222 / 380
シナ戦車VS月光改
シナ戦車の脅威
しおりを挟む
満州軍の9両の戦車は、なんとか1両のシナのトラを作戦勝ちで破壊できた。 しかし、作戦がシナ側に判ってしまえば、膠着状態になりつつあった。 なんせ、シナ側は29両の新型トラだ。 機動力にすぐれた独逸帝国の切り札的な戦車だ。 満州軍の9両は逃げるのが精一杯であった。 満州軍としては大事な戦車を失くしたくはないからだ。 それに気をよくしたシナ軍は、「ガハハハハ、ガハハハハ。」 と高笑いして満州軍戦車を追っかけて、戦闘は膠着したのだ。 やっと、米派遣軍の戦車マークⅢが到着した。 その数20両だ。 やっと戦力がプラマイゼロとなる。 そこで、シナ側から罵倒の嵐だ。 「ヤイ、満州のおくびょう者め、米軍が居ないと逃げてばかりだ。」 「逃げないで勝負する満州軍はいないのか。」 くそっ、と歯軋りする満州軍だ。 しかし、相手に乗せられてはバカ丸出しである。 ここは、さすがにホイホイ勝負を受けるバカなヤツはいなかった。 シナと米満との戦車を連ねてのにらみ合いが続く。 米軍もマークⅢだが、あいてのシナは新型トラだ。 まだ海のものとも山のものともわからないのだ。 スパイからは、シナの新型トラは独逸帝国のV型の改良で機動力が高いと聞き及んでいた。 だから米軍も慎重にならざるを得ないのだ。 シナ側も米軍のマークⅢは初めてだから、勢いがなくなるのだ。 互いに牽制するのみであった。 ・・・・ そのとき応援の日本機が上空に現われた。 月光改だ。 斜め下機銃の対戦車破壊機である。 その数は2機、シナの戦車兵は「ガハハハ、ハ、ハ、2機で何ができるもんか。」 と空を指差して高笑いだ。 シナの新型トラには対空型も2両マジっていた。 対空型とは砲塔に対空機銃を6門装備した、対航空機タイプの戦車である。 それが、出てきた。 米軍戦車長から月光改へ緊急無線だ。 「こちら米軍戦車、応援感謝する、シナに対空戦車とおもわれる戦車あり、注意されたし。」 「こちら、日本軍、月光改、了解した、教示感謝する。」 UHFのFM無線で、明瞭な会話ができる。 会話は英語であるが、読者にわかりやすいように日本語訳だ。 さて、対空戦車と航空機の初顔あわせだ。 2両VS2機で、戦いの火蓋が下ろされたのだ。 月光改は急降下でシナの対空戦車に狙いをつける、同時にシナの対空戦車の6門の機銃が唸る。 まるで、ミシン網のような音で6門の20ミリ機銃が唸った。 「ブ、ウ、ウ、ウ、ウ、ウ、ン。」 月光改の下腹の防弾板(トヨスT34装甲)が「カン、カン、カン、カン。」と20ミリの弾丸を弾く。 そして月光改の斜め下機銃が唸る。 「ド、ド、ド、ド、ド、ド。」 すると「ガン、ガン、ガン、ガン。」 と戦車から跳ね返る弾丸だ。 最初は双方が互角だ。 独逸帝国新型は侮りがたし。 独逸帝国新型トラは前面装甲が8センチの斜めだ。 それで、40ミリ機関砲の弾丸が刎ねたのだ。 月光改は急降下から宙返りして、今度は戦車の後部ラジエーターを狙った。 「ド、ド、ド、ド。」 4発はラジエーターに吸い込まれた。 同時に戦車は炎に包まれた。 あわてて、ハッチから戦車兵が逃げ出した。 もう背中が燃えて、地面を転がる。 焼き豚にはなりたくはない。 それを見たシナのトラは、これはイカンと、その場からUターンして逃げ出した。 いつものお決まりのパターンである。 なんと時速50キロで遁走した。 まあ、逃げるのは世界イチのシナ様だ。 半島より早いかもしれない。 それを追う、満州軍を止める米軍だ。 今回の勝負は飛行機の敏捷性が勝った。 なんせ、局地紛争だ、あまり大きくなると開戦となる、それは、避けたいのが双方の考えであるからだ。 翼を振り、米満軍に挨拶をして、月光改は空母へ帰還する。 両面作戦の南はカタがついたようだ。・・・・・・
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる