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軍事同盟の公表
日米英軍事同盟
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総理は機上のヒトであった。 4発ジェット政府専用機がワシントンをめざす。 同時に英国から首相が訪米する手はずだ。 今回の訪米は大きく報道してある。 妻のハンナも同伴だ。 ワシントン空港は4発プロペラ機の米国版の完成で、国際空港として拡張工事の最中である。 日本の4発プロペラは空の旅を決定づけた。 ながい航海の船旅は過去となりつつある。 世界は狭くなっていくのである。 時間を調整して英国と同時に空港に降り立った。 大統領夫妻自ら二人の代表と、その妻を出迎えた。 そして、大統領と首相と総理は、すぐに、会議場に向かう。 妻連中はニューヨークでショッピングらしい。 ここは、貿易センタービルだ。 米国でイチバン大きな建物だ。 そこの会議場はプレスや政府連中で満杯だ。 なんか、重要な発表があるらしい、とのウワサである。 大統領が演壇に登った。 そして「皆さんに重大な発表をしなければなりません。」 と切り出した。 小細工なしのストレートがガーランド大統領の得意とする演説だ。 「現在、世界は大きく二つの陣営で成り立っています。」 「民主主義陣営のわが国や英国、日本などと、ソ連や独逸帝国、シナなどの独裁的社会主義です。」 「とくにシナは隣国であるベトナムや満州国などとの国境紛争が絶えません。」 「私は覇権をとなえるのでは、ありません。」 「現在の社会体制を大きく変えることは、世界に混乱や紛争を招く、よってこれを防ぐ体制を作りたいのです。」 「「私は、日本国総理と英国首相の賛同を得て、三国による強力な軍事同盟を締結することにしました。」 「この軍事同盟は、単なる同盟ではありません。」 「追って発表しますが、三国は共同して事に当たります。」 「質問は後ほど受けます、では。」 で大統領は席にもどった。 プレス連中は、あわてて会場を飛び出す。 手には軍事同盟の条文が握られていた。 会場にいた独逸帝国シンパは条文を帝国に送るべく動き出す。 とうとうサイは振られた。 いきなり開戦とはならないと思うが、相手に三行半を突きつけたようなものだ。 しかし会場の雰囲気は平常であった。 なぜなら、ニューヨーク港に寄航しているタケミカズチが正式にニューヨークを母港とするとの発表があったばかりだ。 それも米国空軍のファルコンの空母としてだ。 日本からの同盟を記念しての担保みたいなものらしい。 乗員の訓練もとうに終わっていた。 米国はこれで4隻の空母保有国となった。(2隻は日本製で、あとは米国産だ。) ちなみにタケミカズチは原子力空母である。 米国民は戦争に負けることは無いとタケミカズチを見て思ったらしい。 超伝導カタパルトから爆装した重いジェット爆撃機が飛び立っていく。 よく乗員も日本軍の厳しい訓練に耐えたものだ。 それほど、空母とジェット機は魅力であったらしい。 米軍はエンジンが掛かるのが遅いが、掛かるとすごいのだ。 ・・・・そのころ、独逸帝国のベルリン本部では。 ゲッペルン総帥が、「軍事同盟をどう思うかね。」 側近がいう、「この同盟は米、英、日が紛争や軍事衝突の場合、共同して当たるものですが、こちらには、ソ連とシナがついております。」 「うむ、こちらの軍事同盟も強固にしなくてはならないな。」 「しかし、軍事技術を渡すとなると、独逸帝国のみ頼られてばかりですが。」 「まあ、適当なところで制限しておけばよい。」 と総帥。 「わかりました、原爆に関しては完成品のみ、航空機や戦車などは旧式に限るとします。」 「いいだろう、原爆工場の再建はどうか。」 「まだ始まったばかりです、しかし爆発の原因がまだはっきりしません。」 「調査を命じた学者の中には、とてつもない爆発物と感づいた者も。」 「けっして外部に漏れないように、わかっているな。」 「ハイ、総帥。」 側近はカチンとカカトを鳴らして、片手を上げて「帝国に栄光を。」 と敬礼して退出した。 総帥は片手でカンタンに挨拶を返した。 しばらくして、「お呼びですか。」 姿は見えない。「ん、原爆に気がついた学者の始末はいいな。」 「わかっております・・・・。」 ドアがノックされて、秘書の女士官が入る。 「総帥、午後からの予定ですが・・・・・。」 結構いそがしい総帥であった。
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