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本当の目的・・・
独逸帝国潜水艦の音紋採集
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派遣されたイ号は特別の聴音器が搭載されている。 山下技官が設計したものだ。 ブラウン管に音の波形を出して、記憶させることが出来る。 潜水艦はそれぞれに出す音が違う。 ヒトの指紋と同じだ。 同じ型でも微妙に出す音に違いがあるのだ。 それを比べて、音で潜水艦を特定することが山下技官の本当の目的だ。 また、潜水艦の音紋は国の特徴がでるのだ。 シナはドラや太鼓を鳴らしたようなにぎやかな音だ。 米国はカウボーイの国らしく馬のパカパカ見たいな軽快な音だ。 英国は規則正しい機械音だ。 独逸帝国は金属感のある冷たい機械音だ。 音がほとんどしなくて聞えないのが日本の潜水艦だ。 独逸帝国の潜水艦を使ってるのに音がシナが使うと何で五月蠅くドラを鳴らすのか不思議だ。 著者は整備がずさんで部品交換しないからだと思うのだが。 また、山下技官は英国海軍工廠の技師との技術交換も楽しみにしていた。 英国の技師なんぞに負けるものかの自負があった。 ポーツマス海軍基地に入港したイ号潜水艦は潜水艦桟橋に係留された。 隣の英国海軍潜水艦が小さく見える。 英国は誇り高き英国海軍が海中に潜んで敵を攻撃するなぞ、やることではない、とエリザベス女王の声があった。 だから、潜水艦には熱心ではないのだ。 しかし、独逸帝国は潜水艦が御家芸だ。 これでは、独逸帝国にヤラれるからと潜水艦を建造したらしい。 しかし、独逸帝国には潜水艦で技術的にひらきがある。 それで、潜水艦が得意である日本海軍に声がかかったのだ。 早速、上陸して英国海軍工廠に向かう山下技官だ。 山下技官は聴音で方向や深度などを聞くときマイクを2個使う。 つまり、立体に聞くのだ。 だから、潜水艦のマイクは2個つけてある。 そして、あらゆる海中で実験を繰り返した。 温度や海水の潮の差など、場所により海水は微妙に違うのだ。 日本に流れている海流で黒潮や親潮でも違いがある。 それにより、聴音器の精度は格段にあがった。 現在、実験しているのが、音波画像装置だ。(海中では、電波はほとんど伝わらない、だから三次元レーダーが使えない。) 音を海中で発射して、反射した波形から画像をつくる。 つまり、音のカメラだ。 欠点は色が付かないことだ。 白黒では味がないから、眼にやさしい緑色の画面にした。 それを、潜水艦の操縦席に設置すれば、運航に自信がもてるのだ。 音波の伝わる速度は海中では1秒で1500メートルくらいだ。 空気中(340メートルくらい。)より速い。 十分に実用になる。 また画像用の音波はヒトが聞けない音を使う。 超音波である。 イルカやクジラの声にもあるのだ。(なんとネコやゴキブリまで超音波が聞えるらしい。) でないと、潜水艦が他の船に水中聴音器で発見されてしまう。 アクテブソナーは相手に、こちらの居場所がバレるソナーだ。 しかし、相手に、音波を打つことで、作戦が優位に立つこともあるのだ。 いきなり、ピキーンとソナーを打たれたら、もう存在が相手にバレていることだ。 すこし前、尖閣諸島に潜ったまま入り込んだ中国の原潜が日本の潜水艦にアクテブソナーを打たれて、あわてて浮上して中国旗を掲げた。 それは、潜水艦が潜ったまま領海侵犯をすれば撃沈されても文句がいえないからだ。 国際法で決まっている。 だから、あわてて中国原潜は浮上したのだ。 まず、日本の潜水艦には勝てないからだ。 音がしないから居場所がわからない。 攻撃ができない。 国際法では、軍艦は必ず国旗と軍艦の旗を掲げなければならない。 それは、昔から最低限のルールとして決まっていることだ。 また話がソレた。 山下技官は英国の海軍工廠にやっと着いた。 さて、どんなヤツが待ってるか・・・・・
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