大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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満州国の姫君

思いがけない救出劇!

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 月光改はジェットエンジンが吼えたり黙ったりして、なかなか言う事をきかない。 不時着現場では整備が限られるからだ。 しかし、なんとか飛んでいた。 ある程度満州国内へ入ると、木戸操縦士は満州国飛行軍基地を目指した。 そして無線が壊れているから、通信筒に訳(満州国の国民を救助)を書いて落とした。 しばらくして、大きな旗を持った役人が出てきて滑走路を旗で振り示した。 着陸OKとのサインだ。 月光改はブス、ブス、ブスと不調なエンジンでもなんとか着陸できたのだ。 すると、月光改の周りに軍の兵隊やら役人らが集まってきた。 もう、すごい人数だ。 「オイ、道を開けろ、オレは基地司令だぞ。」 なんやら、エラぶった威厳ばかりありそうなヤツが出てきて月光改の側で平伏している。 風防ガラスを開くと、タラップが横づけだ。 えらい大げさな歓迎ぶりだな、と佐藤君は不思議に思う。 すると、派手な着物様のヒトが「出迎えご苦労でおじゃる。」 と王様気取りでタラップを降りる。 まわりの兵隊から役人まで平伏している。 やがて、迎えのリムジンが入ってきた。 派手な着物のヒトは、こちらを振り返り、「あとで、宮城で逢おうでおじゃる。」 と言うと車中のヒトとなり、機体の周りの人垣はバラけた。 「え、宮城て。」 「さあ、さて空母へマズ連絡だ。」 木戸先輩が満州軍の無線室へ走る、「おまえは、機体の番だ。」 「ハイ。」 しぶしぶ機体の番の佐藤君だ。 しかし、本当は機体の番が正解であった。 木戸先輩は空母のCICから、たっぷりお目玉を喰らったのだ。 なぜ、はやく連絡せん、いったいどれだけの探索機を飛ばしたかわかっとるのか。 燃料代、ボーナスから引くぞ、らしい チーン。 夕方、満州国政府から2人に招待状だ。 木戸先輩は佐藤君に、「ソ連の前線基地を偵察にいったら、いきなり派手な着物のヒトが駆けて来る。」 「あれ、と思ったらソ連兵が束になってワサワサ追いかけてきたのだ。」 「またソ連兵の婦女暴行かと野暮な正義感で、望遠カメラを構えていたから機関砲まがいに構えてソ連兵を威嚇したのだ。」 「すると、ヤツラは機関砲と勘違いして逃げ出したのさ。」 「それで、派手な着物のヒトを連れて逃げてたら、今度は戦車が追いかけてくるから、イカンと月光改まで逃げてきたのさ。」 「そうですか、でも良く飛び立てるとわかりましたね。」 「まあ偶然だが、おまえに掛けていたのさ。」 ジェットエンジンの始動は時間がかかる、佐藤君が試運転をしていなかったら戦車にヤラれていただろう。 「戻って飛べなかったら最悪、爆死する覚悟でね。」 「なんせ、艦長が真のオタクと認めているおまえだ。」 「それで、あの派手なキモノのベッピンさんは誰ですか。」 「オレも知らん。」 「えーーーっ。」 まあ、宮城へ行けばわかるか。・・・・・ 後日の話だ。 派手な着物様の貴婦人は満州国王妃の春麗殿下( チュンリー妃)とわかった。 ソ連の謀略で、スパイにより奉天離宮から拉致されたのだ。 そして、満州国国境からソ連前線へ、そこで、トイレと偽りスキをみて逃げ出した。 しかし、女の足だ。 ソ連兵に捕まる、そのとき偶然に鉢合わせた木戸が機関砲(望遠カメラ)をかまえてソ連兵を威嚇して姫め殿下を助けた。 そして追跡してきたソ連戦車からも姫め殿下を助けて軍用機で軍の基地まで連れて帰ってきた。 偶然とはいえ、面目を果たした日本海軍正規空母コノハナサクヤである。 満州国からは、感謝状と勲章が二人の軍人に送られた。 だが、結果よければすべて良しといかないのが日本軍である。 木戸大先輩と佐藤君、危険手当の臨時ボーナスは二人の探索機の燃料代(実際はボーナスどころで済む額ではない。)で吹っ飛んだ。 
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