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四節の森。あらゆる季節の植物を採取できるという便利な場所だ。ルトゥールに住む人々にとってもっとも身近な魔境であり、世間的にもよく見られる。
その奥地に私とトラヤはいた。
「トラヤの言うとおり、変異してるのね」
「でしょ。もう慣れている人以外は入り口周辺より向こうに行かない方がいいと思うなー」
魔境計を手にした私の発言に、気楽な返事が返ってくる。
木々に囲われた森の小道といった場所を歩いているのだけれど、通い慣れていれば何かおかしいことに気づくはずだ。
植生が変わっている。
周囲の木々も、植物も、四節の森では見かけないものが増えている。
魔境計を見ていれば一目瞭然で、入り口から奥へ行くほど針の振れ方が大きくなっている。今居る場所なんか、たまに各属性の針が大きく揺れる不安定さだ。
どうも、ルトゥールの魔境が活性化したことで、四節の森にも影響が生じているらしい。
トラヤの見立てでは安定している入り口周辺は平気だけど、奥の方は急に他の魔境に繋がってもおかしくないとのこと。おかげで現在は入るには許可が必要だとか。
それでも、冒険者が増えた関係で人は多いのだけれど、私達がいる場所はさすがに違った。
今いる場所はいつ別の魔境にいつ繋がってもおかしくないくらい。
ここに来た目的は言うまでも無く、トラヤの新しい杖を作るためだ。
珍しい素材が必要だったので、まずは手近な所から。
そんなわけで、変異して変わった木材が採れるという話の四節の森にやって来た。
「トラヤってさ、師匠に言われてルトゥールに来たんだよね? やっぱり修行?」
見慣れない木々の間を歩きながら、そんな質問をする。
「……わかんない。そういえば、修行とも言われてないな。でも、行けばそのうちわかるっていうのがお師匠様の方針だし」
凄い方針だ。というか、方針すら示していないような気がする。
「あ、今呆れた顔してた。お師匠様は凄いんだよ。未来が見えてるみたいに色々当てるんだから」
「それは凄いけど、『ここへ行け』だけで来たトラヤも凄いわ。それで何とかなっちゃってるし」
実際、トラヤはここで私と出会い、杖を新しくしたりドラゴンと戦ったり、行動だけ追えば順調に修行を積んでいる。
魔法使いというのは凄い世界に生きていることはよくわかった。
「不安がなかったといえば嘘になるよ。イルマに会えたおかげで、一気に道が開けたもん」
「私も一応役に立ってるのね」
「一応どころかすごくだよ! 今だって、わたしの杖のために一緒に出かけてくれてるじゃない!」
「これはこれで、私も修行だからいいのよ。助かってるのはお互い様よ」
そう、これはお互い様なのだ。実際、トラヤの新しい杖を作るというのはなかなか興味深い。楽しいと言い換えてもいいくらいだ。前に宝玉を変えただけでトラヤの魔法はかなり強化された。
なら、師匠が手ずから考えた専用品を持ったらどうなるのか、その瞬間を見てみたい。
そんなわけで、杖の素材に使えそうな珍しい樹木を探して歩く私達だったが、いきなりその歩みが止まった。
「どうしたの、トラヤ」
「なんか、変な感じがする」
足を止めた魔法使いの言葉を聞いて、すぐに魔境計を確認する。
中央の四隅の全ての針が、大きく揺れ動いていた。一部の属性なんか、回転している。
「これ……まずくない?」
「うん、この辺り一帯、別の魔境に繋がっちゃう」
トラヤの言葉を聞いた次の瞬間。辺りの景色が一変した。
その奥地に私とトラヤはいた。
「トラヤの言うとおり、変異してるのね」
「でしょ。もう慣れている人以外は入り口周辺より向こうに行かない方がいいと思うなー」
魔境計を手にした私の発言に、気楽な返事が返ってくる。
木々に囲われた森の小道といった場所を歩いているのだけれど、通い慣れていれば何かおかしいことに気づくはずだ。
植生が変わっている。
周囲の木々も、植物も、四節の森では見かけないものが増えている。
魔境計を見ていれば一目瞭然で、入り口から奥へ行くほど針の振れ方が大きくなっている。今居る場所なんか、たまに各属性の針が大きく揺れる不安定さだ。
どうも、ルトゥールの魔境が活性化したことで、四節の森にも影響が生じているらしい。
トラヤの見立てでは安定している入り口周辺は平気だけど、奥の方は急に他の魔境に繋がってもおかしくないとのこと。おかげで現在は入るには許可が必要だとか。
それでも、冒険者が増えた関係で人は多いのだけれど、私達がいる場所はさすがに違った。
今いる場所はいつ別の魔境にいつ繋がってもおかしくないくらい。
ここに来た目的は言うまでも無く、トラヤの新しい杖を作るためだ。
珍しい素材が必要だったので、まずは手近な所から。
そんなわけで、変異して変わった木材が採れるという話の四節の森にやって来た。
「トラヤってさ、師匠に言われてルトゥールに来たんだよね? やっぱり修行?」
見慣れない木々の間を歩きながら、そんな質問をする。
「……わかんない。そういえば、修行とも言われてないな。でも、行けばそのうちわかるっていうのがお師匠様の方針だし」
凄い方針だ。というか、方針すら示していないような気がする。
「あ、今呆れた顔してた。お師匠様は凄いんだよ。未来が見えてるみたいに色々当てるんだから」
「それは凄いけど、『ここへ行け』だけで来たトラヤも凄いわ。それで何とかなっちゃってるし」
実際、トラヤはここで私と出会い、杖を新しくしたりドラゴンと戦ったり、行動だけ追えば順調に修行を積んでいる。
魔法使いというのは凄い世界に生きていることはよくわかった。
「不安がなかったといえば嘘になるよ。イルマに会えたおかげで、一気に道が開けたもん」
「私も一応役に立ってるのね」
「一応どころかすごくだよ! 今だって、わたしの杖のために一緒に出かけてくれてるじゃない!」
「これはこれで、私も修行だからいいのよ。助かってるのはお互い様よ」
そう、これはお互い様なのだ。実際、トラヤの新しい杖を作るというのはなかなか興味深い。楽しいと言い換えてもいいくらいだ。前に宝玉を変えただけでトラヤの魔法はかなり強化された。
なら、師匠が手ずから考えた専用品を持ったらどうなるのか、その瞬間を見てみたい。
そんなわけで、杖の素材に使えそうな珍しい樹木を探して歩く私達だったが、いきなりその歩みが止まった。
「どうしたの、トラヤ」
「なんか、変な感じがする」
足を止めた魔法使いの言葉を聞いて、すぐに魔境計を確認する。
中央の四隅の全ての針が、大きく揺れ動いていた。一部の属性なんか、回転している。
「これ……まずくない?」
「うん、この辺り一帯、別の魔境に繋がっちゃう」
トラヤの言葉を聞いた次の瞬間。辺りの景色が一変した。
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