大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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バルドの決心

帰りたいが帰れない

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 係官と艦長が潜水艦のハッチから入った。 バルドは・・・自爆しかない。 ここで、潜水艦の秘密を渡すわけにはいかない。 なら自爆しかないではないか。 このまま、帰ればゲシュタポの連中が黙っていない。 我らが総帥は許してもゲシュタポは許さないだろう。 バルドがオコチャマでもそれくらいはわかるのだ。 艦橋にはアクリルガラスに守られた自爆スイッチがある。 よく見る、火災報知機のボタンみたいだ。 そこに番号があり、パスワードで自爆スィッチが起動する。(パスワードは艦長と副官のみ知るのだ。) ボタンを押して爆発までの制限時間は30秒だ。 バルドは米軍の係官のスキをついて自爆スイッチのアクリルガラスを打ち壊した。 Uボート副官が気づいて「艦長ヤメてください、45人を巻き添えにするのですか。」 「しかし、このままでは帰れないぞ。」 米軍の係官はバルドを押さえ込んだ。 独逸帝国軍人として負け犬にはなれないバルドであった。 米軍の係官はドイツ語でいう、「貴殿の気持ちはわかるが、当方も新型空母を偵察されるわけにはいかない、アキラメテくれ。」 どうやら、独逸系移民の2世らしい。 係官は「貴殿らが悪くならないように我が司令官、アーロン准将にワケを説明するから待ちなさい。」 バルドは妻や子の顔が浮かんだ。 米軍の係官は他の2人の係官にバルド艦長を預けて席をはずした。・・・・こちらは、米空母だ、アーロン艦長(准将)が係官から仔細を聞いた。 今は戦時ではないが、これが最悪の場合、紛争 悪くすると開戦となってしまう。 どの艦長も戦争など、やりたくはないのだ。 アーロン艦長は「30分待て。」 と伝えてペンタゴン(米国国防総省)へ、飛び越え報告だ、後ほど海軍省には詳細を述べれば場合によっては許可されるのだ。 ペンタゴンは、どう判断するかだ。 ペンタゴンから鎌倉造船米国支店のクリス支配人へ相談だ。 新型空母が偵察されて、写真を撮影されたようだ、脅威かが質問だ。 クリスは小森技師へ、問う。 小森君、あははと笑い、無理です、写真でわかれば苦労などしない、どうぞと見せてやりなさい、独逸帝国は勝てないことを理解するだろう。 その回答がペンタゴンから空母艦長アーロンに届いた。 まだ15分も経っていない。 すごい通信網だ。 アーロン艦長は民主主義同盟国(日本)の本当の実力を知って、我ながら敵でなくて良かったと思ったほどだ。 すべて、日本の技術であった。 すべて、光ケーブル高速演算機と衛星通信網の成せる技だ。 とうぜんデジタル暗号だ、解読などハナから無理だ。 アーロン艦長は係官からバルドに新型Uボート解放を伝えた。 係官はバルドに「自爆ボタンを押すことは無い、貴殿らを解放する。」 「え、いいのか。」 「我が米海軍空母艦長アーロン准将からの伝言だ、貴殿の独逸帝国海軍魂を見せてもらった、キールへ無事に帰還することを望むとのことだ。」 3人の係官は独逸帝国新型Uボートから去っていった。 バルドは、まだ信じられなかった。 係官らは駆逐艦へ帰ったのだ。 コバンザメB型は潜水艦の腹を離れて、駆逐艦に回収された。 とうぜん新型UボートのデーターはコバンザメB型が、すでに完璧に集めていた。 そうとは知らずにキール軍港へ新型Uボートは、翌日には帰到したのだ。 キール軍港では盛大な歓迎の式典だ。 独逸帝国宣伝大臣は新型Uボートが拿捕されたことはバルドから報告を受けたが、絶対他言無用の密命を下したのだ。 臨検されずに、我が艦長の自爆覚悟を知り、米国が解放したことも絶対の秘密とされた。 拿捕されたが、臨検までは、米国は今後のことを考えてヤメたのだ。 彼らも互いの紛争は望んでいないのだ。 独逸帝国海軍省に新型Uボートが撮影した映像や写真が現像されて大臣や技官が閲覧することとなる。 さあ、その結果はどうか・・・・・
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