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二十四章 潜入
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しおりを挟むミーシャやレイジス、それにジュードは、この道の事を知ってるんだろーか。
ダルクは──?
あいつもこの道の事を、知っていたのか──?
ふと、そんな事を思う。
思えばあいつにはいつも、謎が付きまとう。
ただの鍛冶屋の息子が、どうしてよりにもよってサランディールからトルスにまで繋がる様な重要な地下通路の事を知ってた?
あいつとあいつのじーさんは何で反逆の罪なんか被る事になった?
ダルクは──ダルは、どうして殺されなけりゃあならなかった?
答えの出るはずのねぇ事を考えて──俺は軽く頭を振る。
……いや、今は んな事どうだっていいんだ。
ダルはもうこの世のどこにもいねぇんだから。
それに今の俺にはもっと考えなきゃならねぇ事や、やるべき事が山程ある。
そう、自分に言い聞かせて──俺は隣に並んだダンへと目線を向けた。
ダンがその目線を受けて──って訳じゃあ全然ねぇんだろうが、そっと小さく口を開く。
「──そろそろ戻ろうか。
万が一にもここで誰かに私達の姿を見られる事は避けたい」
ダンの意見に全く賛成だった俺は、そいつにこくりと一つ頷いてみせたのだった──。
◆◆◆◆◆
「──それからダンと少し気になるとこを見て回ったんだけどよ。
今話したような、建物の外とかちょっと別な場所に繋がる隠し通路は他に二つくらい見つけたけど、トルスまで繋がるよーな本格的?な地下通路じゃあなかったぜ。
ちなみにアルフォンソに関する情報も全くナシ、だ。
そっちはどうだった?」
言うと──俺と向き合う形で椅子に掛けたジュードが「こちらもこれと言った収穫は何も……」といつも通りやや重い声で答える。
夕方までのメイドの仕事を終え、ガイアスの屋敷に帰って来てからしばらく。
うまい夕食を皆で楽しく食って皆それぞれ自室に戻り、今はもう寝てるか寝ようかってな時間だ。
いつも通りジュードが俺(と犬カバ)の部屋にやって来て、俺と犬カバがベッドの端に腰を下ろし、ジュードがそこに向かい合う形で置いた椅子に掛けて今に至る。
ちなみに言やぁミーシャがちゃんと自室に戻ったのはもちろん確認済みだ。
ミーシャにジュードが毎日ここに来ててなんかしばらく話していく──なんて知れたら何か勘ぐられそうだからな。
確かな事が何にも分かっちゃいねぇ今の段階で、俺等がアルフォンソの行方を探してる、なんて事に気づかれたくねぇ。
とにもかくにもそんなこんなで今日もこっそり三人寄り合って話をしていた訳だが……。
俺は隠し通路の話繋がりで「そういやさぁ、」とジュードに向かって口を開く。
「前にミーシャに聞いたことがあったんだけど、お前、一年前の内乱の時ミーシャを隠し通路に案内したんだって?」
「──ああ、」
「その道ってどーして知ってたんだ?
フツー一介の騎士が知るはずのねぇ道、だよな?
ミーシャはアルフォンソが自分を逃がす為にお前に道を教えたんじゃねぇかって言ってたけど。
お前の内乱の時の話を聞く限り、その線はねぇよな……と思ってよ」
聞く──と……。
ジュードが──思いの外あっさり、答えてきた。
「──あの道は、ダルクさんに教わったものだ」
言ってくる。
俺は──思わず目を丸くしてジュードを見る。
「……はぁ?」
「クヒ?」
犬カバも隣から声を上げる。
ジュードはそんな俺と犬カバの双方を見ながら、話を続けた。
「ダルクさんが城を出る、前日の事だ。
どうして教えてくれたのか、何故その道をダルクさんが知っていたのか、俺にも分からない。
あの頃はまだ俺も子供の時分だったから、小さな入口は俺でも通る事が出来ただろうと思う。
試した事はなかったが……。
ダルクさんからも、本当に緊急の時以外は使うな、誰にもこの道の事は話してはいけないと念を押されたしな。
まさかあんな形でそれが役に立つとは思わなかったが……」
言う。
~ちょっと待て、どういう事だ?
ダルクがジュードに教えた道だった?
~いや、冷静に考えりゃああり得ない話でもねぇ。
ダルクは実際、反逆罪でサランディールから追われる時、その秘密の入口を使って地下通路を通り、トルスへ来たんだろうしな……と考えかけて。
いや、とすぐに頭の中でその考えを打ち消す。
今ジュードが言ってたじゃねぇか、『小さな入口は子供の頃のジュードなら通れただろう』って。
ダルクは今のジュードほど体格が良かった訳じゃあなかったはずだが、それでもひょろひょろって事はなかった。
それに背だってかなり高かったはずだ。
サランディールを追われる時だってまあまあな大人だろ?
ダルクがその通路を使うのはちょっとムリがあるんじゃねぇか?
それに、だ。
あいつはその何年か後にその地下通路を通ってサランディールに行っている。
ミーシャが見つけたダルクの遺体は、“ミーシャが通った”入口の先にあったんだろ?
て事は、考えられる事は一つ……。
通路は同じでもそこに繋がる別の入口が存在してた──。
そしてそっちの入口は、ダルクでも通れる様な大きさの間口だった。
それなら話の筋が通る。
けど、だ。
……ダルクは何で地下通路に通じる入口を、二ヶ所も知ってたんだ?
結局そこに、一つの疑問が残る。
あいつは一介の鍛冶屋だぜ?
ミーシャだってダルクみてぇな奴が知るはずのねぇ道だと言っていた。
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★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
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