大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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もう、戻れないのか。

裏切り者のワナ。

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 わちきは、満州国の姫じゃ。 名を春麗(チュンリー)という。 もう、17歳だ、つまりオトナじゃ。 だが、周りはそうは観てくれない。 常に、2,3人の侍女が居る。 それも、考え方が古いババァばかりじゃ。 ババァといっても宮中で生き遅れた(婚期を逃した。)者を見繕って使っている。 いづれも、幼少の頃からの宮使えの者じゃ。 つまり、新期はいないのじゃ。 これは、新期の侍女が信用できないからじゃ。 満州国は以前は大陸を治めていた。 大シン国だった。 しかし、外国による植民地化の波は防ぎきれなく領土が継ぎ接ぎになってしまった。 英国領、独逸領、フランス領などじゃ。 そして国は疲弊して人民革命により追われた皇帝、つまり父だ。 父は、一族郎党を連れて我らの祖先の土地へ、逃げてきたのじゃ。 すると、革命軍が追跡してきた、わが父は日本国の尊敬する天皇陛下に助けを求めた。 日本陸軍は革命軍を駆逐してくれた。 しかし、日本国は満州国の支配をよしとせず、米国の傀儡となることを日本は満州国に勧めたのじゃ。 国力が膨大な米国は宗主国としても文句はなかった。 それなりの自治を認めてくれたのじゃ。 革命軍は共産党シナとなり、独裁国家シナとなった。 わが、父が不甲斐ないばかりに人民には不幸なことであったかもしれない。 しかし、わちきは今の満州国が好きであった。 大きさもちょうどいいのじゃ。 あまり広大では支配など、できはしないのじゃ。 父つまり皇帝は満州国皇帝ではあるが、傀儡政権であるから飾りの皇帝である。 ようは、外見と神事を取り繕えばいいのじゃ。 ここへ、逃げてくるときに、持ってきた隠し財産は十分にあった、まだ余裕じゃ。 国庫金として蓄えて、利息で侍女とか警備員などを維持できるのじゃ。 米国からの派遣軍のおかげで、満州国は外敵にも安泰であった。 今日までは。 ・・・・・ 今、わちきは、虜囚となりトラックの荷物の木箱の中じゃ。 奉天離宮は我の住まいでもある、そこで、確か、侍女が日本からのスイーツだ、と言って差し出した。 スプーンで「あーーーん。」とスイーツを食してた。 甘い雰囲気にひたってたら、意識が・・・・・気がついたら木箱の中じゃ。 フタが開かないから出られない。 エンジンの音と振動で、トラックで運ばれていると感じた。 お尻が痛い、せめて座布団でも・・・・イヤ、出してくれ! 「だれかいないか、我は姫ぞ。」 と叫んでもスントモいわなかった。 まさか、あの侍女が、まさか、今でも信じられなかった。 数時間後、箱のフタが開いた。 見るとロシア人が数人のぞいている。 隣の知らないシナ人に札束を渡していた。 かなりの札束じゃ。 なんか、しゃべってるが、ロシア語はさっぱりじゃ。 そのまま、翌日となった。 ここは、どこじゃ。 わからない。 付近は、荒野というか平原じゃ。 テントがいくつも張ってある。 戦争をする、でかい機械(戦車)が数両置いてあった。 ここは、ひよっとして国境ではないか、これを越えればソ連じゃ、このまま、ソ連に連行されて、人質になる運命しかないのか。 逃げるなら国境を越える今じゃ。 「お手洗い、はどこか。」となんども叫んだ。 周りは、野郎ばかりじゃ。 お手洗いまでは、付いてこないだろう。 そう思い、手振りを交えて訴えた。  やっと、理解したのか、離れたテントを指差した。 さすがに、お手洗いまでは、兵隊はついてこなかった。 スキを見て逃げ出した。 なんか、ソ連兵がわめいていたが、一目散に逃げ出した。 振り返ると遅れるから、わき目も振らずに逃げた。 わちきは神や仏やアラーの神などの信心もないのに、見境なく祈った。 米国から派遣された教師からソ連独裁政権の話をイヤと言うほど聞いていたからだ。 日ごろの運動不足から足がもつれる、倒れそうだ、倒れればつかまる。 もう、未来はない。 ソ連の虜囚になるなら、いっそ・・・・覚悟をしたのじゃ、そのとき。 いきなりヒトが前の岩影から飛び出してきた。 ソ連兵ではない。 顔は我が国民と似ている。 服は日本海軍の服装じゃ。 手にはでかい鉄砲を構えている。 なんと、父が救援を求めてくれたのか。 それにしても、日本海軍はすごい、もう来てくれたのか百戦無敗とは聞いていたが、本当だったのか。 日本兵がロシア語で、でかい鉄砲を構えてソ連兵になんか叫んだ。 「わーーっ。」と叫んでソ連兵は散りじりに逃げ出した。 でかい鉄砲では無理もないか。 しかし、日本兵はすごい、でかい鉄砲を腰にかまえて平気なようじゃ。 たしか、かなりの重量と聞いていたが。 わちきは、「父に言われてきてくれたか、ありがたい、はやく、宮城まで連れてってくりゃれ。」というと、手を引いて日本軍の飛行機まで連れてってくれた。 後ろからソ連の機械兵器(戦車)が追ってくる。 日本兵はわちきを飛行機に乗せると、すぐに飛び上がった。 すごい、プロペラがない飛行機は初めてじゃ。 もう、必死に座席につかまった。 日本兵は、わが国の飛行軍の基地にわちきを降ろしてくれた。 そうだ、お礼を言わなければ、あとで宮城でもてなそう。 わちきは迎えの車で宮城に戻ることができた。 あのとき、日本の軍人が助けてくれなかったら、今頃は・・・・・・
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