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翌日早朝、荷物を持って冒険者組合に向かうと救出部隊はすでに集まっていた。
人数は私達を含めて八名。全員がベテランの冒険者で、うち二名は急いで治療を終えた調査隊のメンバーだった。
「錬金術師のイルマです。よろしくお願いします」
「魔法使いのトラヤだよっ」
挨拶すると、リーダーである穏やかな風貌の男性冒険者が迎えてくれた。
「二人とも噂は聞いてるよ。正直、魔法使いは魔境に強いって聞いてるから期待してる」
「行ったことのない魔境はなんともいえないけど、頑張りますっ」
トラヤが元気よく返事をすると周りの面々がちょっとだけ不安そうな顔をした。魔法使いといっても子供にしかみえないもんね。酷い言い方だけど、頼りになりそうには見えない。
「こう見えてトラヤは魔境に慣れてますから。結構頼りになりますよ」
私がそう言うとリーダーは笑みを浮かべて答えた。
「そうか。『爆破の女帝』がそう言うなら信じよう」
なんだか凄い呼び名だけど私のことだろう。聞き覚えがある。
「あの、その呼び名、どこで?」
「噂で聞いたんだ。修業時代、爆破しまくってそう呼ばれた錬金術師がルトゥールに来た子だって」
なんてことだ。過去からは逃れられないというのか。というか誰だ、私の過去を調べたのは。
「ねぇ、イルマ、どんな学生時代を過ごしてたの?」
「戦闘に関して期待してるよ。でも爆破に巻き込まないようにね」
心配げに聞いてくるトラヤと頼もしそうにこちらを見てくるリーダー。なんて状況だ。
「準備できたら出発しましょう! その話は終わりで!」
とんでもない所で昔のことを掘り返されてしまった。モチベーションに関わるので、強引に話題を流して、出発して貰った。
人数は私達を含めて八名。全員がベテランの冒険者で、うち二名は急いで治療を終えた調査隊のメンバーだった。
「錬金術師のイルマです。よろしくお願いします」
「魔法使いのトラヤだよっ」
挨拶すると、リーダーである穏やかな風貌の男性冒険者が迎えてくれた。
「二人とも噂は聞いてるよ。正直、魔法使いは魔境に強いって聞いてるから期待してる」
「行ったことのない魔境はなんともいえないけど、頑張りますっ」
トラヤが元気よく返事をすると周りの面々がちょっとだけ不安そうな顔をした。魔法使いといっても子供にしかみえないもんね。酷い言い方だけど、頼りになりそうには見えない。
「こう見えてトラヤは魔境に慣れてますから。結構頼りになりますよ」
私がそう言うとリーダーは笑みを浮かべて答えた。
「そうか。『爆破の女帝』がそう言うなら信じよう」
なんだか凄い呼び名だけど私のことだろう。聞き覚えがある。
「あの、その呼び名、どこで?」
「噂で聞いたんだ。修業時代、爆破しまくってそう呼ばれた錬金術師がルトゥールに来た子だって」
なんてことだ。過去からは逃れられないというのか。というか誰だ、私の過去を調べたのは。
「ねぇ、イルマ、どんな学生時代を過ごしてたの?」
「戦闘に関して期待してるよ。でも爆破に巻き込まないようにね」
心配げに聞いてくるトラヤと頼もしそうにこちらを見てくるリーダー。なんて状況だ。
「準備できたら出発しましょう! その話は終わりで!」
とんでもない所で昔のことを掘り返されてしまった。モチベーションに関わるので、強引に話題を流して、出発して貰った。
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