大東亜戦争を有利に

ガトー級への連絡

すごい自信だ！

　ペンタゴン（国家情報局）にクリス支配人がアポを取る。　キンパツの秘書が苦手な小森君からの要望だ。　鎌倉造船米国支部、支部とはいえ、巨大企業に育っていた。　なんせ米国製空母の元締めだ。　日本人スタッフは開発技師が居るだけだ。　ほとんど米国人だ。　傘下の下請けまで入れると、米国にかなりの影響力まである。　現地での雇用効果は大きいのだ。　そのクリスがペンタゴンに到着した。　でかいリムジンが横づけする。　玄関まで担当者がお出迎えだ。　応接室で会議となる。　大統領補佐官も（スパイではない、本当の愛国者の補佐官だ。）いる。　クリスは「潜水艦を沈めるのは簡単だが、逆に古い情報を渡して独逸帝国に油断させるのも手だ。」とぶちまける。　これには補佐官から、全員が驚いた。　「脅威ではないというのかね。」　「ハイ、鎌倉造船としては脅威ではありません、まあやれるものならドウゾですよ。」　「すごい自信だ。」　「空母は設計図があれば出来るモンではない。」　言い切るクリスだ。　「ノウハウは一朝一夕に出来るものでは無い。」確かに、そうだ、米国でも戦闘機パイロットが空母着陸で、少なくない殉職者をだしていた。　日本もそうだ。　最初の空母ベティ　ガーランドから現在の最新空母ニューヨークまで訓練などで３０余命の命が失われている。　クリスはいう、「独逸帝国は空母が、とても高額なモノだと知るだろう。」　会議は終わった。　結論は、Ｕボートは撃沈しない、と出た。　　ここで、問題だ。　追跡しているガトー級にどう連絡するかだ。　クリスは「英国第二次派遣のイ号に伝達してください。」　と鎌倉造船本社からの伝言を伝えた。　すぐに、英国へ衛星通信で伝える。　日本海軍は英国と実力争いでライバルであった。　そこで潜水艦乗りの訓練として英国派遣を慣例化したのだ。（世界の海を制覇した大英帝国は普遍である。）　しばらくしてポーツマス軍港からイ号１４番が連絡のため出航した。　そのころ、Ｕボートは大西洋で補給船から給油の最中であった。　離れて監視しているガトー級の艦長クレインは、「司令はまだか。」　副官が「しかし、どう我々に伝えるんですか。」　「しかし、今回の件は司令を仰がねばなるまい。」　「まあ、そうですが。」　副官と迷う艦長だ。・・・・一方、イ号１４番は「Ｕボートの音を探査しろ、ガトー級は無理だ。」　ソナー員「了解です、独逸のキール軍港沖で網を張ります。」　「うむ、頼んだぞ。」　その日の夕方ころ、「感あり、Ｕボートです、ＵボートⅢ型です。」　｛距離は？」「距離３０キロあまり。」　「うむ、では追跡していると思われるガトー級に暗号音声を送れ。」　ソナー員は暗号用タイプライターを打つ。　電文はユウボートカマウベカラズ　ペンタゴンだ。　それが、クジラの音声に変音して送られる、海中なら３０キロなど十分に届く。　「さぁ、気づいてくれよ。」　艦長はガトー級ソナー員の技量を心配した。　通信は高速演算機でクジラ音声に真似て変換してアクテブソナーを使って送るのだ。　ガトー級にも、たしか装備されたハズだ。