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