鉄巨人、異世界を往く

銀髭

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第5話 レベル

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3人組の訪問から体感で2、3日ぐらいが過ぎた。

あれから誰が来ることも無く、いつ来るのかとハラハラしていたのだが、未だ鎖の修理は行われていない。

隊長と呼ばれた男は、鍛治ギルドに依頼をする
と言っていた。
依頼という形なら恐らく直ぐには来ないのだろうが…、実際どれくらいで来るのかは分からない。

だが、交換が時間の問題であることは確かだ。
次に人が来た時に脱出の痕跡がバレない保証もない。
一刻も早く、此処から出なければ。

しかし、気になることもある。

まず、あの3人が言うには、俺のことが外で
噂になっているらしいこと。

調査の結果によって、噂も多少落ち着きはするだろうが、まだ数日しか経っていない。
下手に動けば、すぐに人が来る可能性が高いだろう。

となると、明るい内に目立つ動きはせず、闇に紛れる
タイミングを計った方が良いはずだ。
まずは、早い内に外で時間の感覚を掴まなければ。
体を隠せる布なんかも探した方が良いかもしれないな。

次に、戦闘の可能性。

これについては一応、心構えくらいはしておいた方が良さそうだ。
戦わないに越したことは無いだろうが、強行突破が必要な場面もきっと出てくる。
となるとあの3人組やそれ以外とも戦う可能性がある。

戦闘については…3人組が帰った後、自由になった自分の腕を改めて見てみると、あることに気付いた。

自分の腕は、鈍色の装甲に覆われていた。
手で体のあちこちに触れて確認しつ見るに、どうやら俺は鎧をようだ。

…だが不思議なことに、鎧の表面に手や鎖が触れる感覚はあるが、感覚が無い。
布の服で言えば、肌自体に生地が触れる感触が感じられなかった。

そういえば、やけに自分の中に音が響いていたことを
思い出し、胸を叩いてみた。

コーーン、コーーン

長い空洞音が響いて、背筋を冷たいものが走る。

その先を考えるのをぐっと堪える。
意識の奥底へと考えを沈み込め、冷静を保つ。

…今はまず、脱出について頭を巡らせなければ…

____________________


幾らかの時間を置いたのち、俺は動き出す。
気持ちはそれなりに落ち着いて来た。
時間が無い、まずはこの鎖を全て引き千切る。
話はそれからだ。

胸に交差して掛けられた鎖を掴み、思い切り腕に力を込める。
腕を縛っていたものより大きいが、これさえ無くなれば
後は足だけだ。
今までの蓄積もある為、すぐにどうにか出来るだろう。

鎖がギシギシと悲鳴を上げ始め、腕へ更に気合を込める。

  ( ぐぅ…お、おおおおおおぉぁぁぁぁっ!!! )

気合と共にバギィィンと破壊音が鳴り響き、鎖が切れた。
破片が弾け飛び、それぞれが壁や床で音を奏でる。
とうとう、身体の自由を取り戻すことが出来た。

だが、そんな解放の余韻に浸る間も無く、何処からか
鈴の音のようなものが鳴ったかと思うと、頭の中に
無機質な声が聞こえた。


 《 経験値 18 を 取得しました 》


声は頭に直接響いてくるような感覚で、声の主が
近くに居るのか、遠くに居るのかすら判断がつかない。
 
 ( 経験値? 一体何のことだ? )

謎の声に問い掛けても返答は無く、続けざまに
もう一度、先程聞いた鈴の様な高い音が響いた。
同じ調子で、頭に声が響く。


 《 ※※※※ の レベルが 2 に 上がった 》

 《 ステータス が 上昇しました 》

 《 5 の スキルポイント を 取得しました 》
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