天使の落とし物

瑠璃姫

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天使の落とし物

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私は散歩が好きだ。

用事がない時はひとりで散歩している。

目的を決めずに行きたい方向へ歩く。

そうしていると色々なものが見えてくる。


四季の移り変わり。

生命の誕生。

儚げな花。


時々、落し物を見つけることもある。


お、道になにか落ちている。


今日落ちていたのは真っ白でふわふわした羽だ。

それはまるで天使の羽の様だ。


いつもなら落し物は交番や持ち主に届けるのだが、この羽は誰のものかも分ない。

交番に持っていっても相手にしてくれないだろう。

それに何より綺麗だ。


私はこの羽を持って帰ることに決めた。


家に帰って机に座り羽を眺めていると、突然部屋中が強い光に包まれた。


強い光に思わず目を閉じてしまった。


光が止み、目を開けるとそこには、天使がいた。


身長は約50cmくらいであろうか。


真っ白な羽を持つ天使だ。


「私の羽を拾ってくれてありがとう」


彼女はこちらを真っ直ぐとみてお礼を言った。

私は透き通った彼女の瞳に見とれてしまった。


「いいえ、こちらこそ綺麗な羽を眺めさせてくれてありがとう」


そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。


色白な肌に腰まで伸びている茶色の髪。

小さな手。

細い足。


そして何より透き通った瞳。


その瞳が私を虜にする。


しばらく彼女の瞳を見つめていると、彼女困ったように私に微笑んだ。


私は急に恥ずかしくなり下を向いた。


彼女は拾ってくれたお礼にと、私が拾った彼女の羽をペンに変えてくれた。


彼女の綺麗な羽は、立派な羽根ペンになった。


私がお礼を言うと彼女は眩い光につつまれて音もなく去っていった。


私はその日から彼女の虜になってしまった...


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